住宅の外壁は常に雨風、直射日光などの外的刺激にさらされています。そのため建築した時点からすでに劣化が始まっていると考えてよいでしょう。外壁塗装は、施工面積と塗料の種類によって費用が変動します。場合によっては100万円以上の費用が必要となることもあります。
多額の費用を自己資金で一括で支払うことができる人は少ないでしょう。そのため、ローンを利用して外壁塗装を行う人が多いのではないでしょうか。ローンを嫌う人もいますが、外壁塗装はローンを組んででも行ったほうがよいものです。
この記事では、外壁塗装でローンを利用する方法について解説します。出費を減らすためのコツについても紹介しますので参考にしてください。
外壁塗装を先延ばしするデメリット
外壁の劣化を長年放置していると、家屋の建て替えなど大がかりな工事が必要となり、さらに高額な支払いをしなくてはならない可能性が出てきます。ここでは、外壁塗装を先延ばしした際に起こるデメリットについて解説します。
外壁材の寿命が短くなる
外壁材は種類ごとに耐用年数が異なります。提示される耐用年数は、塗装を行うことが前提で算出されたものであり、塗装を行わずに素地のままだと、耐用年数は提示された年数よりも当然短くなります。
これは、経年劣化によって外壁の塗膜がはがれた場合にも当てはまる現象です。塗膜がはがれて素地の外壁材が保護されていない状態を放置していると、カビや腐食が進むため耐用年数は短くなり、劣化速度も早まります。
リフォームで余計な出費が増える
外壁の損壊を放置していると、雨もりや水もれ、シロアリ被害などが進行します。外壁が保護されていない状態では、外壁の内部にまで劣化が進行する可能性が高まります。外壁の内部まで劣化しはじめると、塗料の塗り替えだけではすまなくなります。
場合によっては、大がかりなリフォームを行わなければならない可能性が出てきます。さらに家の構造にまで深刻なダメージを受けていることがわかれば、建て替えを検討する必要も出てくるでしょう。
外壁塗装のローンは3つのパターンで申し込み
外壁塗装でローンを利用する場合には、3つのパターンでの申し込みが可能です。ここでは、具体的な申し込み方法と手続きの方法について解説します。
住宅ローンの支払い中なら同じ金融機関でローン
外壁塗装を行うタイミングで、住宅ローンの返済が完了していない場合には、住宅ローンと同じ金融機関でローンを組むこともひとつの方法です。
住宅ローンの借り入れの段階で審査が通っているため、返済の遅れなどがない限りは、借り入れが可能となる場合が多いでしょう。また、同じ金融機関であれば金利を優遇してもらえる可能性もあります。
新規の金融機関でリフォームローンを組む
銀行でリフォームローンを組むのもひとつの方法です。ただ、単体でローンを組むと、住宅ローンよりも高い金利になってしまう可能性があります。
住宅ローンの返済を行なっている金融機関でリフォームローンを利用することが難しい場合には、住宅ローンの借り換えを行い、リフォームローン一体型に変更するという方法もあります。
住宅ローンの借り換えを行う場合には、現在返済をしている住宅ローンに設定されている担保を取り消すために、抵当権設定費用が発生する点には注意が必要です。
外壁塗装の業者の提携先を利用
金融機関でのローン以外には、外壁塗装の業者が提携しているクレジット会社のリフォームローンを利用するのもひとつの方法です。
外壁塗装の業者が必要手続きを進めてくれるため、金融機関よりもスムーズに手続きが進む点はメリットです。この方法を利用するために、業者を選択する際には、クレジット会社と業務提携しているかどうか確認しておきましょう。
銀行のローンは有担保と無担保のどちら?
