ジャンルは違えども、いずれの作品にも職人芸と言えるほどのこだわりが随所に込められており、その芯の通った出来映えに魅了されるゲームファンが後を絶ちません。
そんなヴァニラウェアが開発する最新作『十三機兵防衛圏』が発表された際には、ファンを中心に多くの注目が集まりました。しかし、本作に関する詳細は長らく明かされず、今年の3月にリリースされた『十三機兵防衛圏 プロローグ』にて、世界観の一端に触れる機会がようやく巡ってきました。
また、この『十三機兵防衛圏 プロローグ』ではアドベンチャーパートしか味わえなかったので、本作はADV作品なのかといった憶測も飛び交いましたが、アドベンチャーパート「追想編」・バトルパート「崩壊編」・アーカイブパート「究明編」からなるゲームシステムが公開され、シミュレーションバトルが楽しめることも判明しました。
そのベールがめくられるまで、待ち遠しい時間を過ごす形となった『十三機兵防衛圏』ですが、発売日も11月28日に決定しており、後は指折り数えて待つだけ。・・・と思いきや、今年の東京ゲームショウにプレイアブル出展! 発売日に先駆けてその魅力を味わう絶好の機会だったので、『十三機兵防衛圏 プロローグ』より先の展開に期待しつつ、試遊に挑んでみました。
今回用意されていたのは、東京ゲームショウ向けの特別バージョン。
プレイ前にブース関係者に窺ったところ、薬師寺と鷹宮の本編体験版は、フルボイスでじっくり聞くと20分ほどのボリュームとのこと。また戦闘パートは、戦略SLGゲームに慣れていれば15分ほどでクリアできる模様です。ちなみに今回の試遊時間は20分。大急ぎで本編体験版を2本クリアするか、戦闘パートを遊びきるか、悩ましいところです。
薬師寺の本編体験版は、1985年の鞍部家からスタート。
鷹宮の本編体験版も、幕開けは同じく1985年ですが、こちらは学校の屋上から。プロローグ版の展開を経ていると、本編開始早々から「どうすっかな・・・」と呟いている理由も察しがつきます。
と、いずれの話も気になりますが、この機会を逃すと戦闘パートを楽しむチャンスは製品版までないかもしれません。
戦闘パートのルールは、重要拠点であるターミナルに近づく前に、全ての怪獣を倒すこと。ターミナルが破壊されるか、味方が死亡するとゲームオーバーとなります。
各キャラクターが搭乗している機兵ごとに、「アクション」「移動」「機兵修復」「防御(EP回復)」などの行動が選択可能。
機兵にはそれぞれ得意な攻撃手段があり、装備している兵装も異なるので、長所を生かした運用が勝敗の要になりそうです。攻撃なり移動なりを選択し終わると、敵も行動。ターン制ではなく、動けるタイミングが来ると行動が選択可能となり、それが終わると敵味方の移動を含め、リアルタイムに戦況が展開していきます。
兵装の種類が多いため一見しただけでは複雑そうかもしれませんが、効果範囲などは視覚化されるので、実際に試してみると案外分かりやすく感じました。攻撃力や次に行動可能となる時間なども表示されるので、情報にしっかり目を通すことで、初見でも混乱することなくプレイできそうです。
戦闘パートの画面全体は、パイロットの視点ではなく、例えるならば近未来モノの映画やアニメの司令部に置かれている戦況を表示するモニタのよう。“機兵を操作する”というダイナミックさよりも、“作戦を指揮する”といった司令官的な味わいをより強く感じます。
最初は1体のみだった敵が、増援で大挙して包囲してくると、その圧迫感はなかなかのもの。デジタルな表示ながらも、人類の危機がひしひしと伝わってきます。
近距離を得意とする機兵の場合は、多数の敵を一気に攻撃する手段に乏しいため、今回のような防衛戦では使いどころが難しい場面も。しかし、終盤に登場した巨大な怪獣は恰好の相手。幸い、怪獣の出現位置に近い場所にいたので、早速駆けつけて「デモリッシュブレード」を炸裂! さすがに一撃死とはなりませんが、かなりの大ダメージを与えることができました。
広範囲攻撃で雑魚を殲滅し、手強い怪獣には近距離と中距離が得意な機兵で対処。見た目はデジタルな派手さに富んでいますが、多彩な兵装は視覚的な表示で把握しやすく、UIも分かりやすい形に落とし込まれています。今回はあくまで試遊版なので、製品版がどの程度の難易度になるかは分かりませんが、遊びやすさを実感できたプレイ体験となりました。
戸惑うことが少なかったためか、なんとか試遊時間内に戦闘パートを無事クリア! 残り時間は1~2分ほど。教えていただいた通り、15分程度でクリアすることができました。
わずかとはいえ時間が残っていたので、改めて鷹宮の本編体験版をスタート。屋上を出る前に相葉絵里花と出会い、彼女についてクラウドシンクすると「気に入られちまったのか、よく私に絡んでくる」と、鷹宮の心の声が聞こえてきます。
ここからどんな物語が始まるのかと気になりましたが、残念ながらここで試遊終了。この先を味わう贅沢は、製品版のお楽しみとなりそうです。