琳派とコラボした新しい発想の京菓子 50グラムにこめられた芸術
昨年のデザイン部門大賞作品(「硯箱」)。

今年は琳派誕生400年の節目。日本全国で琳派に絡んだ展示会が開催されているが、「琳派」といわれても、ぴんとこない人も多い。

そんな人には、目と舌の両方で琳派を味わえる「手のひらの自然 京菓子と琳派展」がいいかもしれない。
琳派とコラボした新しい発想の京菓子 50グラムにこめられた芸術
会場内では芸術作品のようなお菓子が展示。


新しい京菓子誕生への期待 高校生の応募も


これは琳派と京菓子を組み合わせた展覧会。
琳派×京菓子の展覧会は2013年よりスタートし、今年で3年目となる。その理由としては、「琳派はあまりに大きなテーマ。3年連続でやってみたら見えてくるもの、生まれてくるもの、新しい京菓子が生まれるのではないか」という期待感があったからだそう。
実際、昨年と比較して、若い世代(高校生)の応募が多くなったり、より琳派を勉強して作品を打ち出してくる人が多いという。

琳派とコラボした新しい発想の京菓子 50グラムにこめられた芸術
昨年の実作部門大賞作品(「Minimal Art KORIN」)


自由な発想を模索し続けている京菓子職人たち


そもそも琳派は京都発信の芸術。
堅苦しい決まりや師弟関係に縛られず、自由な発想で生まれた芸術を指す。
そんな琳派に基づいた「自由な発想」による京菓子。それがこの展覧会の目指すところだ。
京菓子というと昔ながらの伝統を守るイメージが強いが、現場に立つ人間は常に新しい京菓子を模索し続けている。
そこで、昨年からはじまったのが「公募」による作品募集。一般人による琳派をイメージした自由なイメージの菓子デザインを、プロの京菓子職人が立体化し、本物の京菓子に作り上げる。
これまでは一般の人に声をかけてデザイン作成をお願いしていたそうだが、幅を広げるため公募というスタイルに踏み切った。全く新しいデザインを、手のひらサイズ50グラム程度の小さな世界に表現する職人技や伝統と新しいイメージの融合も見所だ。

そんな「手のひらの自然 京菓子と琳派展」は10月25日(日)から11月7日(土)、10時から17時まで開催。弘道館だけでなく、10月21日から27日までは京都高島屋6階の美術画廊にも特別会場を用意。
本会場の弘道館は、江戸時代の学問・文化サロンであり建造物自体が文化的遺産。そんな会場内では、京菓子を「体感する」がテーマ。

建物の全体を使って、展覧会場を作りあげ、30近くもの京菓子をみるだけでなく「京菓子とはなにか」という映像、京菓子を作るワークショップも予約制で受付中。さらに、入選作品をお抹茶と共に実食できるコーナーもあるそうだ。
目でみるだけでなく、味で香りで琳派を楽しめる。

ちょうど開催期間は、京都国立博物館で琳派の展示会も会期中だ。そちらで絵画の琳派を味わったあとは、美味しい琳派を食べに出かけてみては。
(のなかなおみ)