銀行のローンには有担保と無担保の2種類があります。担保は、お金を貸した人が返済してくれないときに備えて前もって借り手から提供を促すものです。有担保と無担保には、どちらにもメリットがあります。
ここでは、それぞれの特徴とおすすめの人について解説します。
外壁塗装で有担保のローンがおすすめの人
ローンの金利を少しでも下げたい人におすすめなのは、有担保ローンです。有担保ローンでは金利1%を切る商品もあります。その代わり、借入用途が制限されるため、住宅ローンの場合は住宅の購入やリフォームに使用するという条件がつきます。無担保ローンに関しては、使用用途は基本的に自由です。
また、有担保ローンの場合は返済期限を長めに設定することができる点も利点です。ただし、担保の鑑定などに時間がかかるため、融資までに時間がかかる点はデメリットといえるでしょう。
まとめると、金利を少しでも下げて返済期間に余裕を持ちたい人には、有担保ローンがおすすめということになります。
外壁塗装で無担保のローンがおすすめの人
融資のスピードを重視する人には、無担保ローンがおすすめです。担保の鑑定などが必要ないため、最短で即日融資をしてもらえるケースもあります。さらに、借入用途が自由な点を利用して外壁塗装以外にもお金を使いたいと考えている人にもおすすめです。
ただし、フリーローンなどの場合は借入用途が限定されていこともあるため注意が必要です。加えて、無担保ローンの金利は高く設定されているため、支払い総額が有担保ローンよりも高額になることも覚えておきましょう。
外壁塗装でローンを組む4つの注意点
外壁塗装にローンを利用する際にはいくつか注意しておきたい点があります。ここでは具体的に4つの注意点について解説します。
事前に月々の負担をシミュレーション
外壁塗装でローンを組む場合には、返済予定についてシミュレーションしておく必要があります。金利がどのくらいになるかも考えてしっかりと返済スケジュールを立てておきましょう。その際には、借入金がいくらで、返済総額がいくらになって、何年で返済して金利は何%なのかを確認する必要があります。
一括より総額の支払いは増える
外壁塗装を行う際に必要なローンは、一括払いできればローンの心配をする必要もありません。ローンを組むと必ず金利が必要となります。
金利が高いとその分支払い額は増え、返済期限を延ばすほどやはり支払い金額が増えます。一括であれば金利などの余計な費用が不要になるため、直近で大きなお金を動かす必要がないのであれば一括で支払うほうが得になることも覚えておきましょう。
高齢になるとリフォームローンが使えない
外壁塗装をローンで支払う場合には、リフォームローンを利用することになるケースが多いでしょう。リフォームローンには年齢制限がある点には注意が必要です。
年齢制限の規定は、借入先によって異なりますが、大半は70歳未満で設定されています。高齢でローンを組むと完済前に亡くなってしまう可能性があるため、利用できるとしても完済期間が80歳までに制限されます。
住宅ローン減税の申請を忘れない
リフォームを行う場合にローンを組んだ際には、住宅ローン減税の申請を忘れないようにしましょう。住宅ローン減税は、申請することで年末のローン残高に応じて翌年の所得が控除されて、所得税や住宅税の減税対象になる制度のことです。
適用条件は以下のとおりです。
- 自分が所有している住宅であること
- リフォームのための借入であること
- 工事費用が100万円を超えていること
- リフォームを行う面積が50平方メートル以上であること
これらの条件が適用される場合には、自分でいくつかの書類を用意する必要があります。
必要書類については、残高証明書、増改築等工事証明書、工事着工前の状態を記録した写真などがあるため、工事に取りかかる前から準備をはじめる必要がある点には注意が必要です。
ローンを組む前に外壁塗装の費用を節約しよう
ローンを組むことに抵抗を感じる人もいるでしょう。自己資金だけでなんとか支払いができないかと検討するのであれば、外壁塗装の費用を節約することを考えてみましょう。外壁塗装の費用を節約する方法について解説します。
相見積もりで高額な外壁塗装は避ける
外壁塗装を行う際に必要なのは複数社から相見積もりを取ることです。外壁塗装に相場はあっても定価はありません。そのため、見積もり費用は業者によって大きな差が生じることもあります。
残念なことに、塗装業者の中には悪徳な営業を行うところもあります。たとえば、見積もりの内訳を曖昧にして高額な費用を提示してくる業者は要注意です。
