激安の殿堂『ドン・キホーテ』に長居してしまうワケ
(上)『ドン・キホーテ パウきたいけぶくろ店』。コノ明かりに導かれてついつい長居…… (下)同店、店内の様子
原稿に詰まるとフテ寝をしてしまう癖がついてしまった江木才子です、こんにちは。

よくフテ寝をしてしまうため、眠れない時ついつい気分転換によく訪れるのが激安の殿堂『ドン・キホーテ』。
私の“セカンドハウス”といっても過言ではないかもしれません。

夜でも煌々と輝くあの建物は魅力的。「飛んで火に入る夏の虫」症候群とでも言いましょうか? 通り過ぎることはできず、いつも立ち寄っては長居してしまうんですよね。

で、先日会社の同僚に話してみたんです。その同僚もなぜか『ドン・キホーテ』に長居してしまうらしく、「休日には8時間いますよ!」と自慢げに言い放った同僚。
「あんた、彼女いないし無趣味だからじゃん?」といい返したら若干口論になってしまいました。
会社での空気を悪くするのが嫌だったので話を『ドン・キホーテ』に再びシフトチェンジし、穏やかな議論が繰り広げられました。

そこで『ドン・キホーテ』に一つの疑惑が浮上。
なにか仕掛けがあるのではないのか? ここまでひきつけられるということは“ドンキマジック”なるものがあるのではないのか?
話し合いは2時間程続き、結論が出ないまま帰宅時間を迎えた、そんな1日でした。
仕事しろよ! というつっこみはさておき、今回はこの『ドン・キホーテ』の長居させるテクニックを徹底追跡したいと思います。

まず世間一般的では『ドン・キホーテ』にどのくらい滞在してしまうのでしょうか?
学生と社会人では滞在時間が違うということもありこんなアンケート企画を考案!!

20代の学生25人vs20代の社会人25人どっちが長居しているの?
(『ドン・キホーテ』に足を運んだ際に費やす時間をアンケート)
[アンケート結果]
・20代学生の滞在時間
 0・5h未満→6人 1h→13人 2h→4人 3h→1人 3h以上→1人
・20代社会人の滞在時間
 0・5h未満→6人 1h→8人 2h→7人 3h→2人 3h以上→2人

[平均滞在時間]
(「0.5h未満」は0.5hとして、「3h以上」は4hとして計算)
・20代学生の平均滞在時間:1.24h
・20代社会人の平均滞在時間:1.56h
多少の差ではあるものの意外なことに、社会人の方が滞在時間が長いという結果に!!

そして、この長居させる建物『ドン・キホーテ』の陳列になにか秘密があるのではないのか? ということで『ドン・キホーテ』さんにお話を伺うことに……。すると“宝探し”、“迷路”、“磁石”……こんな3つのキーワードが浮上‼

第1のキーワードは“宝探し”。

これはドンキ独特の『圧縮陳列』を意味します。どこになにがあるのかあえてわからなくすることで、お客様に商品を探すことの楽しさ、発見することの喜びを提供しているのだそう。つまりは“宝探し”!!
……言われてみればそんな感覚をドンキで味わっているような。

第2のキーワードは“迷路”。
『ドン・キホーテ』に行ったことのある人なら分かると思いますが、他店に比べると曲がってたりやたら入り組んでいたりする通路。これもドンキ販売戦略の1つだそう。
人は曲がり角で必ず足を止める。そこに商品があれば商品を見るきっかけになる。
ということで曲がり角を多数作成している“迷路”のような通路にしているとのこと。
……確かに立ち止まってますね、私。

そして第3のキーワードは“磁石”。
前述した曲がり角はお客様を商品の前に立ち止まらせるテクニックの1つ。
その曲がり角に人気商品や好感商品を置くのだそう。通称「マグネット商品」といい、店内の曲がり角にはそのマグネット商品が散りばめられているのだ!!
「レジ前の商品とかついついかごに入れちゃうんですよね……」
というと「それもマグネット商品ですよ!」とタネ明かしされてしまいました。
レジ前には気軽にかごの中に入れられるおよそ500円までの商品を陳列しておくのだそう。
……すんなりひっかかってますよ、私ってば。

取材をして印象に残った言葉に「ドン・キホーテは経済学じゃない! 心理学だ!」というものがありました。

確かにお客様の心理状態をついている陳列方法!! 長居してしまうのも納得。
このドン・キホーテの巧妙な手口(いい意味ですけど)にまんまとひっかかってるわけなんですね!!

昔某巨大迷路脱出に4時間以上かかった私。そりゃ長居してしまいますよ、と思いつつも今日もまたドン・キホーテに向かうのでした。
(江木才子)