水中に横たわるキリストの像。この像は60年ほど前にアメリカのミシガン湖に沈められたものだという。
水難事故者の慰霊碑としてダイバーを見守る大きな像は、白い大理石でできていて全長およそ3.4m、重量約840kgもある。
冬は地元の観光スポットにもなる湖底の彫刻。昨年夏、ここを訪れたダイバーがその神秘的な姿を公開していた。
[動画を見る]The Underwater Crucifix! Petoskey, MI HD
【湖の底に沈むキリストの像】
この像はイタリアで採掘された大理石でできており、ミシガン湖に面したリゾート地、ペトスキー岸近くの水深7mあたりに沈んでいるという。
投稿者はただこの像を見に来ただけだったが、表面についた付着生物を見かねてブラシなどで綺麗にしたそうだ。
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像は地元のダイバーが定期的に手入れしていても、砂をかぶったり藻や貝がつきやすい。
掃除後は白い表面が見えるようになり、彼も来て見てよかった、と語っていた。
【もともとは事故死した少年の家族が発注したもの】
この像はもともとは1956年にミシガン州で農業を営んでいた家族が、事故死した15歳の息子の魂を慰めるためイタリアの業者に依頼したものだった。
しかし大理石の重い像は輸送中に腕が折れ、設置する予定の教会に着いたときは無残な姿になっていた。
そのため両親は受け取りを拒み、行き場のなくなった像を保険会社が売りに出すと、1962年に地元のダイバーたちが買い取った。
【ダイバーたちが買い取り修理して水難事故の慰霊碑として沈める】
ダイバーたちはその像を水難事故の犠牲者の慰霊碑として、ミシガン湖沖にあるリトルトラバース湾の水深20mに沈めた。
壊れた像そのものは50ドル(約5,400円)とかなり安かった。
が、沈める前に折れた両腕の修復費用などで900ドル(約98,000円)の費用がかかったという。
それから20年以上経ち、像はより湖岸近くの浅い場所に移され、ダイビングクラブ主催の鑑賞会が開かれるようになった。
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【多くの人が訪れる冬の観光スポット】
ただ残念なのは、修復した腕が設置からわずか数年で折れてしまい、右腕が行方不明になっていることだ。代表者は水圧で折れやすいとようだと嘆いており、現在も懸命に探している。
それでも毎年冬に開催される水中鑑賞会には大勢が参加。2015年は2,000人以上集まった。
また今年からは厚さ1.5mになる氷に穴を開けて像がはっきり見えるようにしたそうだ。
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この新たな鑑賞方法により、今年はおよそ1200人の現物人がやってきた。
鑑賞会は氷が安全な2~3月に行われる。観覧料は無料だが、危険が伴う場合もあるため無許可の鑑賞は禁じられているという。
当初の目的とは異なってしまったものの、ダイバーの心の拠り所としてたくさんの人に親しまれているキリストの像。
右腕はいったいどこに消えたのか?ある日突然その手が像に戻っていたとしたら、そこから奇跡のミステリーが誕生しそうだ。
2008年にミシガン州の水中探検隊が清掃した時の映像
[動画を見る]Petoskey Underwater Crucifix
References:written by D/ edited by parumo
記事全文はこちら:ミシガン湖の底に眠るキリストの十字架像。水難事故者の慰霊碑として沈められたもの(アメリカ) http://karapaia.com/archives/52275653.html