執筆:磯野 梨江(管理栄養士)
医療監修:株式会社とらうべ
ケールと聞いて青汁を連想される方も多いのではないでしょうか?
なんとなく苦くて不味いイメージが強いですが、ケールには現代人に不足しがちな栄養素が多く含まれています。
最近ではスーパーなどで、「サラダケール」と呼ばれる生食が可能な苦みの少ないケールも出回っています。

今回はスーパーフードとしても注目される、ケールの栄養価と効果について詳しく解説していきます。
ケールってどんな野菜?
ケールはアブラナ科アブラナ属の葉野菜で、キャベツの原種とされるヤセイカンランに近い品種です。
キャベツは結球(葉が重なって球状になること)しますが、ケールは結球せず一枚一枚の葉が大きく育つ点が特徴的です。
原産は地中海沿岸で、紀元前から薬草として使われていたという記録が残っています。
ヨーロッパでは日常的に食べられていますが、日本に伝わったのは江戸時代で、おもに青汁などの飲み物として流通してきました。
「羽衣甘藍(はごろもかんらん)」又は「緑葉甘藍(りょくようかんらん)」とも呼ばれます。

生で食べると非常に苦いため、スープなどの煮込み料理や炒め物などに調理するか、飲み物にアレンジして摂取する方法が適しています。
残念ながら日本のスーパーではなかなか見かけませんが、インターネットや自然食品を扱う販売店、デパートなどでは入手できるようです。
冒頭でお伝えしたとおり、最近は生でも食べられるように苦みを抑えた「サラダケール」が流通し始めています。
また、温暖な気候であれば一年中栽培できるケールですが、甘みが出るのはキャベツと同じで、霜が降り始める晩秋から冬頃になります。
ケールに含まれる栄養素と効果
ケールの豊富な栄養素についてみていきましょう。
β-カロテン
ケールはβ-カロテンが豊富な緑黄色野菜で、その含有量はトマトの約5倍です。

β-カロテンは体内でビタミンAとなり、肌の乾燥を防いで美肌効果をもたらします。
さらに、粘膜の乾燥も防ぎますので風邪予防にもなります。
また、抗酸化作用によって、体内で発生する活性酸素を取り除き、ガンの予防にもなるといわれています。
その他にも、視覚や目の健康を守る重要な働きを持っています。
ビタミンE
細胞膜の酸化を防ぐことから、老化防止の効果があるとして若返りのビタミンとも呼ばれています。
強い抗酸化作用を持ち、活性酸素による悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防します。

また、血行を促し、生殖機能の維持にも働きます。
ビタミンC
肌のハリや弾力を保つ効果のあるコラーゲンの合成を促進し、ビタミンA、Eと同じように抗酸化作用を持っています。
また、ホルモンの合成や鉄の吸収を助けたり、メラニン色素の沈着を防いだりする働きもあります。
メラトニン
体内時計に働きかけることで快適な睡眠に導くホルモンです。
また、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促し、病気の予防や老化防止に役立ちます。
ルテイン
目の健康に働き、白内障や加齢黄斑(おうはん)変性(網膜にある黄斑が破壊される)のリスクを減らすといわれています。

食物繊維
便通をスムーズにする働きがあり腸内環境を整えます。
大腸がんなどの腸の病気の予防にも効果が期待できます。
カルシウム
骨や歯の主成分になり骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を防ぎます。
また、神経の伝達が正常に機能するように保つ効果や、緊張・興奮を沈めてストレスを和らげる効果もあります。
ケールの選び方
通年で栽培されているケールですが、葉が硬く厚みがあるものや縮れているものは苦みも多いです。
縮れが少なくて葉が柔らかく大きく開いているものは、比較的苦みも少なく食べやすいです。

用途に合わせて選ぶとよいでしょう。
ケールの活用方法
「サラダケール」として売られている生食用以外は、独特の苦みや青臭さを抑えるために、スープなどの煮込み料理にするか、油で炒める調理法をオススメします。
今回は、海外でも大人気のケールチップスのレシピをご紹介します。
加熱によって苦みが抑えられ、ほのかな甘みが出てきます。
ダイエット中のおやつとしてはもちろん、お酒のおつまみにも最適です。
★ケールチップス★
 <材料>
 ・ケール 一束 ・油 大さじ2 ・塩 適量
 <作り方>
 (1)ケールを良く洗い、ふきんやペーパータオルで水気をとっておく
 (2)ケールの茎を取り除いて葉だけにし、一口大にちぎる
 (3)ベーキングシートまたはアルミオイルの上に並べ、オリーブオイルと塩をふる
 (4)途中裏返しながら、150℃のオーブンで乾燥するまで15~20分ほどオーブンで焼く
 ※トースターでも調理可能ですが、製品によって温度が違います。

  焼き時間は様子を見ながら調整してください。
野菜の中でも栄養価が高く”Queen of Greens”(緑黄色野菜の王様)という別名を持つほどのケール。
どうやら『苦い』『まずい』という昔のイメージとは違うようです。
スーパーで見かけた際は、ぜひ一度食卓にとりいれてみてはいかがでしょうか?
ケールで日頃の野菜不足を解消し、美容や健康の増進に役立てましょう!
<執筆者プロフィール>
磯野 梨江(いその りえ)
大学でスポーツ医科学を専攻し、卒業後は管理栄養士に。生活習慣病など予防医療において栄養学の果たす役割が研究テーマ。運動のこともわかる栄養士として活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供