先日、こよなく愛する「チョコレートアイスバー ブラック」(赤城乳業)のパッケージを眺めているとき、こんな注意書きに目が留まった。

「すぐ食べると商品が口にはりつくことがあります」
「食べ終わった後、スティックを口にくわえて遊ばないで下さい」

乳幼児向け商品ならいざ知らず、小学生だってたいてい知っている内容である。


また、小さい子どもに与える際には、「歩きながら食べないの!」「くわえて歩かないの!」という注意は、昔から延々脈々と大人が行ってきたもの。
もちろんいくら注意しても、悲しい事故が100%防げるとは言い切れず、実際、痛ましいニュースを聞くこともときどきあるわけだけれど……。

でも、ここまで細かく親切な注意書きって、必要なの?  もしかして法的に定められているもの?
赤城乳業に聞いた。

「この注意書きは、法律的に義務付けられているものではなく、当社独自の判断で入れさせていただいております」

「口にはりつく」「スティックをくわえて怪我をした」などのクレームがあったのかと聞くと……。
「そういったことは知る限りありませんが、アイスは氷に近いもので、口にはりついて皮がめくれたりすることもありえます。また、数年前に綿菓子の棒が刺さって亡くなられた方のニュースがありましたが、そういった事故がないとは限らないため、万が一のことを考えてのことです」

さらに、近年のこんにゃくゼリーの悲しい事故なども影響し、注意書きが細かくなっているそうだが、いちばんのきっかけは、「PL法」ができたことだという。

「お菓子などのアレルギーに関する表示もかなり細かくなりましたが、アイス業界でも全体にかなり細かくなっています」

それにしても、特に注意書きが細かいのは、スティック状のラクトアイスの気がするけど……。
「同じラクトアイスでも、ソフトクリームタイプなどは口にはりつきにくいのですが、かたまっているスティックバーは、はりつきやすいものが多いですね。皆さん、買ってすぐ袋をあけてかぶりつくことが多いので、キンキンに冷えたものがやわらかい唇の皮にふれると、破れてしまったりする可能性もあるんです」

ちなみに、他社のアイスの注意書きも一部ご紹介すると……。
「冷凍庫から出してすぐ食べると製品が口元に張り付くことがあります」(グリコ/アイスの実)
「中身が溶けた時、容器を傾けるともれるおそれがありますのでご注意ください」(ロッテ/爽)
「吸い口に舌を入れる等して遊ばないように注意して下さい」(グリコ/パピコ)
さらに、「溶けた時、スティックから落ちやすくなります」みたいな注意を書いている製品もあった。

もちろん万が一を考え、事故がないための細心の注意は必要だろう。
また、悲しい事故が起こったときのメーカー側の責任問題の点から、注意書きが必要という面もあるだろう。

でも、ここまで書いていたら、そのうち「スティックは食べられません」「アイスは長時間放置すると溶けます」レベルの注意書きまで必要になる時代がきたりしないだろうか……。
(田幸和歌子)