米中貿易摩擦に端を発する昨年からの中国・世界経済の減速傾向の中、10月に消費税増税が実施され国内景気の失速が懸念されてきた。世界経済は不透明感を増してきたものの国内経済の諸指標は堅調で増税の反動は軽微というのが概ねの見方であったが、台風等の自然災害の続発で状況は一変し、消費の冷え込みは予想以上のようだ。

そんな中、景気後退局面入りの可能性を示唆する声も増えてきた。


 4日、帝国データバンクが月例のTDB景気動向調査(全国)11月調査の結果を発表した。レポートによれば11月の景気DI(0~100)は前月比0.3ポイント減の43.6となり、2カ月連続の悪化となった。外需の低迷を受け製造業の悪化が関連業種に波及するなかで増税、天候不良の影響も続き「国内景気は後退局面入りした可能性がある」と言及している。


 DIの動きは、10業界中、製造、卸売、小売、サービス、その他の5業界で悪化となっている。外需減速の影響を中心に自動車や機械関連の低迷で「製造」の悪化が持続しているうえに、増税、天候不良の影響で「小売」は2カ月連続で悪化している。


 製造のDIは39.6という低迷ぶりで前月比 0.7 ポイントの減少、7カ月連続で悪化を持続している。自動車関連の輸出が減少基調を持続したことで装置製造の景況感が悪化、また、工作機械受注の落ち込みが響いた「機械製造」の0.9ポイント減など「製造」は12業種中8業種が悪化し、DIは6年7カ月ぶりに40を下回る低迷だ。


 「小売」も36.1と40を切る低迷ぶりで前月から0.9ポイント減少し2カ月連続で悪化。10月と比較し悪化幅は縮小したものの耐久財や高額品で駆け込み需要の反動減が続いている。スーパーのほか飲食料品小売も0.3ポイントの減少で、自由記述欄では実質所得減による消費者の買い控えに直面する企業の声が広く寄せられた。「小売」では9業種中6業種が悪化となっている。


 地域別に見ると外需の停滞や設備投資の減退などが部品メーカーに影響するなど地域経済を下押しし、南関東が横ばい、東北、九州で改善が見られたものの北海道、北陸、東海など全国10地域中7地域で悪化となった。


 今後の見通しについては、景気対策や東京五輪に向けた消費マインドの高まりが改善要因になると見込まれるものの「個人消費の動向や世界経済の減速などの懸念材料も多く、不透明感が一層強まっている」としている。(編集担当:久保田雄城)