2011年にフジテレビ系の深夜枠で放送された人気アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(通称:あの花)が、同局のスペシャルドラマとして実写化されることが発表された。

すでに作品の舞台である埼玉・秩父を中心に撮影がスタートしており、今年中のゴールデンタイム枠での放送を予定している。

 主人公の「じんたん」を演じるテレビドラマ初主演の村上淳の息子・村上虹郎(18)をはじめ、秀才タイプの「ゆきあつ」役の志尊淳(20)、高校デビューしたギャル「あなる」役の松井愛莉(18)、しっかり者の「つるこ」を演じる飯豊まりえ(17)、世界を旅している「ぽっぽ」役の高畑裕太(21)ら、手の注目俳優が多数出演することでも話題になっている。

 だが、その一方で原作ファンからの批判が殺到している。同作は熱狂的ファンが多く、作品の舞台を訪ね歩く「聖地巡礼」も盛んに行われたことで知られる。ただでさえアニメやマンガの実写化は批判されやすく、今回も「悪い予感しかしない」「『僕は友達が少ない』の悲劇再びか」「コスプレ大会にしかならない」などといった辛辣な意見がネット上に多数寄せられている。

 特にキャストに関して「イメージと違う」という苦言が多いが、その中でもオタク層から「この子だけは許す」「可愛すぎる」と高評価されているキャストがいる。
それはヒロインで幽霊の「めんま」を演じる美少女・浜辺美波(14)だ。

 浜辺は2011年、長澤まさみ(28)らを輩出した「東宝『シンデレラ』オーディション」のニュージェネレーション賞を僅か10歳で受賞し、それをきっかけに芸能界入り。太眉系の端正な顔立ちは事務所の先輩・長澤の美少女時代を彷彿とさせ、将来が有望視されていた。

 だが同年にオムニバス映画『空色物語』で主演を果たしたものの、当初は「子役」的な扱いだったために脇役が多く、抜群の素材でありながらも一部のアイドルマニアくらいしか注目していない「隠れた美少女」となっていた。

 しかし、今年4月に放送中のNHK朝の連続テレビ小説『まれ』に出演したことで状況が一変。桶作家の姉妹の妹・麻美役でストーリーの重要な役どころを担い、ネット上で「可愛すぎる」「これぞ美少女」と話題になったのだ。


 さらに4月に公開された戸田恵梨香(26)主演の映画『エイプリルフールズ』で実年齢と離れた小学生役を演じ、5月にはファースト写真集『瞬間』(ワニブックス)を発売。初の大型広告となる「ニチレイ アセロラ」のCMキャラクターにも抜擢された。

 世間の注目度上昇と事務所の売り出しがリンクしている今、ブレイクへの大きなステップとして『あの花』のヒロイン役が舞い込んできたことになる。

「通常、アニメやマンガの実写化は誰がやっても猛烈に叩かれる運命。完璧な二次元の美少女を実在の人間が演じる時点でアラが見えるのは仕方ありませんからね。特に美少女キャラを愛するオタク層の目は厳しい。
それなのに、浜辺に関してはネット上でかなり好意的に受け入れられているから驚きです。アニメキャラクターを演じても無理がないほどの美少女だということでしょう。これで熱狂的なファンがつけばブレイクへの大きな足掛かりになり、恋愛モノのヒロインも演じられるようになった年齢と相まって躍進が期待できます」(アイドルライター)

 その一方、浜辺の美少女ぶりは認めつつも「めんま役なのに黒髪なのは許せない」という批判もある。「めんま」はロシアの血が入ったクォーターで髪が白いという設定があるのだが、ドラマではそれが無視されている模様だ。

 そういった口うるさい原作ファンをうならせるほどの演技を見せられるのかどうかも含めて、浜辺の芸能人生の分岐点になりそうな『あの花』に注目したい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)