外壁塗装にかかる費用は、塗装面積と使用する塗料のグレードによって変動します。そのため、塗料の選択に重点をおく人も多くいます。最近の外壁塗装で多く用いられている塗料は、シリコン塗料です。
シリコン塗料には、多くのメリットがあります。この記事では、シリコン塗料の中でも人気の高いプレミアムシリコンの特徴について説明します。
プレミアムシリコンとは
シリコン塗料の中でも人気が高いプレミアムシリコンとは、どんな特徴を持つ塗料でしょうか。ここでは、プレミアムシリコンの基本的な情報について紹介します。
エスケーが発売しているラジカル制御系の塗料
プレミアムシリコンの正式な製品名は「エスケープレミアムシリコン」です。大手メーカーのエスケー化研が2015年に発売を開始しました。一般的なシリコン塗料の特徴としては、耐熱性、耐水性、耐候性に優れており、コストパフォーマンスにも優れる点が挙げられます。
呉のようなシリコン塗料に、さらに機能性を付加した製品がプレミアムシリコンです。通常のシリコン塗料にはないラジカル制御機能が付加されています。ラジカルとは、外壁を劣化させる原因となる原子・分子のことです。
このラジカルの発生を抑制して外壁を保護する機能を付加しているのが、プレミアムシリコンなのです。エスケー化研からは、プレミアムシリコンと弾性プレミアムシリコンの2種類が発売されています。
価格はシリコン塗料と同程度
塗料の選択で注目されるのはやはり価格でしょう。プレミアムシリコンは1平方メートルあたり2,050円が設計価格となっています。弾性プレミアムシリコンでも1平方メートルあたり2,250円です。
通常のシリコン塗料の相場が、1平方メートルあたり2,200〜3,000円であることを考えるとほぼ同額といえるでしょう。機能性を付加している点を考慮すれば、通常のシリコン塗料と比較してコストパフォーマンスに優れているともいえます。
プレミアムシリコンのメリット
先の項目でも説明しましたが、シリコン塗料には耐熱性、耐水性、耐候性が高いというメリットがあります。プレミアムシリコンには、さらに多くのメリットがあるため紹介しておきます。
塗膜が劣化しにくい
外壁の劣化を進行させる原因は、ラジカル分子の発生です。ラジカルは、紫外線や酸素、水などが原因で発生します。直射日光や雨風に常にさらされている外壁はラジカルの発生要因を多く含んでいます。
プレミアムシリコンでは、高緻密有機シールド層と高緻密無機シールド層のダブルシールドでラジカルの発生を抑制します。
さらに、超耐候型特殊ハイブリッドシリコン樹脂を配合することで、ラジカルを捕捉して塗膜の劣化も抑制します。
作業性に優れている
プレミアムシリコンは、塗装しやすい点もメリットです。塗装しやすさの理由としては、隠ぺい性の高い塗膜と、レオロジーコントロールより塗りやすい粘性を実現した点が挙げられます。
隠ぺい性とは、塗料が素地の色をおおい隠す力のことで、レオロジーコントロールは、物質の流動性を調整する働きのことを指します。つまり、塗料の粘性を適切に調節したことで、塗りやすいシリコン塗料に仕上げているということです。
塗料が塗りやすいということは、必然的に作業効率のアップにつながります。工期が短くなれば、施工にかかる費用の節約にもなるでしょう。さらに、強いシンナー系の強溶剤と比較して、刺激臭がしない点も作業効率のアップにつながります。
チョーキングが起きにくい
通常の塗料では、経年劣化によってチョーキング現象が起こります。チョーキング現象とは、塗料に含まれる顔料が劣化によってチョークの粉のように浮き出してくる劣化現象です。
指先で外壁をなでた時に、指先に白い粉のようなものがつくようになると、チョーキング現象が起きていると考えられます。
チョーキング現象の原因もラジカルです。プレミアムシリコンは、ラジカル制御の効果が期待できるためチョーキング現象の抑制も期待できます。
汚れにくいので手入れが楽になる
プレミアムシリコンは、キメの細かさも特徴のひとつです。塗料のキメが細かいと隙間に汚れが入りにくくなり、カビやコケなどの発生が抑制できます。
そのため、普段のメンテナンスも楽できれいな状態をしっかりと保つことができる点はメリットといえます。
プレミアムシリコンのデメリット
通常のシリコン塗料には、劣化が進むと塗膜が固くなり、ヒビ割れしやすくなるというデメリットがあります。プレミアムシリコンにはたくさんのメリットがある反面、デメリットもあります。
塗装の際に注意するためにも、デメリットについて解説しておきます。
淡い色を選択しないとラジカル制御の効果が薄い
プレミアムシリコンには49色のカラーバリエーションがあります。一見すると豊富なカラーバリエーションに思えますが、淡い色が多い点はデメリットです。
なぜ淡い色が多くなっているのかというと、ラジカル制御の機能性を発揮させるためです。ラジカル制御は、淡色の塗料で発揮されるという特性があるため、淡い色以外を選択すると機能が発揮しないというデメリットがあります。
