アイドルとは、過酷な職業です。青春時代を賭け、人生で最も瑞々しい時期をファンのために捧げる若者たち。
学業より芸能活動を優先し、就職という道を辿らずアイドルを貫き通す少年少女も珍しくありません。

しかし、一方ではこんな子たちもいる。10月30日より活動を開始したグループ「キチョハナカンシャ」は、"本気で内定を目指す就活アイドル"をコンセプトに掲げているそうです。
「本気で内定目指す」就活アイドル結成 新卒一括採用へのアンチテーゼも

「リクルートスーツが、キチョハナカンシャのパフォーマンス衣装です。ビシッと決めた本物のリクルートスーツで活動を行っていきます」(「キチョハナカンシャ実行委員会」プロデューサー・山崎氏)
なんと、この格好で歌ったり踊ったりするらしい!
「本気で内定目指す」就活アイドル結成 新卒一括採用へのアンチテーゼも


気になることは山ほどあるのだが、まずはメンバーについて。10月末までメンバー募集が行われ、現在は運営により応募者の中から選考が行われている最中です。

「"内定したら即卒業"というシステムのもと、キチョハナカンシャは活動いたします。そして、志望企業から内定をいただいたメンバーから卒業していきます」(「キチョハナカンシャ実行委員会」プロデューサー・赤津氏)
2017年卒業の1期生、2018年卒業の2期生……といった形で永続的な活動を目標にしている模様。

ところで、そもそもこの突飛なコンセプトは何なのか? キチョハナカンシャ誕生までの経緯を、改めて運営に伺ってみました。
「活動背景には、多くの学生を困惑させている度重なる就職活動期間の変更があります。昨年の後ろ倒しから、つい先日公表された前倒しと、毎年激変する就職活動のなか、先輩やOBの声、HOW TO本では必要な情報が得にくいのが現状です。キチョハナカンシャが同じ就活生という立場からアイドル活動を行うことで、透明性のある生の情報を最大限就活生に発信し、混沌とする就活の透明化を目指していきます」(山崎氏)
ブログやTwitterといったSNS等を通じて就活生としての"生の声"を世の中に伝え、就職活動の透明化を目指すというわけです。

「また、一見関連性のない『アイドル』と『就職活動』ですが、画一的で厳しい市場のなか個性を出そうと悩みもがきながらも高みを目指す点において、両者には共通点があると感じています。彼女らが頑張る姿を世の中に発信することで就職活動生にも『頑張ろう!』という感情をもたらし、多くの就活生の共感を生む可能性があるのでは? と考えました」(赤津氏)
就活における"メディア"としての働き。キチョハナカンシャの活動によって就活生が元気づけられる。この2つこそ、"就活アイドル"である彼女らが果たす役割です。
「もちろん、メンバーをしっかり志望企業に送り出すことも目標の一つです!」(山崎氏)

10月末よりすでに学園祭や就活イベントなどでライブ活動を開始しているキチョハナカンシャ、1期生は最終的に10名前後となる見込みだそう。
「本気で内定目指す」就活アイドル結成 新卒一括採用へのアンチテーゼも

当然、キチョハナカンシャは就活にまつわる楽曲を歌っていきます。

「デビュー曲『すすめっ!就活ガール』の歌詞には、『合説(合同説明会)』、『ES(エントリーシート)』、『馴れないスーツ』、『黒髪束ねて』など就職活動ならではのフレーズを散りばめ、就職活動生として奮闘するメンバー自身の気持ちを描きました。この曲のために制作したミュージックビデオのコンセプトは『採用面接』です」(山崎氏)
「本気で内定目指す」就活アイドル結成 新卒一括採用へのアンチテーゼも

ミュージックビデオ、まさしく元気づけられる内容になっていました。2人の面接官と対峙するキチョハナカンシャが一念発起、最後には面接官たちに「採用!」と言わせるスト―リーです。

最後に、グループ名についてをご説明しましょう。「キチョハナカンシャ」とは、就活生が企業説明会等の後に使う決まり文句「貴重なお話、ありがとうございました!」を略した造語です。
「没個性化、マニュアル化する新卒一括採用に対するアンチテーゼと、その中で葛藤しながらも必死に活動するメンバーの意気込みを意味しています」(赤津氏)
「本気で内定目指す」就活アイドル結成 新卒一括採用へのアンチテーゼも


奇をてらっただけかと思いきや、掘り下げると予想外に深き"正義"があったキチョハナカンシャ。
聞いてみるもんですね。貴重なお話、ありがとうございました!
(寺西ジャジューカ)