突然自宅を訪問してくる業者にも注意しましょう。「外壁の劣化が進んでいるので急いで塗装をしなければ危険です」と不安をあおるようなセールストークをしてくることもあるでしょう。
素人ではわからないだろうと不安をあおって、焦って契約を進めるようなことをしてくることもあります。
信頼できる業者を見つけるには、一括見積もりサービスがおすすめです。運営会社が独自基準で厳選した業者を登録しているため、自分では見つけることができなかった業者と出会えるチャンスあることはメリットといえるでしょう。
外装塗装業者紹介サービス「Excite外壁塗装」は、一括見積もりができるためおすすめです。自社独自の審査基準を満たした優良塗装店のみが登録されており、自宅にいながら簡単な情報を入力するだけで、複数の見積もりを取ることが可能です。
外壁塗装に火災保険を使う
外壁の塗り替えが必要となった原因が自然災害である場合には、加入している火災保険が使用できるケースがあります。外壁塗装を検討している場合には加入している保険が適用できないか確認してみましょう。
外壁の損傷については自然劣化と、大雪や台風などの自然災害、近隣の火災などによって起こる予期しない損傷の2ケースがあります。
自然劣化は当然、保険の補償対象にはなりませんが、自然災害などによる被害については火災保険の対象になるケースもあります。加入している火災保険の内容によって対象となるケースとならないケースがあるため確認してみることをおすすめします。
対象となる可能性がある保険は、住宅火災保険、住宅総合火災保険、オールリスクタイプの火災保険の3種類がメインです。
ただし、保険金を使用して外壁塗装の費用を無料にしようとするのはあまり現実的ではありません。ある程度の自己資金を用意しておくことも必要です。
補助金や助成金を受けて外壁塗装をする
外壁塗装は、環境対策や省エネを目的とした工事として認定されると、国や自治体が設けている助成金や補助金を受け取れる可能性もあるため、お住まいの市区町村に確認してみることもおすすめです。
補助金や助成金の金額は各自治体で異なりますが、最大で30万円の補助金が受け取れる地域もあります。いくつか具体的な例を挙げて紹介してみます。
【神奈川県横浜市】横浜市住まいのエコリノベーション補助制度
- 省エネルギー化を目的とした外壁の断熱化工事(環境に配慮した住み方を実現するための工事)
- 使用する材料量に応じて補助金額が決定される
- 一般改修住宅で上限40万円
【京都府京都市】既存住宅省エネリフォーム支援事業
- 省エネルギー化を目的とした外壁の断熱化工事
- 京都市内の一戸建て、長屋、共同住宅の住戸部分が延べ床面積の1/2以上であること
- 過去に同種類似の補助金を国等から受けていないこと
- 過去にこの補助事業による補助金を受けていないこと
- 1戸あたりの補助金上限額は50万円
【兵庫県明石市】明石市住宅リフォーム助成事業
- 省エネルギー化を目的とした外壁の断熱化工事
- 明石市内の住宅で発注者が所有し居住していること
- 工事経費が20万円以上の工事であること
- 工事費用の総額に応じて決定される
上記の例のように、省エネルギー化を目的とした外壁塗装であれば助成を受けることができる可能性が高くなります。申請は業者に依頼する前に行う必要があるため、外壁塗装を検討しはじめた段階で先に助成金について確認しておくことをおすすめします。
単価が安い塗料で外壁材の寿命と合わせる
外壁の塗り替えを行う場合に注意したいポイントは、外壁材の耐用年数です。塗装のメンテナンスを行う際に外壁の寿命が近い場合には、高額な塗料を塗る必要はありません。塗装することで耐用年数を少しは延ばすことができるでしょう。
ただ、外壁の寿命が近い場合には内部にまで劣化が進行している可能性があるため、外側だけ保護してもあまり意味がない可能性が高くなります。外壁の寿命に近い耐用年数の塗料を選択すれば、費用の節約につながるかもしれません。
外壁塗装のローンは最終手段として使おう
外壁の塗装には高額な費用が必要となることが多くあります。場合によっては、100万円以上の費用が必要となることもあるでしょう。自己資金ですべてをまかなえる場合は問題ありませんが、大きなお金を動かすことができないという人もいるでしょう。
その場合には、ローンを組んで支払いを行うことになります。リフォームローンやクレジット会社を利用する方法で、分割払いを申請します。
ローンにはさまざまな支払い方法があるため、事前に利用するローンの内容を確認することをおすすめします。ただし、ローンを利用すればどのような形であっても金利が発生することは頭に入れておきましょう。