「今は法律より、絵梨の人生のほうが大事だ。私が最善の策を考えるから、これ以上騒ぎを起こすな」

4月25日放送のドラマ「アリスの棘」第3話で、大学病院の顧問弁護士・日向誠(尾美としのり)はクレーマーとして現れた元愛人・田中絵梨(遠野なぎこ)と再会。
都知事選出馬を控えて大事なときなのに……と狼狽する。

この再会は、主人公・明日美(上野樹里)によって仕組まれたものだった。日向は得意の裏工作ではなんとか乗り切ろうとするが、次第に追い詰められる。しかし、そう簡単には屈しない。尾美としのりが中年男のふてぶてしさと、したたかさを見せつけた。

ただ、日向は「仕事もプライベートも隙のない男」と評される一方で、不倫相手との関係は隙だらけ。
恋は盲目、不倫はお祭り。はしゃぎすぎて周囲が見えなくなってしまうのか。第3話をおさらいしながら、不倫のリスクマネジメントについて整理してみたい。

★危険行為その1:腕を組んで歩く
明日美が絵梨に連絡をとるきっかけは1枚の写真。親しげに腕を組む絵梨と日向が映っていた。「腕を組んで歩く」「手をつなぐ」「路上でキス」などなどは、いずれも不倫バレへの第一歩。
やってる側もそんなことは百も承知だが、「セーンセ♪」と腕をからめられれば、断りきれないというところかも。終電間際のターミナル駅にも、路チューに励む不倫カップルらしき人々がわんさかいる。おもしろ画像としてTwitterやFacebookにアップされるリスクは肝に銘じておいたほうがいいだろう。

★危険行為その2:配偶者情報をソーシャル展開
日向は「見てみて、日向先生のSNSの更新。奥さんのことばっかり」と看護師たちがウワサされるほど、せっせとSNSで嫁情報を発信していた。こうした行動様式の既婚男性は案外多く、女子間でも何アピールなのかと、話題になる。
不倫相手ともソーシャルでつながっている場合は、いらだちをかきたてる上、報復の選択肢を増やすことにもつながる。身に覚えがないなら尚更。日向のように”ダイニングには私の帰宅時間を見越した妻がザクロカレー、冷えた体を温めるトマトスープを温め、待っていてくれた。有り難う、今日も美味しく頂きます。”といった書き込みが多いと、痛くもない腹を探られることに。

★危険行為その3:毎年同じ時期、同じ場所で夫婦でお祝い
毎年、結婚記念日にはディナークルーズに行くという日向夫妻。
病院での送別会を終え、船にかけつけるとそこには、にこやかに談笑する妻と元・愛人がいた。わお! 結婚記念日や誕生日といったイベントごとを大事にするのは夫婦円満の秘訣。しかし、不倫中となると話は別だ。誰にも知られず、実施できればいいようなものだが、たいてい周囲に言ってしまっているし、聞きつけた不倫相手から「どうせ、その日は……!」などとなじられたりもする。「プレゼントはあ・た・し」と本人が現れるかどうかはともかく、さまざまなサプライズが繰り出される可能性がある。

★危険行為その4:経済的援助を申し出る
日向は「子どもを諦めてくれたら、今後もできる限り支援をする」と、絵梨に約束する。
明日美は「腹の子は処分するんだ」と迫る日向を動画撮影し、ネット公開しようとしていた。でも、絵梨は「社会的地位がなくなったら、お金とれなくなる」と反対。明日美からビデオを奪い、新たな脅迫者となる。「お金をもらってつきあってるわけじゃないし」をプライドのよりどころとする不倫女子は少なからずいる。だが、いったんもらえるとなると、精神的苦痛に時間、愛情、青春あらゆるものを計上し始める傾向も見られる。「お金が介在しないからこそ美しい」とかなんとか言いながら全力で逃げ切る胆力が求められる。


★危険行為その5:避妊しない
絵梨に再会したとき、日向は「どういうことだ、その腹」と絶句していた。絵梨の「病院に行ったけど、こわくて……」という返事から察するに、身に覚えもあったようだ。不倫の法的リスクを論じた『不倫のリーガルレッスン』(日野いつみ/新潮新書)でも、不倫の「〜べからず」として真っ先にあげられていたのが「子どもは作るべからず」だった。
"戸籍上や生活上のつながりがない不倫関係では、肉体関係が相対的に重要なコミュニケーションの手段となる。となると、感情的につい、避妊しない密な関係を求めがちであるが、コンドームはつけた方がいい。”
ごもっともである。

同書では他にも、「離婚・結婚を約束するべからず」「配偶者との不仲話や欠点話をするべからず」「直筆署名入りの手紙は書くべからず」などの危険行為の数々が法的解釈とともに紹介されている。「アリスの棘」の副読本としてもおすすめ。

さて、今夜は第4話。予告編によると、早くも"最後にして最大の敵”として、岩城滉一演じる盤台教授が立ちはだかるらしい。唯一のほのぼのキャラ、研修医で盤台教授の息子である悠真(中村蒼)との進展も気になる。
(島影真奈美)

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