カラーバリエーションの中には濃い色の塗料もあります。濃い色の外観を希望している場合には、そちらを選択することも可能です。ただし、ラジカル制御の効果はあまり期待できない点はしっかり理解しておきましょう。
耐用年数のデータがない
プレミアムシリコンの耐用年数は13〜15年とされています。ただし、発売開始されたのが、2015年であるため2020年であるため、長くても発売から5年ほどしか経過していません。
そのため、この耐用年数に関してはあくまでも数字上のデータであって、実績としてのデータがない点はデメリットといえるでしょう。
専用の下塗り材を使用しないと効果が発揮されない
通常のシリコン塗料の場合、仕上がりが下地に左右されることはほとんどありません。一方で、プレミアムシリコンを利用する場合には、専用の下塗り材を使う必要があります。
塗装の仕上がりが左右されるというよりは、専用以外の下地材を使用すると、製品が持つ効果がしっかりと発揮されない可能性が高くなるという点がデメリットになります。
マットな仕上がりを好む人には向かない
プレミアムシリコンで外壁を塗装すると、外観にツヤ感を持たせることができます。ツヤ感は安っぽい感じがして嫌だという人もいるでしょう。ツヤ感を抑えたマットな印象の外観を求める場合は、プレミアムシリコンの使用はおすすめしません。
ツヤ感を出すことはできても、ツヤ感を消すことが難しいからです。どうしてもプレミアムシリコンを使ってツヤ感も抑えたいという場合には、3分ツヤに調整する必要があります。
プレミアムシリコンで塗装するときの流れ
プレミアムシリコンの塗装は、ほかの塗料を塗布する際とほぼ同様の工程で行われます。ただ、使用する下地などが専用のものを準備する必要があるなど、注意しておきたい点もあるため、詳しく解説しておきます。
素地を整える
既存の外壁に膨れやはがれが生じている場合は、まずサンダーや研磨紙を用いて取り除きます。ある程度まできれいな状態になったら、高圧洗浄機を使って手作業では落とせないような汚れをしっかり取り除いて素地を整えておきます。
素地が凸凹していると塗料がしっかり密着しないためこの作業は特に丁寧に行います。
高圧洗浄機でも取り除けないような汚れや、はがれてしまっている塗膜などは手作業で取り除きます。さらに、ひび割れなどがある場合には、シーリング材などを使用してコーキングしておく必要もあります。
塗装でもっとも重要なのは、事前の準備です。塗料がついてほしくない場所には、養生テープを貼るなどして保護しておくことも大切です。
下塗りを行う
プレミアムシリコンは、専用の下地を使用する必要があるため下地を塗布します。下地がしっかりと乾燥したことを確認したら、下地にあった下塗り材を塗布します。
その際、ハケやローラー、スプレーガンなどが用いられます。下塗り材には、下地にあわせていくつかの種類が用意されています。
名称 | 「プレミアムシリコン」 | 「弾性プレミアムシリコン」 |
---|---|---|
メーカー | エスケー化研 | |
分類 | 水性1液型シリコン塗料 | |
適用外壁 | サイディング・モルタル・コンクリート・ALC・スレート板など | |
光沢の種類 | 4種「ツヤあり」「5分ツヤ」「3分ツヤ」「ツヤ消し」 | 3種「ツヤあり」「5分ツヤ」「3分ツヤ」 |
設計価格 | 2,050円/㎡ | 2,250円/㎡ |
大きな違いとしては、光沢の種類と設計価格です。弾性プレミアムシリコンのほうが若干高くなっています。
相性のよい・悪い下地素材は?
相性のよい下地と悪い下地がある点も、プレミアムシリコンの特徴です。相性の悪い下地に塗料を塗布してしまうと、耐用年数が短くなったり、機能性を十分に発揮できなかったりする可能性が高まります。
そのため、プレミアムシリコンを使用する際には、まず外壁の素材を確認することをおすすめします。
相性がよい下地
- 各種サイディング
- モルタル
- コンクリート
- ALCパネル
- スレート
相性が悪い下地
- タイル:タイルはそのままの状態で耐用年数が長いため、塗装する必要はない
- レンガ:レンガもそのままの状態で耐用年数が長いため、塗装する必要はない
- 屋根材:プレミアムシリコンは外壁用の塗料であるため、屋根に使用することはできない
- 鉄:鉄部分に塗布しても機能を発揮しない
プレミアムシリコンで美しい外壁の状態を保とう
プレミアムシリコンを使用することで、外壁が得ることができるメリットはたくさんあります。中でもラジカル制御機能は特に注目したい機能です。
通常のシリコン塗料にはないラジカル制御機能によって、劣化の原因となるラジカルの発生を抑制するため、通常のシリコン塗料の耐用年数が8〜15年であるのに対して、プレミアムシリコンは13〜15年と長くなっています。
通常のシリコン塗料と比較すると価格が高い点はデメリットとも考えられますが、初期費用をかけたとしても美しい外壁を長く保つことができる点ではメリットが大きいともいえるでしょう。
プレミアムシリコンの特性を理解した上で、最良の業者に依頼をし、納得のいく施工工事を行いましょう。