妄想に取り付かれた女(ヴィヴィアン)を鳥居みゆき、引きこもりの男(山本)を、塩谷瞬が演じる。
公開に先駆け、島田角栄監督とキャスト陣によるトークイベントが13日に開催された。
(HADES presents 【映画「ヴィヴィアン武装ジェット」公開記念ナイト】/Loft9 Shibuya)
マツモトクラブ史上いちばんかっこいいマツモトクラブ
島田角栄監督とキャストのリカヤスプナー(司会)を中心に、多くのゲストが代わる代わる登場。
演者も客席もお酒を飲みながら、トークイベントは進む。
マツモトクラブとのトークで監督のキャスティングへのこだわりを感じた。
島田角栄監督「僕はねぇ、マツモトクラブさんの大ファンで。◯◯◯◯とか大っ嫌い」
マツモトクラブ「やめてください!」
島田監督「マツモトクラブさんのネタ、ドラマティックやし本当の才能の塊やと思って。だから出てくれたら良いなぁと思って」
マツクラ「いやいや…、もー本当に僕なんて、出していただけるだけで。
島田監督「その家がごっつ機嫌悪いねん、SM嬢ぐらい怒ってる。連絡ミスで(苦笑)」
島田監督「8ミリフィルムって昔あったやんか。お父さん自分の娘、撮影してるわけよ。めっちゃ綺麗に可愛く撮れてんねん。
マツクラ「俺もほんと自分でかっけぇと思って。出来上がったDVD、自分が出てるシーンもう何回も巻き戻して。いや、ほんとに、ほんとに。かっけぇっすよ。
撮影の時は、普通カメラ目線じゃダメと思うじゃないないですか?でも監督が『ここカメラ目線でお願いします』って言うから『えっ良いの?』と思いながらやってたんすけど。出来上がったの見たら、カメラ目線によって僕という登場人物がその世界を見据えてメッセージを送ってるように見える…」
島田監督「人間は毒ぜったい持ってるはずやねん。それをあえて表現したい。それをマツモトさんでやりたかった。あんま言うん嫌やけど、芸人さんかっこよく撮るの好きや」
マツクラ「その日写真も撮っていただいてるんです、その僕もオーランド・ブルームみたい」
(客席から笑い)
マツクラ「ほんとです、みなさん。
島田監督「7枚撮って7枚目ぇつぶってる(笑)」
マツクラ「なかなかのワカチコですよ」
「その人の今まで生きてきた人生をフィルムに焼き付けたい」
映画「ヴィヴィアン武装ジェット」には ロック・ミュージシャンも多数出演。
トークのあとには伝説的パンクロック・バンド、アナーキーの仲野茂、ザ・コレクターズ古市コータロー、GO-BANG’S森若香織による演奏も!
古市コータロー(ザ・コレクターズ)、森若香織(GO-BANG’S)。
島田監督「一回だけ、森若さんにすっごい怒られたことがあって。『乱死怒町より愛を吐いて』の時に尾道まで来ていただいて」
森若香織「怒った?」
島田監督「怒ってましたよ。バキュームカー爆発するシーン」
森若「あー!それってひどくないですかぁ?私こう見えてGO-BANG’Sなんですよ?」
島田監督「だってクソまみれになるって言ったら来ないでしょ」
U.G(ex.ギターウルフ)、矢沢洋子(PIGGY BANKS)。
リカヤ「U.Gさんの芝居すっごい良いよね!」
島田監督「あのねぇ、怖い。
島田監督「洋子ちゃんが『PLAN6 CHANNEL9』のオールアップの後。映画って録音がうまくいかへんかった時に『オンリー撮り』って言って、絵ちょっと見ながら台詞だけ撮り直すって作業があんねんけど、それをお父さんとこのスタジオでやらしてもらって…!」
矢沢洋子「ありましたっけ」
島田監督「あったよ!あったよ!あって!感動して!俺ら入れてもらって…。いかだ乗って漂流50日目みたいな奴らが…」
矢沢洋子「記憶から抜けてます_(笑)、私はリカヤさんの家でカレーを食べた思い出が強い」
島田監督「まじで?俺は!永遠の思い出やで!!」
リカヤ「世の中って矢沢が好きな人と矢沢がスッゲェ好きな人の二通りしかいない!」
主演の鳥居みゆきと塩谷瞬、役どころは「不思議ちゃんとボンクラ」
トリは主演の鳥居みゆきと塩谷瞬が登場。
