レビュー

「メモリースポーツ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。メモリースポーツとは、記憶力を競う、ヨーロッパ発祥の競技である。

1991年に第1回世界記憶力選手権が開催され、近年ではアジアでも広がりを見せている。世界大会では「顔と記憶」「二進数」「架空の年号記憶」などの種目がおこなわれる。世界のトップレベルの選手だと、ランダムに並べられた数字の羅列を、5分間で600桁近く覚えられるという。にわかに信じがたいが、人間の記憶力というのは鍛えれば向上するというわけだ。
そんなメモリースポーツの大会に出場するプロ選手をメモリーアスリートと呼ぶ。著者の青木健氏もそのひとりだ。
青木氏は記憶力日本チャンピオンに輝いたことがあり、日本メモリースポーツ協会会長も務める。
本書の面白さは、そんなプロのメモリーアスリートが活用している記憶術を学べる点だ。プロと聞くと「難しそう」「私には無理かも」と思いがちだが、決してそんなことはない。図や練習問題も豊富でわかりやすいので、誰でも実践しやすい。コツを体得するまでにある程度のトレーニングはいるが、その後は日常生活の色んな場面でどんどん応用できるはずだ。
記憶力を高めることは、集中力や読解力、語学力の向上にもつながるという。
「名刺交換をした覚えはあるけど、名前が出てこない」「効率的に勉強をしたい」「英単語がなかなか覚えられない」。そんな方にはぜひ本書をおすすめしたい。

本書の要点

・記憶は覚える力(インプットする力)と思い出す力(アウトプットする力)が合わさって初めて成立する。
・記憶したいものをほかの事柄と関連させて覚えると、忘れづらくなる。また、ビジュアル的にイメージするようにするとさらに効果的だ。
・ストーリー法は覚えたいものをつなげて物語として記憶するテクニックである。

非現実的なストーリーにすると記憶に残りやすくなる。
・場所法は頭の中で思い浮かべた場所に、覚えたいものを置いて記憶する記憶術である。ストーリー法よりもインプット時間を短縮できる。



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