イタリア半島西方の地中海に浮かぶイタリア領の島、サルデーニャ島。手つかずの自然が残っている美しい場所として、毎年多くの観光客が訪れるが、長年地元の住民を悩ませているのが、浜辺の砂を盗む観光客の存在だ。
今回、島にある浜辺の砂を何本ものペットボトルに詰め込んで持ち去ろうとし、国境警察に逮捕されたフランス人観光客カップルが、最大6年の懲役刑に直面している。
この島では、砂や貝殻など浜辺のものを持ち去ることを固く禁じているが、持ち去る者は後を絶たず、環境にも有害だと住民らは頭を痛めているという。
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Why Couple Faces Jail Time for Taking Home 90 Pounds of Sand
【浜辺の砂40kgが国境警察に押収】
あるフランス人観光客カップルが、ポルト・トレスからフランス南部行きフェリーの乗船待ちをしていた際の検査時に、国境警察に逮捕された。
2人は、サルデーニャ島南部にあるチアの浜辺から盗んだ砂40kgを、14本のペットボトルに入れ、SUVのトランクに積んでいたのだ。
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「砂は土産に持ち帰ろうとしただけ。犯罪という認識はなかった」と2人は主張しているようだが、島内の浜辺には砂を盗むことを禁ずる標識が複数の言語で設置されてあり、このカップルに有罪判決が下れば1年~6年の懲役刑が科せられる可能性もあるとされている。
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【2017年以降、政府が砂の持ち出しを禁止に】
サルデーニャ島の有名な白い砂や小石、貝殻は、公共の資産として2017年以降は政府により持ち出しが固く禁じられている。
島外に持ち出した者や違法取引をした者には、最大3000ユーロ(約35万円)の罰金刑や禁固刑などの刑罰が科せられることになっている。
ここ何年もの間、島の住民たちは砂を含む自然資産の盗難に不満を訴えてきた。というのも、貴重な砂が毎年かなりの量で浜辺から消失しているからだ。
サルデーニャ島の首都カリアリに住む環境科学者ピエールイジ・コッコ氏は、次のように話している。
砂の浜辺は、この島の主要な魅力の1つです。だからこそ多くの観光客がこの島を訪れます。しかし今、ここは2つの脅威を抱えています。1つは、侵食です。一部は気候変動による海面上昇が原因で引き起こされる自然現象ですが、もう1つは観光客による砂の窃盗です。
ほんの一部とはいえ、島を訪れる観光客がそれぞれ最大40kgの砂を持ち去るとなると、年間100万人の観光客の5%をそれに掛けると、浜辺の減少に多大な影響を及ぼすことは明らかです。
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【持ち出された砂はネットで違法取引】
警察によると、今年の夏の数週間という短い期間だけでも、島の北部オルビアにある空港で、観光客の荷物の中から砂や貝殻、その他の浜辺に所有している公共資産を10トンほど押収したという。
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環境に有害な犯罪行為を取り締まるため、地元警察は浜辺をパトロールし、標識も立てているが、それでもその犯罪の深刻さを知らず、砂を魅力的な記念品として持ち帰る観光客が後を絶たない。
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一旦、島外に持ち出されてしまった砂は、ヨーロッパ内のサイトで違法取引されているが、犯人のほとんどが外部から来た観光客のために、警察は罰則の適用に苦労していると話している。
【過去に砂を盗んで返してきた人たちも】
毎年、観光客による砂の窃盗被害は絶えないとはいえ、砂を盗んだ行為を反省し、わざわざ送り返してくる人も中にはいるようだ。
最近、ローマに住むある男性が、子供の時に盗んだ砂をペットボトルに入れたまま、サルデーニャ州カブラスの市長に送り返した。
また、ピンクの砂浜で有名なブデッリ島から砂を持ち帰った女性が、29年後の2016年に砂を送り返した。
その女性からは、「この砂のことを新聞やTVで知った。
どれほど唯一無二のものなのか理解し、自分がしたことに罪の意識を感じている」という謝罪の言葉もあったという。
References:The Guardianなど / written by Scarlet / edited by parumo
記事全文はこちら:浜辺の砂をペットボトルに詰めて持ち去ろうとしたフランス人観光客、最大6年の懲役刑に直面(イタリア) http://karapaia.com/archives/52278596.html