住宅の外壁や屋根は常に雨風や日光の刺激を受けています。年数が経過すると徐々に劣化します。住宅の塗装を検討する場合、さまざまな種類の中から希望の外観にあったものを塗装することが重要となります。
ただし、素人では自分だけで種類を選択することは難しいでしょう。ペンキは、大きく分けると水性と油性に分かれます。水性と油性の違いは、塗料を薄めるための希釈剤の違いにあります。希釈剤については、下の項目で詳しく解説します。
この記事では、水性ペンキと油性ペンキの特徴や違いを紹介します。2種類の塗料のメリット・デメリットについて解説しますので参考にしてみてください。
水性ペンキとは
ペンキには、密着度と呼ばれる数値が存在します。密着度は、塗装の下地とその上に塗るペンキがどの程度なじみやすいかという度合いを示すものです。
水性は、油性と比較すると密着度が劣るという特徴があります。密着度には、使用する希釈剤の違いも影響しているといわれています。水性ペンキの希釈剤は水です。ちなみに、ペンキは職人の間では「塗料」と呼ばれることを覚えておくとよいでしょう。
水性というと、水に濡れたら落ちてしまうと考える人もいるでしょう。心配する必要はありません。水性でもしっかりと乾燥させることで、防水機能を発揮します。大雨が降ったからといって、塗料が簡単にはがれる心配はありません。
1点気をつけたいのは、工事をしている途中で雨が降ることです。工事中に雨が降ると、塗料と水が混ざって密着しにくくなる可能性が高まります。ただし、雨が降っていても使える水性ペンキが販売されているので、急いで工事したい場合などには利用してみるとよいでしょう。
水性ペンキは、希釈剤に水を使用するという点が特徴です。油性のようにシンナーを使うことはないため、刺激臭のような独特なにおいがすることは少ないでしょう。
自分で塗装をすることを検討している場合には、においが少なく安全性に優れた水性ペンキがおすすめです。
水性ペンキと油性ペンキの違い
どこにどのように使用するかを考えて、ペンキの種類を選びましょう。特に水性と油性では特性が異なるため、2つの違いをよく理解しておくことが、きれいな外観に仕上げるポイントにもなります。
項目 | 水性ペンキ | 油性ペンキ |
---|---|---|
におい | 少ない | 独特の刺激臭がする |
耐久性 | 油性と比較すると低い場合もある | 耐久性が高い |
希釈剤 | 水で希釈する | シンナーなどの有機溶剤で希釈する |
密着性 | 下地への密着性が低いこともある | 密着性が高いものが多い |
有毒性 | 少ない | 有毒性が高いため注意が必要 |
においについて
水性ペンキは、水で希釈するためにおいはほとんどありません。ただし、独特のにおいがあるため注意が必要です。油性は、シンナーなどの有機溶剤で希釈するため、ペンキ独特のにおいに加えて刺激臭がする可能性が高くなります。
シンナーは、直接吸い込んでしまうと有害物質となるため健康に影響を及ぼします。油性ペンキを使うときは、塗装用のマスクなどを着用することをおすすめします。
耐久性はどうか
外壁や屋根の塗料がどのくらいの期間、きれいな状態を維持できるかを示す指標を「耐久性」と呼びます。耐久性が高ければ、メンテナンス回数が少なくてすむため節約にもつながります。
油性ペンキの方が耐久性は高いですが、最近では水性塗料に機能性を付加することで耐久性をアップした製品も販売されています。安全性は水性ペンキの方が高いため、自分でメンテナンスを行う際には、水性ペンキを使用してみましょう。
希釈剤の種類
商品を購入して缶を開封したら、まずは希釈する必要があります。希釈は、溶剤を混ぜあわせて外壁や屋根に塗りやすい状態にする工程です。
水性については、水で希釈します。油性ペンキは、シンナーなどの有機溶剤を希釈剤として使用する点が特徴となります。
密着性の高さ
塗装を行う際には、下地を塗る工程があります。この下地とペンキがどのくらい密着するかを示す指標を「密着性」と呼びます。密着性は商品によって異なりますが、水性ペンキよりも油性ペンキの方が高いことが多めです。
密着性の高さは、塗膜の強度にもつながるため、しっかりとした塗装をしたい人は油性のペンキを使うとよいでしょう。
