電グルの「真摯にふざけるプロ魂」と版元の気概…ぜひ新刊で

 1997年1月から22年もの「無駄話と下ネタの集積」が今、こんなに貴重な記録となるとは。山崎洋一郎編集長など聴き手のロッキングオン・ジャパン側と電気グルーヴ、特に石野卓球との間に全く馴れ合いがなく、電グルの面白さに乗っかる寒い脚注や語彙に乏しいライターには容赦ないダメ出しが飛ぶ。
「真摯にふざけるプロ魂」が本当にブレていない。2巻で小室哲哉の結婚式に呼ばれた内田裕也や安岡力也らの顔触れ、コミュニケーションツールの移り変わりなどリアルな芸能史・大衆史としても読める。  最新6巻は卓球が自身大ファンで、瀧と出会ったきっかけでもあるニュー・オーダーと遂に会う話、取材にまつわる非心霊・人間系怪談、SNSなどで勘違いする人らへの批判、言葉遊びなどぎっしり。特に巻末あとがきでの瀧と卓球のやり取りは胸が熱くなる。今回の事件後も全て新刊が流通しており版元の覚悟を感じる。是非買って読んでほしい。
(澤水月)