2017年にメジャーデビュー25周年を迎えたMr.Children。夏にはバンド史上最大規模となるドーム&スタジアムツアー『Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』を開催し、国民的モンスターバンドらしく、大勢のファンとともに華々しくお祝いをした。
2016年4月15日に山梨 コラニー文化ホールからスタートし、11月21日の神奈川 鎌倉芸術館まで、全国28カ所28公演を行った『Mr.Children Hall Tour 2016 虹』。続いて、2017年3月4日の東京 オリンパスホール八王子から、振替公演となった5月12日の三重 三重県文化会館大ホールまで、全国13カ所14公演を行った『Mr.Children Hall Tour 2017 ヒカリノアトリエ』。このホールツアーはデビューからわずか数年でブレイクを果たし、それからは主にアリーナやドーム、スタジアムといった場所でライブを行ってきたMr.Childrenにとって、実に22年ぶりの出来ごと。
本映像作品はライブ映像からではなく、このツアーに向けて2016年初めにメンバー4人で行われたリハーサルの様子から始まる。そこからライブの進行にツアーでの出来ごとをリンクさせながら、一本のライブを観終わると、ツアーの準備から終了までの約17カ月間に及ぶバンドの物語も終わる。またそこにはナレーションやインタビューなどはなく、その場で起こったことだけが集められているので、観る人それぞれがMr.Childrenというバンドのすぐ傍にいて、目の前で起こったことを自分の感覚で受け止められるものとなっている。
そういった意味で、今作についてはまさに十人十色の感想を持つだろう。例えるなら、渋谷のスクランブル交差点のライブ映像を背景に行われている天気予報のようと言うか。
■「チャレンジして行った方が面白い」
今回のツアーをどういうものにして行くか、という話し合いをメンバー4人でする中で、田原(G)が発し、他の3人も深く同意していた言葉だ。私はMr.Childrenがこの25年間、人々から愛し続けられている理由の一つがこれだと思っている。冒頭に彼らを形容する言葉で“モンスター”と書いたが、モンスターが生まれることは突然変異的な偶然や運気の巡り合わせなどで起こるかも知れないが、生き続けることは難しい。
■「俺らは喜んでくれるっていう方に心を動かしたい」
2016年4月14日に発生した熊本地震。その数日後の4月22日に宮崎、24日に佐賀で公演が行われた。実際に50人くらいの人たちがチケットを持っていても、その日のライブに来ることができなかったが、Mr.Childrenはライブを“やる”ことを選んだ。
■2017年5月10日
2017年5月10日。1992年5月10日にアルバム『EVERYTHING』でデビューしたMr.Childrenにとって、まさにこの日が25周年当日。
■「終わりなき旅」
このツアーの本編最後に歌われていた「終わりなき旅」。そしてこの曲は、このあとに行われたドーム&スタジアムツアー“Thanksgiving 25”でも、アンコールの最後に「この曲だけは過去じゃなくて、みんなにとっても、僕らにとっても、ただただ未来だけを見据えて」(桜井)と言って歌われていた。
この他にも、ライブの模様はもちろんのこと、普段は絶対に聴くことのできないリハーサルでの生の出音が聴けたり(通常、ライブやCDでは音のバランスが調整されているので)、『ヒカリノアトリエ』がどんな風にレコーディングされたのかが見れたり、見どころは多々ある。そして、このホールツアーの後には“Thanksgiving 25”が……きっとこの作品も出ると思うが(出ないと困る(笑))、あれだけ大勢の人を喜ばせることができるモンスターバンドの24年目の終わらないチャレンジをぜひ皆さんそれぞれの感覚で感じてみて欲しい。
Writer:瀧本幸恵
≪リリース情報≫
DVD&Blu-ray
『Mr.Children、ヒカリノアトリエで虹の絵を描く』
2017.12.20リリース
■Mr.Childrenオフィシャルサイト