芸人はエゴサでモチベーションを保つ!? お笑いコンビ「ウエストランド」に聞く
お笑いコンビ「ウエストランド」の井口浩之さん(左)と河本太さん

「自販機行くと、やたら釣り切れなんだよ常に! ふざけんな!」
「下北沢、工事でめっちゃめちゃすぎだろ! マジで何してんだよ! おい!」

怒りや愚痴がネタとなり、人々の笑いへと昇華しているお笑いコンビ「ウエストランド」の井口浩之さんと河本太さん。「笑っていいとも!」のレギュラー出演歴もあり、M-1グランプリ2016、2017では3回戦進出。
今年はいよいよ準決勝進出(公開日時点)と、まさにブレイク寸前の芸人コンビです。

そんなウエストランドにも、生活の中には(芸の元ネタでもある)怒りがあり、「モテない」悩みがあり、「売れたい」ための苦労と努力があります。群雄割拠の厳しいお笑い業界で、一体どうやってモチベーションを保っているのか聞いてみました!


ストレス発散がネタになる


――ウエストランドさんのネタは、井口さんの怒りがネタの糸口になっているという印象があります。
井口「そうですね。ネタにしなきゃただただ腹立つだけですからね。せっかくムカつくことがあったから言ってやれっていう、ネタが基本的にストレス発散ですね」

――怒りをネタにするという消化の仕方もない人はどうすればいいでしょうか。
井口「みんな配信とかやればいいんじゃないですか?」

河本「昨日Radiotalk(誰でもラジオ配信できるiOS/Androidアプリ)で一晩中色んな方の配信を聴いてたんですけど、ストレス発散してるんだろうなって思いましたね。
OLさんとか、学生さんとか、僕なんかより全然しゃべれてるし」

井口「そういう、みんなが思っていることを配信するような時代が来るのかもしれませんね。僕たちの配信(Radiotalk/YouTube)もその時に先駆けとして崇められたら一番いいですね。毎日これだけネタを考えてるのに、居酒屋のお客さんの悪口のほうが反響があったりするんで。発信しつづけるだけで、何があるかわからないですよね」


「あれもできない、これもできない」の繰り返し


――ウエストランドさんにとって、お笑いの得意分野、苦手分野はありますか?
井口「基本的には苦手なことばっかりですよ。本当は『爆笑問題』さんみたいに時事ネタの漫才ができたらいいですけど、(漫才を)始めたらそんなのできないんだって気づくわけです。じゃあ次はこの人みたいなことがやりたい、できない。じゃあ別のあの人みたいなことをやりたい、やっぱりできない。
みたいな繰り返しですよ」

――そこからどうやって今の特徴的なスタイルを確立できたんでしょうか?
井口「確立させられてるかもわからないですけど、きっかけがあるとすれば『爆笑レッドカーペット』で一分くらいのネタをやる特番のオーディションに行って、その時に自分達の漫才で唯一の特徴の『僕がいっぱいツッコむ』っていうのをアドリブでやったらたまたま引っかかって。本当に何もできないなかで、なんとかできることを誇張してやった結果です」


男ウケを狙ってないのに男性ファンが多い


――「モテない」というネタも多いと思うのですが、女子にウケたい思いはあるのですか?
井口「もちろんですね。もっと女子にライブにきてほしいですよ。男ウケを狙っているわけじゃないし、キャーキャー言う女子になんか伝わらなくていいぜ、みたいな気持ちは一ミリもないですね。単独ライブで男のお客さんばっかりだったから『ふざけるな!』って言って、そしたらますます男のお客さんが増えたっていう」

――ライブに来る男女比率はどれくらいなんでしょうか?
井口「僕らは5:5とか、他の芸人に比べると男の人がめちゃくちゃ多いですね。そもそも、単独ライブとかラジオのイベントには来てくれるんですけど、普段のライブには男女ともほぼ来ないんですよ。単独ライブでお客さんを見渡したら男ばっかりで、本当にお前ら誰なんだっていう。
普段は来ない人が来るんですよ」

――なぜ男性が多いんだと思いますか?
井口「男の人が増えてるっていうよりは、女の人がいないんでしょうね。ビジュアルがいいわけでもないし。合同ライブのエンディングで立ってるウエストランドなんて、まったく人気ないから。ちんちくりんですよ。孤軍奮闘的に戦ってるだけでしかないんで。ただそういうところは女性ファンのワーキャーみたいな声援とは程遠いんで、男性のお客さんが応援してくれるっていうのがあるのかな」

――よくある「同性から好かれるけど異性からモテない」という悩みを持つ人からも共感を得られそうですね! ちなみに同性からのモテだけじゃ満たされないんでしょうか?
井口「そういうものなんじゃないですか? でも、その気持ちがなくなったら終わりなのかもしれないですよね」


お金より「おもしろい」が欲しいからエゴサーチ


――お笑いを見て日々の疲れを癒すという方も多いと思うんですが、芸人さんにとって活力となるのはどういうところなんでしょうか?
井口「『面白い』って言ってもらえるのはお金をもらうより嬉しいんですよ。
ただ『面白い』ってTwitterとアンケートに書いてもらう、これが一番の活力です。どうせ見てないと思わず、面白かったらどうにか書いてほしい」

――芸人さんもエゴサーチされてるんですね。
井口「売れてる人でもエゴサーチする人がいるのは、お金とかより面白いって言われたいっていうことですよね。口に出してほしいんですよ。逆にエゴサーチで褒められなくなったときは、アンケート配って、強制的に面白いって書かせるしか気持ちを保つ術がないんです」

――ライブでみんな笑っていたら、それで伝わってると思ってしまうのですが……。
井口「むしろ逆ですよ。
『あんなにウケたのに、書いてないんだ……』って思うんで。めちゃくちゃライブでウケて、そのライブのアンケートが一枚もなかったらもう『やめよう』って思っちゃいますね。そのくらい大事だから書いてほしい」

なるほど、お笑いのネタを見て笑ったときはSNSやアンケートにも書くようにしましょう……!
芸人はエゴサでモチベーションを保つ!? お笑いコンビ「ウエストランド」に聞く

ウエストランドが配信しているRadiotalk

ラジオ「ウエストランドの週刊少年TSUYAMA」
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