有毒性について
毒というと恐ろしいイメージがあるでしょう。安全に留意して、用法や用量をきちんと守って使用すれば危険は少ないため無駄に恐れる必要はありません。
特に水性については、水で希釈するため危険性は少ないという特徴があります。注意したいのは、シンナーなどの有機溶剤を使って希釈する油性ペンキの方です。
油性ペンキに使用するシンナーは、独特な刺激臭があるため、使用する際には安全に留意する必要があります。
水性ペンキのメリット・デメリット
外壁や屋根の塗装に使用されることが多い水性ペンキは、環境面でも優位性が高く、安全性も高い点が特徴です。
メリット | デメリット |
---|---|
高い安全性 | 油性ペンキに比べて耐久性が低い |
価格が安い | 気温が低いと乾燥に時間がかかる |
初心者でも使いやすい | 下地によっては使えない場合がある |
水性ペンキのメリット
水性ペンキのメリットを項目別に解説します。
安全性が高い
水性ペンキを使用する場所としておすすめなのは、内装です。人体に有害な物質をほとんど使用していないため、シックハウス症候群や大気汚染の原因とされるVOCの排出量が少ない点が特徴となります。
ペットや子どもがいる部屋には特に、水性ペンキの使用がよいでしょう。
安く仕上がる
油性と比較して、価格が安い点はメリットといえます。塗料の価格が安いと施工にかかる総額も必然的に安くなります。
油性の方が密着度や耐久性は高めですが、水性ペンキでも耐久性をアップした製品が販売されているため、そうした商品を利用することもひとつの方法です。
初心者でも扱いやすい
外壁や屋根の塗装を自分で行いたい人もいるでしょう。ペンキの扱いは初心者には難しい点もあるため、DIYを行う場合にはしっかりとした下準備を行うことも大切です。
水性ペンキの中には、溶剤がすでに混ぜ込まれている商品もあるため、DIYで使用するには向いているといえるでしょう。乾燥前であれば水で流すこともできるため、万が一失敗しても修正できる点はメリットです。
水性ペンキのデメリット
水性ペンキには、メリットだけでなくデメリットもあります。施工を行う場合にはデメリットについても理解する必要があります。
油性ペンキと比較して耐久性に劣る
耐久性に関しては、油性の方が優位です。塗膜が強く、はがれにくいためメンテナンスの回数が少なくてすむため、トータル的に考えると油性の方が費用を節約できる可能性は高いです。
ただし、初期費用は油性の方が高額になる点には注意しましょう。水性の中にも耐久性を高めた製品もあるため、比較してみることもおすすめします。
乾燥条件がある
ペンキは、完全に乾燥させて施工が完了します。水性ペンキは、乾燥に一定の温度条件ある点が特徴です。気温が低いと乾燥しにくいという点はデメリットです。
乾燥に時間がかかるということは、施工にかかる期間も長くなると考えられます。施工に時間がかかると、費用も高くなるという点は注意しましょう。
具体的には、気温5℃以下の環境下では乾燥に時間がかかります。寒冷地や冬時期の塗装には、あまり向かないということは覚えておきましょう。
使用できない下地がある
下地との密着度についてはすでに解説しました。密着度だけでなく、下地の中には塗装しにくいものもあるため紹介しておきます。
水性と相性がよいとされるのは、サイディングやモルタルです。相性が悪いとされているのは、金属です。ステンレスなどには塗装が難しいとされているため、注意が必要です。
この場合、例えば下地を磨いたり、下塗りに油性を使用するなどすれば、密着度がアップすることもあります。水性ペンキの使用を希望している場合には、業者に依頼するとよいでしょう。
水性ペンキが乾くまでの流れ
水性ペンキで住宅の塗装を考えている場合に重要となるのは、ペンキの乾燥です。乾燥は塗装の仕上がりに大きく影響します。
自分で塗装を行なった場合、完全に乾いていない状態で工事を終了してしまうと、予想外の事態が起こる可能性が高くなります。
塗ってすぐなのに塗膜がはがれてしまうということも一例です。そこでここからは、水性の乾燥に関わるポイントについて解説します。
水性ペンキが乾燥するまでのメカニズム
