先史時代の穿頭術。脳外科手術の痕跡がある5000年前の頭蓋骨を発見(ロシア)

脳外科手術跡がある5000年前の頭蓋骨が発見される istock
 ロシアの考古学チームが、5000年前の頭蓋骨を発見した。この頭蓋骨には脳外科手術の跡があり、そのせいで死んだ可能性があるという。


 頭蓋に穴をあける穿頭術(トレパネーション)は、先史時代から行われているの脳外科手術テクニックだ。これは生きた人間の頭皮を切開し頭蓋骨に穴を開けるというものだ。

 発掘された頭蓋骨の写真を3D画像と合わせてみて、おそらく20代の男性と思われるこの頭蓋骨の持ち主は、この穿頭術を施されていたと推測された。
【石の手術道具で頭蓋骨に穴を開けた痕跡】

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image by:Darya Veselkova
 紀元前3000年、青銅器時代のこの男性の頭蓋骨と残りの骨は、ロシアのクリミア地方の深い墓の底から発見された。そばには2つの石の矢尻があった。

「古代の医師は、石でできた外科手術道具を持っていたようです」モスクワにあるロシア科学アカデミー考古学研究所は言う。


「骨があった場所から判断すると、遺体はあおむけに横たえられていて、わずかに左側を向き、膝は深く折り曲げられてやはり左に向いていました」

 穿孔の大きさは140×125ミリで、頭のそばと内部に赤い色素の大きな断片があった。

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 文脈人類学研究所長のマリア・ドブロフォルスカヤは言う。

 「この男性は不運だったのです。穿頭手術後の生存率は、古代であっても比較的高かったはずですが、彼は術後すぐに亡くなったようです。はっきりした治癒の痕跡がなかったために、それが証明されました。頭蓋の表面には穿孔道具が使われた跡がはっきり残っています」

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【穿頭手術が行われた理由】

 穿頭手術の痕跡には、3つのタイプがある。
小さく細長い線状の跡、平行な溝のような大きく深い線状の跡、厚い刃でつけたとはっきりとわかる跡だ。

 先史時代の外科医が穿孔術を行う理由はさまざまだが、すべてが医療のためだけではなかった。儀式的な目的や、その人の性質を変えるために行った場合もあったかもしれない。

 荒っぽい治療法だが、これはひどい頭痛を和らげる、血腫を治す、頭蓋の怪我を修復する、てんかんを克服するという医療行為でもあった。

 幸いなことに、こうした治療は必ず麻酔を使って行われた。当時の医師は、術中に痛みを感じなくさせるために、大麻や幻覚キノコなどの自然の麻酔薬を使ったとされる。


 患者のまわりで踊りに陶酔するようなシャーマニズム的な処置では、病の回復は望めなかっただろう。

 残念なことに、この頭蓋の持ち主の男性は、どんな治療を施しても死を避けることができなかったようだ。

References:de24.news / ladbible/ written by konohazuku / edited by parumo

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