いろいろな悪ふざけを仕掛けては動画を投稿するYouTuberのせいで、このほど消防署員や救急隊員らがとんだ迷惑を被った。救助されたYouTuberはその様子さえも動画に投稿し「みんなは絶対に真似しないで! 助けてくれたレスキュー隊員のみなさんありがとう!」と話している。
英メディア『Metro』『The Sun』などが伝えた。

12月6日午後1時49分、英ウルヴァーハンプトンのフォードハウシズにある民家のガレージから、ウェスト・ミッドランズ消防署にとんでもない通報が寄せられた。

通報した人物はYouTubeに「TGFBro」というアカウント名で動画を投稿しているグループのメンバーで、そのうちの一人ジェイ・スウィングラーさん(22歳)が窮地に陥っているという。

「あの…イタズラの通報みたいに思われるかもしれないんですけど、友達が頭を電子レンジの中に入れてしまって。YouTubeに投稿するためにやってたことなんですけど。」

なんとも間抜けな内容だが、緊急事態とあれば駆けつけないわけにはいかない。消防署員、救急隊員らはすぐにスウィングらーさんのもとへ向かい、事態を把握した。


スウィングラーさんらは「もしかしたらこれが僕の最後になるかも知れない。みんなは絶対に真似しないでほしい」と伝えたうえで、何を思ったのかある悪ふざけを試みた。それは扉を外した電子レンジの中に、水を加えて溶かした7袋分もの粉状の補修用パテ「Polyfilla(ポリフィラ)」を流し込み、プラスチックの袋を被ったスウィングラーさんの頭を押し入れるという危険極まりないものだった。電子レンジに自分の頭部を入れる前、スウィングラーさんは「なんで俺こんなことしようとしてるんだろう。閉所恐怖症なのに」とカメラの前で冷静にコメントしている。

それでも実行することになったスウィングラーさんは、透明のホースを口にくわえプラスチックの袋に通し呼吸ができるようにして電子レンジの中に頭を突っ込んだ。
その後ポリフィラが速く固まるようにと、彼の友人はドライヤーで約10分ほど電子レンジの周りに熱い空気を吹き付けた。しかしポリフィラがセメントのように硬化してしまったことで、スウィングラーさんの頭部を圧迫し、しかもチューブが詰まってしまった。頭をレンジから取り外すこともできず、息が苦しくなくなったスウィングラーさんは「死ぬ、死ぬ」とパニック状態に。動画を撮影していた友人らはスプーンやナイフ、果ては電気ドリルを使ってポリフィラを掻き出したり、電子レンジのネジを緩めたりと90分間スウィングラーさんの救出を試みたがどうにもならず、レスキュー隊に通報したのである。

このYouTuberの救出に立ち会った消防署員らは、後に同署のツイッターに怒りのマークを添えてこのように投稿した。

「非常に腹立たしい。
今日(6日)の午後、5人のレスキュー隊は1時間かかって電子レンジの中に頭部をセメント漬けにしたYouTuberの救出にあたりました。」

その後、悪ふざけから救出活動までを改めて編集しYouTubeに投稿したスウィングラーさんは、「これはヤラセでもなんでもなく本当に起こった出来事なんだ。長い救出活動の後、レンジから頭が外れた時には本当にホッとしたよ。あれほどレスキュー隊員に感謝したことはないね。俺を救ってくれたみなさん、本当にありがとう!」と言葉を締めくくった。

一方でウェスト・ミッドランズ消防署のショーン・ダイキン司令官は「面白そうに聞こえますが、この男性はあやうく窒息死するか大怪我をするところでした。固まって抜けなくなったレンジから男性の頭を外すのは一苦労で、我々は救助隊の技術部門に連絡して、専門的なアドバイスを得なければなりませんでした。
ドライバーで大量のポリフィラを除去した時は、男性の頭の近くで作業をしていたために細心の注意を払う必要がありました。彼の友人らは本当に申し訳なさそうにしていましたが、これは明らかに本当に助けを必要としていた人たちへの救助の妨げとなる出動でした」と話している。

このニュースを知った人々からは、「5歳の子供の方がこの男よりもはるかに常識がある」「とんだ大馬鹿者」「いや、それ以下だ」「無駄に出動を強いられたレスキュー隊員たちから、迷惑料の請求書を送り付けられればいいのに」「セメントの化学薬品でよくレンジが燃えなかったもんだ」「呆れてものも言えない」といった声があがっている。



画像は『West Midlands Fire 2017年12月7日付Twitter「We’re seriously unimpressed」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)