「抵抗すれば撃つ、俺の猫はどこだ?」動物保護施設が銃を持ち武装した男性に襲撃される(オーストラリア)

俺の猫をすぐに引き渡せ、完全武装した男性が動物病院を襲撃 / Teegan Dolling/Twitter
 オーストラリアのメルボルンで、動物保護施設が完全武装した男に襲撃されるという事件が発生した。とは言えこの男性は動物に危害を加えようとしたわけではない。むしろその逆に近いかもしれない。

 行方不明となっていた自分の飼い猫が発見され、その施設に保護されてたことを知った男性が喜び勇んで迎えに行ったところ、施設職員から「今は渡せない。翌日に迎えに来て」と言われたことに腹を立てたのだ。

 その日の夜、施設に押し入った男性は職員を銃で脅した上、誘拐し監禁した罪で逮捕・起訴されたという。『abc.net.au』などが伝えている。
【「抵抗すれば撃つ、俺の猫はどこだ?」動物保護施設を襲撃】

 1月13日、オーストラリアのメルボルン治安裁判所で、メルボルン南東郊外のクランボーン・ウエストにある動物保護施設『Lost Dogs' Home』に武装して押し入り、職員を誘拐・監禁・脅迫した罪で起訴され出廷したトニー・ウィットマン(44歳)の裁判が行われた。

 元オーストラリア陸軍兵士だったウィットマンは、11日の夜、同施設の駐車場にいた23歳の女性職員に銃弾の入ったライフルを向けて施設内に侵入し、その女性の両手を縛って部屋に監禁。

 後に、警察の事情聴取でウィットマンのことを、「まるで映画に出てくるSWATのような銃を抱えていた」と発言した女性職員は、事件当日は恐怖に怯え、「どうか撃たないで」とウィットマンに必死に懇願したという。

 そんな女性に対しウィットマンは、銃の引き金に指を当てたまま「抵抗すれば撃つ。俺の猫はどこだ」などと言い、女性への拘束を続けた。

 裁判では、その後ウィットマンが結局猫を連れ帰らず施設を去ったこと、その際に軍用ベストやヘルメットなど身に着けていたものを茂みに投棄したことなどが明かされた。

 また翌日、警察が現場で手がかり捜査を行っていたところ、ウィットマンが何食わぬ顔をして猫を迎えに施設へとやって来たことも明らかになった。

 
【翌日まで猫を待ちきれなかった?】

 裁判によると、ウィットマンは元陸軍兵士だったものの、効率的に仕事をこなせなかったという理由で除隊されたという。

 弁護士いわく、「複数の身体的損傷とPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えていた」というウィットマンは、動物が大きな癒しになっていたのかもしれない。飼っていた猫をたいそうかわいがっていたようだ。

 しかし、その猫が行方不明になってしまった。幸いにもLost Dogs' Homeで保護されていることがわかり、ウィットマンは11日に同施設を訪れ、「すぐに飼い猫を引き取りたい」と伝えたものの、職員から「翌日に迎えに来て」と言われた。

 裁判では「猫に会えない時間はほんの10時間程度だった」と明かされている。ところが、すぐに引き渡しをしてくれない施設側に激しく憤慨したウィットマンは、同日夜に完全武装し、施設を襲撃したというわけだ。

 弁護士は、こうしたウィットマンの行動に対し、前科がないことや心身の障害に苦しんでいることを強調。ウィットマン自身も保釈を申請した。

 だが判事はこれを一蹴し、「銃器を使った犯罪は重い事件であり、保釈を認めれば地域住民を更なる危険に晒してしまう」と拒否した。

 現在、武装強盗および女性への誘拐・監禁など複数の罪で起訴されているウィットマン。次は4月に出廷予定だということだ。

 なお、ウィットマンの猫がその後どうなったのかは、明らかにされていない。

written by Scarlet / edited by parumo

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