栗原美和子という人をご存知でしょうか? 『お台場明石城』や『サンデージャポン』の熱心な視聴者ならば、もしかしたら知っているかも知れません。
彼女は、フジテレビのドラマプロデューサーであり、『ムコ殿』『人にやさしく』『東京湾景』などを手掛け、最近ではあの高畑裕太も出演した『武道館』という作品も担当しました。


明石家さんまがよくネタにする栗原美和子


御年51歳。今ではすっかりフジテレビドラマ畑の重鎮となった栗原ですが、昔はバラエティ畑にいたらしく、そこで相当破天荒に振舞っていたと、よく明石家さんまからネタにされています。
まず、出勤スタイルはボディコン。一応「合コンだから」という理由があったとはいえ、私服OKの局内においても、かなり浮いていたとのこと。さらには、プロデューサーや大御所を「ちゃん」付けで呼ぶなど、「恐るべき新人社員」として同僚・演者を閉口させていたのだとか。

平均視聴率23.5%の人気ドラマ『ピュア』を手掛ける


そんな破天荒エピソードに事欠かない栗原ですが、老いてもなお、重責を与えられている現状を鑑みると、与えられたチャンスにしっかりと結果で応える実力もあったと推察されます。
実際に、90年代後半~00年代前半には、多彩なヒット作を世に送り出しており、和久井映見主演で平均23.5%の高視聴率を叩きだした『ピュア』もその一つ。このドラマには、栗原のドラマプロデューサーとしての才気を感じさせる、ある創作秘話があります。


「ジミー大西をかわいい女の子に」


バラエティ班からドラマ班に来たばかりの栗原には、ある構想がありました。それは「ジミー大西をかわいい女の子として描いたドラマを撮りたい」という奇想天外なもの。
ジミー大西といえば、彼女が『ひょうきん族』のAD時代からよく知るさんまの弟子。萩本欽一が舞台上でのボケっぷりを見て「チャップリンの再来か?」と驚愕するも、後に「天然だったんだね…」とガッカリしたという逸話を残す元祖天然芸人です。それに加えて、「山下清の再来か?」と呼ばれるほどの卓越した抽象画家でもあるという、奇妙な二面性をもつ彼に、栗原は創作意欲を刺激されたのです。

その結果できたのが、ドラマ『ピュア』でした。
軽度の知的障害(イデオ・サヴァン症候群)を持ちながらも、オブジェ作りに関しては天性の才能を有している和久井映見演じる主人公・折原優香は、まさしくジミーの女性版です。
堤真一の民放連続ドラマ初出演作として、また、Mr.Childrenの『名もなき詩』が使用されたドラマとしても、後世に名を残す名作といえます。近年はDVD化もされているようなので、気になる人はぜひ見てみると良いでしょう。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonよりピュア DVD BOX