昨年の「スタンレーレディス」でツアー2勝目を挙げた稲見萌寧が、27日(水)に自主トレの様子を報道陣に公開した。ここでは今年から新たに取り入れたキックボクシングトレーニングで汗を流す姿を見ることもできたのだが、いったいこれはどんな効果をゴルフにもたらすのか? 稲見と、そのトレーナーで元プロキックボクサーの平野洋平氏に話を聞いた。

この冬、稲見は「シーズン終盤になると疲れで痩せてくる。(体重は)落ちてはしまうけど、その貯金を作る」ことを目的として積極的にトレーニングに取り組んでいる。開始からまだ1カ月も経っていないが、一緒に行う加重トレーニングや食事改善の効果もあいまって、すでに5キロの体重増加に成功した。
一度体を沈ませ、腰をしっかり回すことを意識しているような動きのなかから、平野氏が構えるミット目がけてパンチ、キックが繰り出される。1ラウンド3分で、これを2ラウンド。加重トレーニングの後に行っていることもあるが、「(3分と聞くと)楽に感じるけど、むっちゃ長い!」という時間が過ぎると、肩で息をし、足もパンパンといった様子だ。

稲見自身は、その練習の効果について「体の回転、腰のキレと瞬発力、上半身のねじれがスイングのスムーズさを生むと思う。これまではアドレスした時に、体が固まって動かないと思いながら打っていたけど、この練習をすることですごく動くようになった」ことを実感している。実際、ヘッドスピードで2m/秒アップ、飛距離で5ヤードアップという効果がもたらされたという。
だが闇雲にパンチ、キックを繰り出すだけでは効果は得られないはず。ここで意識するポイントについて平野氏は、「キックとゴルフのスイングのねじれは似ている。体の軸をまずしっかりと決めないといけません。
あとは蹴り足の力をしっかりと腰に乗せる。これをゴルフにも生かせてもらえたら」と話す。
筋トレでは背中、下半身、体幹を鍛えるメニューをローテーションで行い、キックボクシングが必ずここに加わるというのが一日の流れだ。だいたい1回1時間30分ほどで、これを週5~6回。この後に練習場での打ち込みや、コースでのラウンド、ケアをメインにしたトレーニングなどを行うのが、今年「複数回優勝」を目指す21歳のオフの過ごし方となる。
このトレーニングは、シーズン中も可能な限り自宅とジムがある千葉に戻り継続していく予定。
3月4日開幕の「ダイキンオーキッドレディス」で、スムーズな動きから、さらにキレ味が増したショットを放つ稲見のプレーを楽しみにしたい。