ここ数年、漫画雑誌の分厚さが激しく鈍器です。
子供の頃「コロコロコミックって分厚いよな!」というお得感があったのですが、ふと書店で見たらあら意外、今並んでいる数多くの雑誌より……薄いぞ!? 750ページ近くあるのに、それでもなお負けるというのか! じゃあ「りぼん」「なかよし」「ちゃお」の少女漫画勢はどうかと思いきや、付録の厚みこそあれ意外と普通。

じゃあ「ベスト・オブ・鈍器」な漫画雑誌はなんなのか?
これは思い切って全部買って比べるしか無いだろう!と思い早速書店をぐるぐる回って買い集めて調査してみました。
積んだ写真を左に貼ってみましたが、いやあ。まあ一冊でも分厚いのにこれだけ買ったら……重いの何の。あまりのことに連れの女性がテンションあがってギターを弾きはじめてしまいました。
実質、学術系の書店にない雑誌を抜けば漫画雑誌は他の雑誌と比較にならないくらい厚いです。ですのでこれは「雑誌の厚さベスト」だと思っても構わないでしょう。


<最低基準>
・ぼくの指3本分より厚い本を買い集めました。
・ある程度のページ数があること(750ページ前後以上)。
・おまけ冊子はカウントしない。
・単発ではなく、雑誌として刊行されていること。

ちなみに週刊少年誌のページ数は450ページくらいで、2.5cmです。
(注)カウントは2010年9月21日現在の数値です。
月によって猛烈に分厚い場合があるのでこれが全てではありません。また厚さは湿度や保存状態で多少変化しますのでご了承ください。価格はすべて税込です。

では十位から順に発表!

十位・厚さ4.7cm
別冊マーガレット sister (シスター)(集英社)
846ページ/1.0kg/B5サイズ/少女誌/650円
電撃マ王(アスキーメディアワークス)
757ページ/0.9kg/B5サイズ/少年誌/680円
ガンガンJOKER(スクエアエニックス)
950ページ/1.2kg/B5サイズ/少年誌/540円

九位・厚さ4.8cm
コミックビーズログ キュン!(エンターブレイン)
746ページ/1.1kg/B5サイズ/少女誌680円

八位・厚さ4.9cm
Asuka (アスカ)(角川書店)
812ページ/1.3kg/B5サイズ/少女誌/480円

七位・厚さ5.0cm
Silky (シルキー)(白泉社)
742ページ/0.7kg/A5サイズ/少女誌/700円
G(ジー)ファンタジー(スクエアエニックス)
768ページ/1.1kg/B5サイズ/総合誌/580円
ちゃお DX (デラックス)(小学館)
776ページ/0.7kg/A5サイズ/少女誌/530円
LaLa DX (ララ デラックス)(白泉社)
858ページ/0.8kg/A5サイズ/少女誌/690円

すでに週刊誌の倍ありますね。
5cm以下枠は非常に熾烈な1ミリ単位の争いです。
それにしても、スクエアエニックス系の雑誌のまあまあ分厚いこと。
下の写真にもありますが、ガンガンジョーカーは厚いのを逆手に取って、背表紙をファッショナブルにしているのが面白いです。
このゾーンの雑誌で興味深いのは、付録が超絶に豪華だということです。「ガンガンファンタジー」は人気コミック「黒執事」のボールペン、「ASUKA」と「キュン!」はドラマCD、「電撃マ王」に至ってはカラー入りの付録冊子に携帯クリーナーが付いてきます。
お値段は見ての通りかなり安い。雑誌の売上競争に付録がいかに重要か見えてきますね。
ここから5cmのリミッターが解除されます。
九位以降です。

六位・厚さ5.1cm
月刊 少年ライバル(講談社)
912ページ/1.3kg/B5サイズ/少年誌/500円

五位・厚さ5.4cm
ザ・花とゆめ(白泉社)
812ページ/0.7kg/A5サイズ/少女誌/690円
少年エースA(角川書店)
982ページ/1.3kg/B5サイズ/少年誌/580円
マガジンイーノ(講談社)
994ページ/1.1kg/B5サイズ/少年誌/650円

少年誌が台頭! 少年誌は基本的にB5サイズなので「でかさ」「重さ」「厚さ」総合でカウントすると書店での圧倒感がものすごいです。初期予想では「エース」「イーノ」「ライバル」がトップクラスに入ると思っていたので、この順位なのはちょっと意外です。
「イーノ」は背表紙にこれでもかと内容の解説が入っているので、書店の棚を見ると文字がびっちりでお経のような異彩を放っています。

