世界で最もレイプ犯罪が多いと言われる国・南アフリカ。先日17歳の少女がギャングにレイプされ残忍に殺害されたことで、ついに大統領をはじめ国中がこの卑劣な犯罪を撲滅しようと立ち上がった。


南アフリカのレイプ犯罪発生率は世界でも群を抜いて高い。2011年4月から2012年3月末までに報告されたレイプ件数は6万4514件。これでも前年度の6万6196件よりは減少しているものの、2010年度に日本が報告した1289件、同年のインド2万2172件に比べると圧倒的なその多さに驚愕する。

ある医学調査委員会が調査を行った結果、南アフリカ男性の4人に1人が「レイプをしたことがある」と答えていたことが分かった。また上記の6万4514件というレイプ件数も報告されているうちの9分の1だと言われており、実際にレイプ被害に遭っている南アフリカ女性は年間50万人以上と推定される。

そんな中、一件のレイプ犯罪が転機を与えた。
2月2日南アフリカのブレダスドルプという小さな町で、17歳の少女が数人のギャングにレイプされひどい暴行を受けた。発見時、奇跡的に息をしていた少女はすぐに病院へ運ばれたが、しばらくして亡くなった。息を引き取る直前に1人の犯人の名前を言っていたため、警察はすぐに少女の元の交際相手を逮捕、現在までに3人が逮捕されている。

2月7日、ズマ大統領は国会の開会宣言でこの事件を取り上げ、「ショッキングで残酷、非人道な犯罪」として「南アフリカでこのようなことが起きないためにも、レイプ犯罪に重い刑を処してもらいたい」と述べている。国民もレイプ犯罪に対して積極的に立ち上がる姿勢を見せ、前向きな傾向が見られた。

一方で、この事件が発生後わずか2週間でレイプ被害の報告がおよそ2万4000件もあったという事実もある。
2月だけでも98歳と100歳の女性や、養父や叔父により10歳にも満たない少女が、さらには9人のギャングに24歳の女性がレイプされるなど南アフリカでレイプ事件が起こらない日はない。あるラジオ番組がレイプ犯罪の報告を受けるとベルが鳴るようにしたところ、4分に1回の割合でベルが鳴り続け、番組の進行を大いに妨げた。

レイプ犯罪は南アフリカの貧困や麻薬、アルコール依存に起因すると『Sonke Gender Justice Network』というグループは分析する。さらに刑期中、刑期後のレイプ犯罪者のサポートが全くないために再犯率が高いという問題もある。今回、大統領が言及したことにより、政府による大掛かりなレイプ犯罪対策が期待される。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)