プラスチック廃棄による海洋汚染が深刻な問題となっている昨今、再び悲しい光景がメディアで報じられた。それは北極圏にあるノルウェー領の群島で、餌を見つけることができない空腹のホッキョクグマがプラスチックのゴミ袋を噛む姿だった。
『The Sun』『Daily Mail Online』などが伝えた。

フランス人の写真家ファブリス・ゲーリンさん(50歳)は、北極圏にあるスヴァールバル諸島で1頭のホッキョクグマをボートの上から撮影し続けた。ゲーリンさんによると、岩の上にいたホッキョクグマは長い間身動きしなかったが、意を決したように餌を求めて歩き出したという。

乾いた岩の上をホッキョクグマが歩き続けること4時間。しかし餌は見つからず、空腹のホッキョクグマは海から流れてきたプラスチックの黒いゴミ袋を見つけると噛み始めた。どうやら捨てられた袋についた食べ物の臭いに引き寄せられたようだ。
死に物狂いでごみ袋を噛むホッキョクグマの姿をカメラに収めながら、ゲーリンさんは言葉を失っていた。

幸いにもホッキョクグマはゴミ袋全てを飲み込むことはしなかったようだが、こうした非生分解性プラスチックの廃棄が海洋に深刻な影響を与えていることは明らかであり、ゲーリンさんは自分が撮った写真が世間への注意喚起になればと願っている。

「この地域でプラスチックを見るとは、正直思ってもいませんでした。今回の旅の途中で、様々な地域で多くのプラスチックボトルや袋を見るとは予期せぬことでした。ですが、プラスチック廃棄に国境はないのです。」

ホッキョクグマが暮らすスヴァールバル諸島には氷は少ししかなく、地球温暖化により溶けて流れていく氷の上で生活を強いられるホッキョクグマの生存に深刻な危機を与えている。気候の変化により餌が捕れず飢え死にしてゆくホッキョクグマ以外にも、プラスチック廃棄によりそれを餌と思って食べてしまったウミガメや多くの鳥、マッコウクジラなどの生命も脅かされている。
1年間で破棄されるプラスチックの量は900万トンにものぼるとされており、早急な問題解決が望まれている。

このニュースを知った人からは、「こんな野生動物の姿を見ると心が痛む。私たちはもっとリサイクルに熱心になるべきよ」「海で生きる生物にとって、ここは大切な生活の場所だもの。もし私たちの家の中がゴミで溢れたらどう思うか…それを考えたらもっと食料の無駄をなくしてプラスチック廃棄問題も考慮すべきよね」「この地球上には余計なものが溢れかえっているんだろうな」「悲しすぎる。全ての人がこの問題解決に真剣に取り組むべき」といった声があがっている。

画像は『The Sun 2018年8月6日付「BIG MELT MISERY Polar bear seen chewing on a plastic bin bag in desperate attempt to find food on bone-dry rock face」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)