1936年に誕生して以来、フランスの定番ドリンクとしてその地位を保っているオランジーナ。元はシュウェップス・インターナショナル・リミテッド社の商品だが、2012年にサントリーが日本で販売を始め、瞬く間に日本国内でも認知された。


世界にオランジーナが初お目見えしたのは仏南部マルセイユの見本市。スペイン・バレンシア出身の薬剤師トリーゴ博士の発明品から、仏領アルジェリア人レオン・ブトン氏が着想を得た。最初は「ナランジーナ(スペイン語で小さなオレンジ)」という名前だったが、その後「オランジーナ」になったそうだ。

現在約60カ国で売られている同商品、日本と本場フランスでどう違うのか。飲み比べてみた。

まずパッケージが異なる。
日本のオランジーナは日本人がフランスに抱く、かわいらしい印象を全面に出したプリント。一方でフランスはスッキリした感じだ。中身にも明確な違いがあった。日本はジュース自体の色が若干濃く香りが強い。そしてフランスに比べて甘い。一方で、フランスは香りの主張はそこまで無いものの、炭酸が強くジュース内にあるオレンジの粒は多い。


日本はパッケージのイラスト通り、炭酸がまろやかで甘くかわいらしい味。フランスは炭酸が強めでさっぱりとした味。両者の違いは微妙なものではなく、明確に分かるレベルだった。これら両商品のイメージの違いは、公式ホームページを見ても明からで、日本が女子受けしそうなカラフルでポップな感じを全面に出しているのに対し、フランスは人の出で立ちをしたリアルな動物がメインだ。

では、なぜ炭酸の強さが違うのか。日本版オランジーナは、日本の原料で日本国内の規則に沿って生産する必要があったからだそうだが、そこで日仏の味の違いが起こす効果を推測してみた。


フランスの場合、良くも悪くも細かなことに気を配らず、小売店やレストランでドリンクがあまり冷やされていないことが多い。そのため炭酸が強いと冷たくなくても喉越しが爽やかになる。しかし日本の場合、全てのドリンクはキンキンに冷やされて提供されるため、フランス版のように炭酸を強くする必要がない。きちんと冷えているということは甘さも感じにくいということで、日本がフランスより少しだけ味を濃いことも道理にかなっている。

オランジーナは日本での発売からもうすぐ1周年を迎える。3月18日から24日まで表参道に期間限定カフェもオープン(詳細は公式ホームページ)するそうなので、オランジーナファンはぜひ足を運んでみては。

(加藤亨延)

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