フランス映画『PLAY 25年分のラストシーン』より、アントニー・マルシアーノ監督が「撮影が一番大変だった!」と語る、1998年サッカーW杯フランス大会で、地元フランス優勝に湧く主人公たちの熱狂ぶりを収めた本編映像が解禁された。

【写真】ホームビデオの映像で25年間をつなぐ『PLAY 25年分のラストシーン』場面写真

 本作は、パリを舞台に90年代カルチャーで彩る“再生”の物語。

1990年代から2010年代まで25年にわたり撮り続けたホームビデオの映像をつないで振り返る手法で、当時の時代の空気感をリアルに再現した。

 90年代を彩るジャミロクワイ、オアシス、レニー・クラヴィッツ、アラニス・モリセットなど、それぞれの時代を感じさせる名曲とともに人生を“PLAY(再生)”していく主人公マックスを演じるのは、コメディアンのマックス・ブーブリル。盟友アントニー・マルシアーノ監督のアイデアにほれ込み、共同で脚本も手がけた。2019年サン・セバスティアン国際映画祭に正式出品され、その斬新な試みが話題となった。

 主人公マックスは、13歳のときに両親からもらったビデオカメラで幼なじみのエマ、マチアス、アルノーたちとの日々を撮り始め、その25年間の記録の中には歴史的なイベントも。今回解禁された本編映像は、そんなイベントのひとつで、1998年サッカーW杯フランス大会で地元フランス優勝に湧く主人公マックスたちの熱狂ぶりを、臨場感たっぷりに描いたシーン。


 1998年フランス・サッカーW杯決勝戦のフランスVSブラジル戦、広場のパブリックビューイングに集う大観衆とともにフランスの応援をするマックスたち。ついにフランスがゴールを決めると、撮影するマックスが自分や仲間たちにカメラを向け大興奮。揺れるカメラ映像から、彼らの熱狂が伝わってくる。

 その後、優勝後の観衆の大騒ぎを背に、マックスが未来の自分の子どもに向けて「今日の感動を君たちも味わってほしい。とても説明できないよ」「黒人、白人、アラブ人、ユダヤ人、みんな一緒だ。貧富の差も関係ない」と興奮気味にカメラに語りかける。
まるで当時のニュース映像を見ているかのような一幕だ。

 POV(Point Of View)と呼ばれる一人称による主観ショットで撮影されている映画作品は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)や『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなどホラー作品に多いイメージだが、本作でもPOV演出の効果により、観客が作品の世界により入り込めるようになっている。

 劇中、監督がアーカイブ映像を使ったシーンは2つだけで、当時の出来事も可能な限り実際に撮影をすることにこだわったそう。今回のシーンでは、まずアーカイブ映像を探し、その映像と同じ動きを撮影用カメラで再現。そのあと実際に撮影した映像と組み合わせることで違和感のない場面を作り出した。その演出と撮影のこだわりにより、当時の熱狂とそこにいる主人公たちの気持ちがリアルに伝わってくるのが大きな見どころの一つとなっている。


 マルシアーノ監督は、「1998年のフランスワールドカップや2000年のミレニアムパーティなどの思い出…自分の人生のたくさんのそういう時をもう一度体験してみたかった。みんなにもこの体験をしてほしくて、それでビデオを撮っている主役の立場で(主役の目線で)観られるように作りました」と本作に込めた想いを語っている。

 映画『PLAY 25年分のラストシーン』は11月6日より全国順次公開。