アニメ主題歌が音楽ランキング上位に輝くことは珍しくなくなり、TVや有線などを通して日常的にアニソンに触れる機会が増えてきた近年。
2019年冬クールも、様々な楽曲が生まれました。

その中でも特に話題を呼んだのは、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』オープニング主題歌であり、“ラヴソングの王様”こと鈴木雅之さんが初めて歌ったアニメソング「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」でしょう。

■『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』とは?
原作は、集英社「週刊ヤングジャンプ」にて連載中の同名作品。コミックス発行部数累計は電子版含め500万部を突破しており、今、 日本の全“週刊マンガ誌”に連載中のラブコメの売り上げ頂点に立つ作品である。
舞台は、エリートたちが集う名門校・秀知院学園の生徒会。副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行は両想いであるものの、互いにプライドが高すぎて告白することができない。そんな2人が権謀術数の限りを尽くし、「相手から告白させよう」と“恋愛頭脳戦”を繰り広げる様子を描く。


鈴木雅之が歌うオープニング主題歌「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」は、数多くのヒット曲を手掛けてきた本間昭光が楽曲プロデュース、「いきものがかり」リーダーの水野良樹が作詞・作曲、“バブリーダンス”で注目を集めた「大阪府立登美丘高等学校ダンス部」元キャプテンの伊原六花がゲストボーカルとして参加。錚々たる顔ぶれでリリース前から話題を呼んだ。
『かぐや様』面白いですよね。
ぼくも原作から読んでいて、「いつかアニメ化もされるんだろうな」と思っていました。
しかし、鈴木雅之さんが主題歌を担当するとはまったくの予想外。

「なぜ、鈴木雅之さん!?」
同じことを思っているアニメファンは大勢いると思います。

なので、『かぐや様』のTVアニメを手掛けるアニプレックス 石川達也プロデューサーにその起用理由を聞いてみました。

――単刀直入にお伺いしますが、なぜ鈴木雅之さんが『かぐや様』のオープニング主題歌を歌うことになったのですか。

アニプレックス 石川達也プロデューサー(以下、石川プロデューサー)
『かぐや様』は恋愛作品なので、まずオープニング楽曲をどうしようかと考えたときに「ラヴソングにしたい」という答えにたどり着いたんです。
そして、『かぐや様』の持つ“ギャップ”や“ドラマ”などのイメージを、ラヴソングとして表現していただくのであれば「“ラヴソングの王様”とも呼ばれる鈴木さんしかいないだろう!」と。
その後、鈴木さんサイドが、「いきものがかり」の水野さんに楽曲提供オファーをしてくださり、ポップ・ファンキー・アップテンポな楽曲イメージで主題歌を制作して頂きました。

――「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」は、伊原さんをゲストボーカルに迎えていますが、どのような狙いでデュエットという形を取ったのでしょうか。


石川プロデューサー
ゲスト女性ボーカルを入れるというのは、本楽曲のプロデュースを務めた本間さんのアイデアでした。
本間さん曰く「マーチンさん(鈴木さんの愛称)と伊原さんのデュエットというより、普通に会話しているような自然さで耳に届くようにバランスを取りました。狙い通りな仕上がりになったと思います」とのことです。また、「ファンキーでノリが良く、でも切ないメロディーが伝わるように、プロデュースしました」とも仰っています。

――「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」は、鈴木さんにとって39枚目のシングルであり、そしてご自身初のアニメ主題歌となりました。
アニプレックスでは今後も、アニソンを歌ったことのないアーティストを積極的にアニメ主題歌に起用するご予定はありますか。


石川プロデューサー
現在制作中の作品でも、鈴木さんのように、これまで直接的にアニメとは関わりのなかった様々なアーティストさんへのオファーを検討しています。
アニメ制作サイドとしては、主題歌がきっかけとなって、新たな層の方々に作品をご覧頂けるのは大変ありがたいことです。
また、鈴木さんご自身も『かぐや様』を毎週欠かさず見て頂いていると、レコード会社の担当の方から伺いました。

――近年はTVアニメ・劇場版アニメ問わず、若者に人気のアーティストが主題歌を担当することが珍しくありません。今後アニメ業界で、鈴木さんのような大ベテランの方がアニソンを歌うということも主流になっていくのでしょうか。

石川プロデューサー
例えば今後も長く愛されるであろうジブリ作品には、長く愛される定番アーティスト。
最近の『劇場版シティーハンター』では、長い年月を超えて愛し続けるファンの方々の期待に応えて「Get Wild」。
主流になるかどうか、という考え方ではないかもしれないですが、そのように作品・ファンに寄り添える主題歌であるべきだと思います。
そういう意味で言えば、長く愛される・長く愛されているアニメ作品が増えるほど、ベテランの方にご担当頂くことも増えていくのではないでしょうか。

――石川プロデューサー、お答え頂きありがとうございました。

「なぜ、『かぐや様』の主題歌が鈴木雅之さん!?」
“深夜枠のラブコメアニメ”で鈴木雅之さん……そのインパクトがあまり凄すぎて、思わずインタビューに発展してしまった今回の企画。
一見すると両者のイメージは噛み合っていないようですが、男女の駆け引きを描く『かぐや様』と“ザ・鈴木雅之”なファンキーかつソウルフルな歌がハマり、その絶妙なミスマッチが癖になってしまう素敵なコラボです。


毎クールごとに、個性豊かな楽曲がたくさんリリースされるアニソン。
今後はどのようなアーティストが、どのような曲を歌うのか。そして、どのようなムーブメントが発生するのか。先のことはわかりませんが……
石川プロデューサーの仰る通り、その作品に寄り添って、ファンの方が楽しめる主題歌がこれからもたくさん生まれて欲しいですね。

「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」も収録された、鈴木雅之さんのニューアルバム「Funky Flag」は3月13日発売。【通常版】は3,200円(税込)、レコーディングドキュメント収録DVD付き【初回生産限定盤】は3,700円(税込)です。

『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』
(C)赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会