筆者が大学生だったころ、京都の郊外にある銭湯の洗い場でフランス人と隣り合わせ、「なんて素敵な場所なんだ!」と銭湯を絶賛された記憶があります。今思えば、日本の銭湯や温泉のスタイルは世界的に見てちょっとユニークですから、カルチャーショックを受けていたのかもしれませんね。


逆に日本人が世界の「温泉」、いわゆるスパに行くと、日本の温泉とだいぶ勝手が違っていて、驚いてしまう瞬間が多々あります。そこで今回はカナダの東部にあるケベック州で人気のスパ『STRØM SPA OLD QUEBEC』と『BOTA BOTA』をはしごしてきました。カナダのスパで日本人が感じた、ちょっとしたカルチャーショックを紹介したいと思います。
水着とプールサンダルの持参が必須
スパは私語NG!?カナダの「温泉」で日本人が受けたカルチャーショック3つ

© Strøm Nordic Spa

ケベックシティにできた北欧スタイルのSTRØM SPA OLD QUEBECも、モントリオールのセントローレンス川に浮かぶBOTA BOTAも、いわばヨーロッパのスパが源流にあります。ヨーロッパのスパはもともと、ベルギーでもロシアでもドイツでも一緒ですが、健康増進が主な目的としてあり、水着を着て入る(もちろん全裸の場所も)スタイルが主流ですよね。

カナダはヨーロッパからの移民が作った国ですから、当然そのスタイルを受け継いでいます。
その意味で水着とサンダルの持参は不可欠。特に冬場はサンダルを持ち込まないと、屋外フロアの冷たさで体が冷え切ってしまいます。

スパは私語NG!?カナダの「温泉」で日本人が受けたカルチャーショック3つ

© Strøm nordic spa

ただ、「日本では水着で温泉に入るなんて、一部でしか認められていない。普通は全裸だ」と旅先で出会ったカナダ人女性に言うと、逆に他の入浴客の前で、全裸になれる国民性がうらやましいと言われました。その方いわく、カナダ人は「prudish(すごくお堅い)」ため、ヨーロッパ人のようにスパで全裸になれる「先進性」にむしろ憧れるのだとか。

カナダの女性は布地の面積が少ない水着姿でも、堂々と人前で振る舞っているように見えます。
しかし、逆に内心では少なくない人が、公衆浴場で平気で全裸になれる他国の国民性に、憧れを抱いているみたいですね。
私語厳禁
スパは私語NG!?カナダの「温泉」で日本人が受けたカルチャーショック3つ

© Strøm nordic spa

取材で一緒にスパを訪れた日本人ライター、および観光局の女性陣は、STRØM SPA OLD QUEBECにある目玉の露天風呂(プール)、インフィニティプールに大はしゃぎしていました。しかし彼女らは間もなくスタッフに、「静かに」としかられたと言います。

思えばSTRØM SPA OLD QUEBECは入浴エリア全体が静かで、聞こえる物音と言えば、BGMのリラクゼーションミュージックと、スパの目の前を流れるセントローレンス川の川面を吹き抜けるマイナス20℃の風音ばかり。服をぬぐ際に更衣室で話す機会があったアメリカ人旅行者も、「スパで声を出すと怒られるぞ」などと助言をくれました。

モントリオールにあるBOTA BOTAでは、露天風呂で声が普通に聞こえました。
それでも屋内施設の一部分には、明確に「お静かに」という表示が張り出されています。日本の温泉だと、別に普通に話をしている分には、スタッフが飛んできて「静かに」と注意をしてきませんよね。

スパは私語NG!?カナダの「温泉」で日本人が受けたカルチャーショック3つ

© Strøm nordic spa

調べてみると、北欧を起源とするノルディックスパの場合、私語を慎む文化がより強くあると言います。STRØM SPA OLD QUEBECはノルディックスパですから、余計にその本場の伝統を引き継いでいるのかもしれませんね。
洗い場がない
スパは私語NG!?カナダの「温泉」で日本人が受けたカルチャーショック3つ

© Spa William Gray

当たり前と言えば当たり前の話ですが、スパには頭を洗ったり、体を洗ったりする場所がありません。汗を流し、体を奇麗にするための場所ではなく、リラックスや健康増進を目的とする場所ですから、最後に更衣室のシャワーで体を奇麗にするのですね。


スパは私語NG!?カナダの「温泉」で日本人が受けたカルチャーショック3つ


旅の途中での入浴となると、女性場合はメイクの問題が心配なはず。その点、カナダのスパはその気になれば、顔をつけずに上がってこられますし、皆さんメイクをしたまま出入りしています。旅の途中で立ち寄って、ちょっとしたメイク直しをするだけで旅を継続できますから、カナダの各地にある素敵なスパ体験をぜひとも旅のプログラムに組み込んでみてくださいね。

[The other photos by Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)]