連続テレビ小説「なつぞら」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
「なつぞら」112話。信哉(工藤阿須加)の結婚相手は「ふたりっこ」の三倉茉奈

第19週「なつよ、開拓の郷(さと)へ」112話(8月8日・木 放送 演出・木村隆文)視聴記録


「これから新しい家族を作っていくんだな」
十勝支庁長・大清水洋(森崎博之)が工場建設を受け入れて、国と農協の対決はまるく収まった。
取材に来ていた信哉(工藤阿須加)に、なつ(広瀬すず)は坂場(中川大志)を紹介。
「ほんとうにつらい思いをしてきた人なんです」よろしく頼む、と信哉に言われ坂場は「わかっています わかりました」と言い直す。
「わかっています」だと生意気だと思い直したのか。何かと上から目線の坂場も異なる価値観のひとたちと出会いながら、少しずつ気づきを得ているのかもしれない。

信哉は「じつは去年結婚したんだ」と唐突に切り出し、なつを驚かせる。いや、なつだけでない視聴者もびっくりだ。
第一話の冒頭、なつを迎えに来て、アニメにもなっている信哉。印象的に登場した彼がなつをひそかに想っているんじゃないかという気もしないでなかったが、どうやらミスリーディングだったらしい。

「これから新しい家族を作っていくんだな」としみじみ言う信哉。戦争で彼も家族を亡くし、なつも父母を亡くしてる。親のない者同士、一時期、懸命に生き残ろうとしてきた。
なつと信哉、戦災孤児同士。結婚するにしても、親族がいないということは気になることだろう。だから信哉もひっそりふたりきりで結婚式を挙げた。

新たな家族をようやく作れる。その思いはひとしおという表情を広瀬すずと工藤阿須加がしていて、ほんとうに良かった。1966年だから戦後21年である。21年! 21年経って、ようやく新しい家族がもてるようになったのだと思うと何も言えなくなる。信哉は、描かれてないけれどずっとひとりで働いて、勉強して、テレビ記者になったのだから、ほんと、すごい。

「そ〜ら〜」
坂場は、北海道でなつのルーツ(関わってきた人たちや自然)を見て、なつの生きる力を感じ、自分自身も
再び生きる気力を沸き立たせる。

また漫画映画を作りたいから、ほかの就職先は考えられないと言われて、なつは「いいに決まってるしょ」と坂場を抱きしめる。
「やるぞ、そ〜ら〜」と、広瀬すず、ひさしぶりに空に声をかけた。今回は坂場も。

「めんこいな」
気になる信哉の妻・道子は、同じテレビ局のアナウンサー(天気予報担当)で、演じるのは、朝ドラヒロイン・三倉茉奈。「ふたりっこ」では子供時代、「だんだん」ではオトナのヒロインを演じた。昭和のアナウンサーの語りがなかなか名調子であった。

家でテレビを見ていた泰樹(草刈正雄)が道子のことを「めんこいな」と高評価。そういう目でテレビを見ていたのかと照男(清原翔)が面食らう。「なつぞら」の面白さは、こういうところに時間をかけないこと。さらりと済まされる。

たんぽぽバター 
はりきり過ぎて入院した田辺(宇梶剛士)を見舞いに行ったなつは、農協の製品たんぽぽバターの商標をデザインしてほしいと頼まれる。
「たんぽぽが咲いてカッコウが鳴くと種まきの季節」。
十勝の春を表すたんぽぽのなまえをつけたのは、剛男(藤木直人)だった。彼が、1話でなつを連れて、十勝に帰って来たときに、たんぽぽが咲いてカッコウが鳴いていた。戦争が終わって、新たな時代がはじまる幕開けの風景を、新製品の名前に託したのだ。信哉の家族づくりといい、なつが十勝にやってきた思い出といい、戦後復興は20年経ってもまだ続いている。

「たんぽぽ」というと、「この世界の片隅に」を思い出す。東映動画からジブリの流れを意識して描いているドラマなので「火垂るの墓」のことばかり思い浮かべていたが、戦争とアニメといえばいまや「この世界の片隅に」の存在も大きい。
先日NHKで放送もされた。ひもとけば、監督の片渕須直も高畑勲(坂場のヒントになった人物)や大塚康生(下山のヒントになった人物)、宮崎駿(神地のヒントになった人物)たちと関わりがあり、「なつぞら」はアニメの源流から要素をうまいことすくいとってフィクションに作り変えていることがわかる。終わったときに、立派に大きな織物ができあがるだろう。楽しみ。

【第19週あらすじ「なつよ、開拓者の郷(さと)へ」8月5日・月〜8月10日・土 


なつ(広瀬すず)は、坂場(中川大志)との結婚報告をするため、十勝に戻ってきた。結婚を喜ぶ富士子(松嶋菜々子)たちだが、坂場が失業中と聞き、泰樹(草刈正雄)は面白くない。その頃、夕見子(福地桃子)らが勤める農協では、大手メーカーに対抗するため、自ら工場を新設し、乳業会社を造ろうという壮大なプランが動き始めていた。しかし、建設反対派と折り合いがつがず、組合長・田辺(宇梶剛士)をはじめ、泰樹や天陽(吉沢亮)ら十勝の酪農家が集まり、激しい議論になる。そのとき、同席していた坂場の何気ない言葉がきっかけに、事態は思わぬ方向に動き始める。一方、「雪月」では、雪次郎(山田裕貴)がなにやら新しいお菓子を開発しており・・・。

113回あらすじ  8月9日・金 放送


「なつぞら」112話。信哉(工藤阿須加)の結婚相手は「ふたりっこ」の三倉茉奈

「なつぞら」112話。信哉(工藤阿須加)の結婚相手は「ふたりっこ」の三倉茉奈

雪次郎(山田裕貴)に呼び出され、なつ(広瀬すず)や坂場(中川大志)、天陽(吉沢亮)、そして夕見子(福地桃子)までもが雪月に集まった。そこで雪次郎は、雪月で初めて自分が考案したお菓子の新作を一同に披露する。雪次郎に促されるまま、十勝の素材で作ったお菓子を口にする一同。その瞬間、普段は厳しい夕見子までもがお菓子を絶賛する。そして父の雪之助(安田顕)も食べてみるが…。

114回あらすじ  8月9日・金 放送


なつ(広瀬すず)を嫁に出すことになり、わが子同然に育ててきた富士子(松嶋菜々子)は、1冊のノートをなつに手渡す。そこに書かれた内容に、なつは深い愛情を感じる。その後、なつは坂場(中川大志)と天陽(吉沢亮)の家を訪れる。以前から天陽の描く絵に感銘を受けていた坂場は、描かれた絵を見つめ、いつものようにある疑問を天陽に投げかける。すると、天陽は坂場の想像を上回る返答をするのだった…。
(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順


奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。 

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。

58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長

66回
泉千恵
岡部たかし
池間夏海


脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武