四位・厚さ5.5cm
ご家族トラブル(宙出版)
746ページ/0.6kg/A5サイズ/実話誌/690円

三位・厚さ5.6cm
プチプリンセス(秋田書店)
816ページ/0.9kg/A5サイズ/少女誌/690円

二位・厚さ5.7cm>
ザ・マーガレット(集英社)
厚さ942ページ/0.7kg/A5サイズ/少女誌/600円

四位以降はデッドヒート。ほぼ見た目には厚さは変わりません。

それにしてもA5版少女誌激強! ただしA5サイズなため比較的軽量なのが面白いですね。女性がページにお得感を感じつつ、1kgの壁を越えないことで持ちやすいように配慮されているのでしょうか。興味深いのは五位にランクインした実話誌。実話系の雑誌は厚さが平均してやたら分厚いんですが、ページ数が他と比べてちょっとだけ少なく、重さも軽くなっているのがポイント。どうやら紙質が他の雑誌と違うようです。にしても実話系は表紙が怖いです。


そして堂々の一位はこちらの二誌。

一位・厚さ6.6cm
少年ガンガン(スクエアエニックス)
厚さ6.6cm/1232ページ/1.7kg/B5サイズ/少年誌/500円
Sho - Comi (少女コミック) 増刊(小学館)
厚さ6.6cm/ページ数1008ページ/0.8kg/A5サイズ/少女誌/720円

ダントツの威圧感を誇る「ガンガン」と「Sho-Comi増刊」が同サイズ一位! 
「ガンガン」は特に「月刊少年鈍器」とネットで呼ばれるくらい。ページ数がダントツに飛び抜けている上に、重さだけで言えば頭一つ飛び出しています。片手でつかんで持ち上げたらダンベルがわりになります。メイン購買層の少年達にしてみたら、これで500円ワンコイン、しかもおまけ付きというお得感は見逃せません。
「Sho-Comi増刊」は判型が少々小さいため、立てておいておくと縦なのか横なのか分からないくらいです。コンビニでよく売っているのですが、ニ冊かと思ったら一冊でびっくりした人もいると思います。メイン購買層は中高生だと思われますので、1000ページを越えておきつつ1kgを越えない配慮はさすが。厚さと重さは、女の子が片手で持てる限界ギリギリですね。
にしても、「ガンガン」が「コロコロコミック」の倍弱の厚さなのには驚きました。ページに比例した数値ですが、並べて見るとちょっとびっくりします。

十位以下は実話誌、ミステリー誌、A5少女誌、少年誌が競り合っていて、甲乙つけ難い状態になっています。そして途中の4センチ台ゾーンから飛んで、一気に3センチ台ゾーンの通常サイズがずらーっと軒を並べるのが面白いところです。
厚い雑誌はとことん厚くなるまでボリュームで勝負!という意気込みを感じます。実際表紙に「メガ」とか「増量○○ページ!」と書いていることが多いのも特徴です。

さて、ここで見逃せない雑誌として、以下の2冊をあげておきましょう。

月刊 アフタヌーン(講談社)
厚さ4.4cm/1104ページ/1.2kg/B5サイズ/青年誌/680円

Fellows!(フェローズ!)(エンターブレイン)
厚さ4.4cm/1054ページ/1.4kg/B5サイズ/青年誌/680円

厚さこそ「ガンガン」には2cm以上及ばないものの、なんとページ数だけ見ると1位と大差ないのです。
原因は紙質の違い。ひと目で見て分かるほど、全く質の違う薄い紙が使用されているのです。重さを見ていただければ分かりますが、かなり重量密度が高いです。隠れマッチョ雑誌とでもいいましょうか。
両誌ともマンガファンの中でもかなりコアな層を狙った雑誌なのも興味深いところです。買う人が「この雑誌はページ数が多い」とわかって買っているんですよ。
今後薄い紙でページ数の多い雑誌が増えるのか、今の紙質の分厚いボリューム感を保持するか、どちらに雑誌業界が進んでいくか気になるところです。

「ページ数が多い雑誌=いい雑誌」とは限りません。ですが「お得感」「ボリューム感」「持ちやすさ」は雑誌のファーストインプレッションとしては重要な要素。買った後に満足するのもマンガ雑誌の楽しさです。かなり研究されてこその厚さになっているのではないでしょうか。
ところで「fellows!」は一度厚くなりすぎて以前二冊に分けて発売されていたのですが、次の13号で1222ページとかえらいことになっています。どういうことなの!?
「10cm越えの2000ページ!」なんて冗談でよく言われていますが、現実にそんな雑誌が出る可能性、0ではないかもしれません。(たまごまご)