「副都心線」開業カウントダウン
最初はパソコンの文字入力で「服と新鮮」と変換され、そんなところでも新しさを感じさせてくれた東京メトロ副都心線は6月14日開業。<br>(写真上から)<br>10000系の車両の外観と車内。<br>新宿三丁目駅の吹き抜け空間。東京メトロ管轄では明治神宮前駅も吹き抜け構造を採用している
今年の2月以来、東京メトロを利用していて目に留まるのが、駅構内に張られた「副都心線開業」のポスター。見た目のシンプルなデザインがすっと頭に入りやすく、「この路線、今までなかったのが不思議なくらい。」「よく行くところが、つながる感じ。」など、思わず「うんうん」とうなずいてしまうキャッチコピーもお気に入りだ。
この東京メトロ副都心線がいよいよ6月14日に開業する。東京メトロ広報部の枝久保達也さんに副都心線についてあれこれ聞いてみた。

副都心線は、埼玉県の和光市から渋谷に至る16駅を結ぶ新路線。さらに、東武東上線や西武有楽町線・池袋線と直通運転するほか、2012年度には東急東横線との相互乗り入れも予定しており、埼玉県南西部から副都心を経由し、横浜方面をつなぐより広域的なネットワークが完成することとなる。

そんな「副都心線」の名前は、そもそもどのように決まったのだろう?

名前は社内公募で、「渋谷線」や「明治通り線」といった候補もあがっていたそうだが、「池袋・新宿・渋谷という三大副都心を縦断して走る」という特色をイメージして「副都心線」と決められた、とのことだ。

ところで、この副都心線で一番気になっていたのは、どうしてラインカラーが「ブラウン」なのか、ということ。
ちなみにラインカラーとは、路線ごとに定められた、車両、路線図や案内掲示板で使用されるシンボル色のこと。どういった経緯で「ブラウン」に決まったんだろうか、一部路線を共有する有楽町線が「ゴールド」だから、似た配色をもってきたとかあるんだろうか?

枝久保さんによると、そもそもラインカラー自体が生まれたのが1970年。色だけでも見分けられるわかりやすい案内を目的に、すでに開業していた営団地下鉄(当時)5路線と都営地下鉄2路線、さらに今後、建設が予定されていた計画路線も含めて、各路線のシンボルカラーがその時点で決められたということだ。色の基準は、都営地下鉄側と重ならないよう協議しつつ、明るく識別しやすい色を配分していったのだという。ただ、この段階では、まだ副都心線は計画路線に含まれていなかった。

その後、1972年の運輸省(現・国土交通省)の都市交通審議会(現・交通政策審議会)による答申で初めて13号線(副都心線)の建設計画が持ち上がり、配色を決めていったそうなのだが、具体的にどうして「ブラウン」と定めたのかについては資料が残っておらず、残念ながら確かなことはわからないとのことだった。


この副都心線の特色はというと、東西線の地上部で実施している以外では東京メトロ初となる追い越し路線を備えた「急行」の運転も行われるところだ。急行だと池袋―渋谷間は埼京線と同じ11分ほど、各駅停車だと山手線と同じ16分ほどで結ばれる。そして、開通することによって、各地域へのアクセスの利便性の向上はもちろん、池袋・渋谷といったターミナル駅、山手線など並行する既設路線の混雑緩和などの効果が期待できるという。
また、駅構内を見ると、運転情報などをわかりやすく表示したデジタルディスプレイや、転落事故防止のためのホームドア(電車とホームの間についた仕切り)などの設備が備わっている。

ところで、「“地下”鉄」ということでどうしても意識してしまうのが、閉塞感。でもこの副都心線では駅構内・車両において閉塞感を払拭するための様々な工夫が取り入れられている。

特に魅力的なのは、写真の「新宿三丁目駅」などでホームの一部に設けられた「吹き抜け」空間の存在だ。また新型の10000系車両は、通常よりも天井が20センチほど高くなっており、各車両の連結面の貫通扉には全面ガラス製のドアが採用されていたり、網棚もガラス製と、こちらも開放感を意識したつくりとなっている。

この東京メトロ副都心線、いよいよ14日に開通するわけだが、開業記念として、さまざまな期間限定イベントや、また、記念グッズの限定販売などが行われる(詳細はウェブサイトを参照)。利用できる日が近づいてきてとってもワクワクしてきた。
(dskiwt)

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