アフロヘアー専門美容室の謎
「パーマ」と書いてあるが、これはアフロパーマを指す。何も知らずに来店したら驚くこと間違いないが、下の写真のようなヘンなパーマ(オモチャのヅラ)にはならないはずだ。
大阪の某商店街に店を構える美容室。そこはなんと、なぜか「アフロヘアー」に特化した美容室なのである。
入り口の看板にはパーマの文字が見える。一見ごく普通の美容室だ。店内に席は4つほど。全体的に狭い作りである。中にスポーツ新聞を読んでいるオッチャンがいたので声をかけてみると、彼はこう答えた。
「オッチャンなあ、アフロが好きやねん」

このオッチャンが店主、今年で70歳。
美容師となって数十年、昔は普通にカットや白髪染めなどをしていたのだが、先日思い切ってアフロヘアーにメニューを切り替えたのだとか。メニューを聞いてみると「前髪アフロ」や「カラーアフロ」、「アフロお直し」と怒濤のアフロメニューが並ぶ。阪神ファンのための隠れメニュー「虎アフロ」なるものも存在するらしいが、「熱狂的な阪神ファンでなければ詳しくは教えられない」と断られてしまった。
これだけメニューが乱立しているというのに、カットやカラーなどは一切なし。失礼だがアフロだけでやっていけるのか尋ねると、これでなかなかお客さんが多いらしい。
アフロは慣れるまでは手入れに時間がかかるが、慣れてしまえば楽に手入れができるようになる。
案外しっかりしているので、髪が広がりやすい梅雨時期にはまさにピッタリの髪型であるらしい。しかも手直しのために固定の客層が付いて、お店はほどほどに儲かっているとオッチャンは胸を張って答えてくれた。
さらに、
「姉ちゃんも思い切ってアフロにしたらええねん。もう癖になって離れられんなるから」
と勧められたが、それは丁重にお断りした。

ちなみにオッチャン、肝心の髪型はアフロではなく、ツルツルの「ハゲ」である。
「昔はアフロにしてんけど、年取ったからサッパリ剃ったんや。
アフロが流行らんようなったら、次はハゲ専門の美容室でがんばるで」
と、オッチャンは老いてなお盛んだ。しかし「ハゲの美容室」は何を行うのか、果たして流行るのかどうか、そこはやや不安である。

ところで、
「ようさんお客さん来たら、オッチャンよーさばききれへんし、何より恥ずかしいわ」
とのことで店名などは匿名。看板の写真もそんなわけで、ボケ気味にしています。オッチャンのアフロをどうしてもチャレンジしたい方は、大阪の某商店街片隅にある、小さな美容室を探してみてほしい。
(のなかなおみ)