SFアクション映画の金字塔『ターミネーター2』(1991)の正統な続編として、同シリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロンが製作に復帰した最新作『ターミネーター:ニュー・フェイト』が本日8日よりいよいよ公開。28年ぶりにタッグを組んだT‐800役のアーノルド・シュワルツェネッガーとサラ・コナー役のリンダ・ハミルトンがそろってインタビューに応じ、本作に懸けたそれぞれの思いを語った。


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 ある日、ターミネーター“REV‐9”が、メキシコシティの自動車工場で働く21歳の女性ダニーと弟のミゲルを抹殺するため、未来からやって来る。だが、強化型兵士のグレースがそれを阻止。彼らが戦う目的はいったい何なのか。そして、サラ・コナーとT‐800を待つ新たな運命とは。

 最新作『ターミネーター:ニュー・フェイト』について、2人が口をそろえて強調するのが、この映画は「罪悪感からスタートする」ということ。おなじみのキャラクターが再びファンを熱狂させることは間違いないが、そのイメージは大きな変ぼうを遂げている。


 リンダはサラについて、「あまりハッピーな状態ではない」と口火を切る。「パート1、パート2とは全く違った立ち位置で、サラが新たな戦いにどう立ち向かっていくのか…そこが1つの見どころね」と含みを持たせる。

 一方、T‐800役として再登場するアーノルドも、「彼は過去の過ちに罪悪感を持ち、人間のことをより理解しようと努力するキャラクター」と説明。

 「人間の感情や行動、ユーモアも理解し、自分の中に取り込んでいくが、殺人マシンとしての側面も持っている。そのスイッチが切り替わる瞬間をどう演じるか、という点ではとても興味深いキャラクターだった。ジェームズに『少しフェミニンな要素も入れたい』と提案したが、そういった一面も、どこかで感じてもらえるはず」とアピールした。

 また、本編の中で、若かりし頃のサラ・コナーとT‐800が登場するシーンがあるが、この若き日の撮影方法に、2人はかなり感情を揺さぶられたと告白。

 リンダは、少し間を置き「あのシーンに関しては、私の体に合った代役を選んで、私の若い頃の顔をCGで合成したので、私自身は一切の作業に関わっていないの」と話し始めると、「ただ、その映像を観て、がく然としたわ。(代役に)もっと激しく、もっとどう猛にサラを演じてほしかったのに、なかなかそういう風にはしてくれない。それを見ているのが本当につらくて…。撮影初日だったと思うけど、『サラ・コナーになるということは、こういうことよ!』と教えられないもどかしさから、泣いてしまったの。自分でコントロールできないことが悔しくて…本当に目が腫れるくらい号泣したわ」と語気を強めながらも、当時抱いた感情を振り返る。


 アーノルドも、リンダと同じように代役を立てて撮影したそうだが、ちょっと彼女とは状況が違っていた。「私は、あくまでも自分で演じるつもりでいたが、スタッフに止められたんだ。というのも、手術を終えて入院中だったし、撮影現場がスペインだったので、物理的にも現場に向かうことは難しかった。手術後、体調をしっかり戻して、本編の撮影に臨める準備を慎重に進めなければならなかったので、任せられるところは、任せることにしたんだよ」と述懐。

 ただ、「リンダの気持ちも痛いほどわかる」というアーノルドは、「自分じゃない人間が演じていることに奇妙さを感じたね。『自分だったらこういう動きをしたんじゃないか』とか、『こんなアプローチをしたんじゃないか』とか、思うこともたくさんあったし、コントロールできないもどかしさは確かにあった」と心情を吐露した。


 唯一心残りだったという若かりし頃の2人のシーンに関しては、ぜひ、“その意味”も含めて劇場で確かめてほしいが、それにしても、サラ・コナーとT‐800が同じスクリーンで並んで映し出される映像は、多くのファンが待ち望んでいた瞬間。

 パート1以来、35年間、友情を保ち続けている2人は、久々のタッグにも「安心感しかなかった」と目を合わせながらニッコリ。「パート2から28年経つけれど、その間、ずっと『ターミネーター』の仕事をやり続けてきた感じだったよ」とアーノルドが言うように、呼吸の合った見事なハーモニーは、この映画に不思議なオーラをもたらしている。(取材・文・写真:坂田正樹)

 映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』は全国公開中。