鳥居はすでに楽屋で酒を飲んでいたせいか通常営業のハイテンションか、自由奔放。
鳥居みゆき 「私は口説かれてないんで大丈夫です!」
塩谷 「ちょっと、ややこしいこと言うのやめて」
鳥居 「私が『塩谷に口説かれなかったら女として終わりだ』って共演者に言ってたらほんとにみんな口説かれなかったっていう。
塩谷 「早く酒ください!」
島田監督「今までいろんな女優さんと映画やってきたけど、主演であなたがナンバーワンですよ」
鳥居 「うそー!!ぅあああ、ありがとうございまーす!!!!!(急に冷静になって)いやただね、ちょっと待って?洋子ちゃんが居るから。そーゆーのが、大人の気配り足りない!打ち上げでも言ったよ。私が気使ったよ…、そーゆーの止めてほしい」
島田監督「そうだっけ。俺は忘れるねぇ…」
鳥居 「あーもう忘れるよねぇ。でもそこが良いところねぇ」
島田監督「あと俺すごい『パッチギ!』のファンで。ギター投げ捨てるシーンで何回も泣いたし。塩谷瞬が俺の映画に出るなんて思ってなかった。5年前からオファーしてたから」
塩谷 「ありがとうございます!」
リカヤ 「すごいよね、この二人の(脚本に対する演技の)アンサーって他じゃ見れない」
撮影中、天気のハプニングもあったようだ。
塩谷 「けっこう大切なシーン。通常の2倍ぐらいの分量が入ってて。これ撮りきれるかなって思ってたら、その日朝から土砂降りだったんすね。ケツ(終了時間)も決まってるしどうするのかなと思ってたら_、1、2時間後に監督が『ちょっと降ってるけど、晴れてる。行こう!』って」
島田監督「ちゃうねん、俺役者さんに気使うから。考えてたら塩谷さんが『行きましょうよ』って言ってくれて。男気感じた」
ラストシーンについてのトークも。
島田監督「俺広島で子供の映画を何年か撮ってて、ほんで、ある家庭の事情を抱える子がおって。そのことをヴィヴィアンにちょっと書いてて。ラストシーン撮るときにそれを塩谷さんに話したら、号泣して。そん時の塩谷瞬、ちょっと俺チューしたかったな」
鳥居 「今すれば、今!」
塩谷 「台本の中で僕の長台詞があるんですよ。秘めた人生感をその一瞬でバゴーンと出さなきゃいけないっていうシーンなんですけど、その時に監督が来て『一行目の三言めで号泣して、魂全部投げ出してほしい』って言われて。一回頭真っ白なっちゃった。そしたら監督が『実はこういう人がいて、こういうエピソードがあってこうなんだ』って言ってくれて、それでもう」
鳥居 「良いシーンだよ。あんなさ、わちゃわちゃした映画で最後グッと来るってなんだよって思って!なんなんだよ、この映画」
島田監督「二人の距離感も最高だった。触れ合えへんし、近づきすぎたら壊れてしまうっていうかさ。なんやろ。恋愛やねんけど恋愛やない、なんちゅうかよー分からん感覚ってあるやんか。共謀者しかり共犯者しかり。まー、ちょっと見てくれって映画ですね!」
(文とイラスト・小西りえこ)
映画「ヴィヴィアン武装ジェット」
2017年9月16日~渋谷ユーロスペースから全国公開
_【ストーリー】
通り魔事件で夫を不条理に殺されたヴィヴィアンは、悲しみの余り妄想の世界へ逃げ込む。
ボケ老人の玄太郎は毎日妄想の世界で生きている。二人が出会った時、妄想がリンクする。
ヴィヴィアンと玄太郎の間で引きこもり山本が右往左往。悲しみの果に見た楽園で3人は徐々に惹かれ合って行く。
【監督】島田角栄
【出演】
鳥居みゆき 塩谷瞬 マツモトクラブ
古市コータロー(THE COLLECTORS) 仲野茂(アナーキー)
矢沢洋子 楠木まゆ(仮面女子)
U.G 杉作J太郎 森若香織 リカヤスプナー ナマコラブ
グレート義太夫 ゆってぃ
あう(ぐしゃ人間)ザ・クレイジーSKB 石原卓
佐渡未来 森由月 川本三吉 デカルコ・マリィ 大川裕明
十一十三 岩切千穂 片山誠子
吉田朋記 安藤光子 ピースケ 松田ぴろし
緒方晋 飯田あさと
【音楽監督】昭和ポルノ劇団 ツリイテツヤ
2017年9月16日~ 渋谷ユーロスペース から全国公開
配給 PLEASUREDOME