水性ペンキを乾燥させるためには、以下のような条件が必要となりますので覚えておきましょう。
- 23℃以下、湿度65%以下の環境下で3〜4時間
一般的な水性ペンキに関しては、このような条件であれば比較的乾きやすいとされています。とはいえ、細かな条件については使用するペンキによって異なります。商品の説明書をしっかり読んで工事を行いましょう。
- 水性ペンキを施工箇所に塗布する
- 水分が乾燥するのを待つ
- 表面が乾くまで待つ
- 内部が乾燥したかを確認する
上記の4つの工程にかかる時間は、おおよそ3〜4時間程度が目安とされています。油性ペンキの場合は、おおよそ6時間ほど乾燥に時間がかかるとされています。
早く乾燥させたい場合には、強化剤を混ぜ合わせて使用する方法もあります。そうすると3時間ほどで乾燥するともいわれています。商品を購入する際には、詳細についてしっかり確認してから選択するようしましょう。
水性ペンキを重ね塗りするタイミング
ペンキで住宅を塗装る時には、下塗り・中塗り・上塗りを行います。単純に3回塗ればよいというわけではない点には注意しましょう。重ね塗りにはタイミングを読み力が必要です。
「下塗り」と呼ばれる1度目の塗りの工程を完了してからは、6時間から7時間ほど時間を置いてから「中塗り」を行いましょう。
中塗りを行うには、下塗りがきちんと内部まで乾燥しているかどうかをチェックしましょう。下塗りがきちんと内部まで乾燥していない状態で塗料を重ねるとトラブルの原因になります。
早すぎても問題ですが、日にちがたちすぎてしまってもトラブルが起きる原因となります。
7日以上経過すると、下塗りにゴミなどが付着してしまうことが高くなります。この状態で上塗りを重ねると、後から塗料がはがれてしまうというトラブルが起こりやすい点には気をつけましょう。
水性ペンキが乾く時間と特徴
水性ペンキはしっかりと乾かすことで本来の機能を発揮します。そのため、完全に乾燥させるということが重要なポイントとなります。表面が乾燥しているように見えても、内側が乾燥していないこともある点には特に注意が必要です。
乾く時間は3〜4時間程度
水性ペンキがしっかり乾燥するには3〜4時間ほどの時間が必要となることは先ほども説明しました。特に注意しておきたいのは施工前後の天気です。
水性塗料は性質上、水と混ざりやすいため施工の途中で雨が降ると、塗料に水が混ざって塗装がうまくいかない確率が高くなります。そのため、施工を行うスケジュールの天候を確認しておくことをはおすすめします。
どうしても急ぎで塗装を完了したい事情がある場合には、雨の日でも使用できる水性ペンキも発売されていますので、こうした商品を利用してみるとよいでしょう。
気温が高いほど乾きやすい
水性ペンキが乾きやすいのは23℃以上がベストとされています。水性は、寒冷地や冬場の施工に向かない性質があります。低温では乾きにくいとはいえ、気温が高ければよいかというと、そうではありません。
たとえば、35℃以上の気温になると塗膜に気泡が生じる確率が高まり、施工不良になる確率が高くなります。
湿度が低いほど乾きやすい
ペンキの乾燥には湿度も関係してきます。水性塗料は水分と反応するため湿度が高いと塗装しにくくなる特徴があります。ベストな湿度は65%以下とされているため、施工当日の湿度を確認しておくことをおすすめします。
業者に相談して水性ペンキで塗装しよう
水性ペンキで外壁や屋根、内装の塗装を行おうと検討している場合、自分で行うDIYと業者に依頼する方法の2種類があります。
水性は、初心者にも扱いやすい塗料であるためDIYでも使える塗料です。とはいえ、完璧に乾燥しているかどうかを確認するのは、素人では判断が難しいと考えておきましょう。
完璧な塗装を希望しているなら、信頼できる業者に施工を依頼することも検討してみましょう。業者に依頼する前には必ず見積もりを取ります。塗装には費用がかかるため複数の業者に相見積もりを取りましょう。
相見積もりを取ることで、費用の相場を把握することができます。しかし、忙しい人にとっては見積もりを取るだけでも大変な作業となるでしょう。
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