我が子を保育園や幼稚園に預ける親は、やはり園の職員を信頼する気持ちがあるだろう。しかしその信頼が大きく裏切られた時、親以上に子供は大きな傷を残す。
昨年11月に中国・北京の幼稚園で起こった児童虐待事件の裁判がこのほど行われ、加害者の女教諭に懲役刑が下されたが、ネット上では刑期に対する批判の声が相次いでいるようだ。『shanghaiist』『The Straits Times』などが伝えた。

2017年11月、北京の朝陽区にある「RYB Education New World kindergarten(紅黄藍幼稚園)」で、当時22歳の女教諭による児童虐待事件が起こった。

米ニューヨークに運営拠点を置く「RYB Education」は、中国全土で500もの幼稚園を運営するだけでなく、6歳以下の子供たちのための学習センターを約1,300店舗にわたり展開している。中国語と英語を学ぶバイリンガル児童のための富裕層を対象とした幼稚園として著名なだけに、この騒動は中国全土で大きなスキャンダルとして報じられた。

園児の親が、我が子の腕や大腿部に針で刺されたような痕があることに気付き、通報したことで事態が公になった。
捜査を行った警察は、園児4人に対して「昼寝をしなかったので罰を与えた」と自供した劉という女教諭を、児童虐待罪で逮捕した。今年の12月28日、北京市朝陽区人民法院で行われた裁判では、判事が「被告の行為は、未成年の児童に心身ともに深いダメージを与える卑劣で恥ずべき行為だ」と糾弾。その後、劉は1年半の懲役刑が科せられるとともに、出所後5年間は未成年者がいる職場での勤務を禁じられた。同幼稚園は当初、子供たちが教諭に何らかの錠剤を飲まされたり性的暴行を受けていた可能性が疑われていたが、それらについて裁判で触れられることはなかった。

園側はソーシャルメディアの公式アカウントにて今回の事件について謝罪の言葉を綴ったが、中国ソーシャルメディア『Weibo(ウェイボー)』のユーザーからは「こんな判決では犯罪を容認しているようなもの」「処罰が軽すぎる」「この女教諭には、一生涯教育機関での勤務を禁じるべきだ」といった批判が殺到した。また、このようなことが起こるのは教育関係者の監督不行き届きだと教育関係者への処罰を求める声もあがったが、北京の教育関係者3人を捜査対象にしていた警察では、その後の進展を明らかにしていない。


地元メディアによると、実は「RYB Education」がこうした事件を起こすのは初めてではないという。2016年に吉林省にある同企業の幼稚園で2名の教諭が子供らの頭や口、お尻などを縫い針で刺したとして2年10か月の懲役刑が下された。昨年4月には北京の幼稚園でも複数の教諭が1人の子供をベッドに放り投げたり、別の子供の背中を蹴ったりしている映像が公になり、この園の校長が停職処分を受けている。

画像は『The Straits Times 2018年12月28日付「China daycare teacher jailed 18 months over ‘needle’ scandal」(PHOTO: EPA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)