人命救助が使命であるはずの救急隊だが、ロシアのある救急隊員は違ったようだ。彼らは女性患者を病院へ搬送する際に救急車のバックドアが開いて患者が路上に飛び出てしまった後、気づかず救急車をそのまま走行させていた。
事故からだいぶ経つが、いまだに彼らからの謝罪がないと女性患者が明かしている。『Mirror』『New York Post』などが伝えた。

ロシアに住むガリーナ・ドミトリエワさん(Galina Dmitriyeva、56)は、救急隊員のずさんの対応のせいで歩行が不自由となり補助杖が必要になってしまった。彼女はこのようになってしまった8か月前の出来事をメディアに語った。

ガリーナさんは当時、気分が優れず脳卒中ではないかと心配になって夜間に救急車を呼び、病院に搬送してもらった。しかし詳しい原因が分からなかったため、対応した医師は別の病院を紹介。
ガリーナさんは再び救急車に乗せられ、紹介された病院へ搬送されることになった。ところが運転手とは別にいた女性救急隊員はガリーナさんの横に寄り添って状態を見るわけでもなく、そのまま前方の助手席に座ってしまったという。

途中でガリーナさんは気分が悪くなりその旨を伝えたところ、女性救急隊員から「こんな時に何をして欲しいってわけ? 黙って横になってて!」と怒鳴られたという。その後、ガリーナさんに最悪の事態が訪れた。運転の揺れによってガリーナさんは救急車のバックドアにぶつかった途端、外にそのまま飛び出て放り出されてしまったのだ。

ガリーナさんはのちに「周りが一瞬にして暗くなったと思ったら、私は道路に飛び出ていたのです」と明かしているが、道路に放り出されたガリーナさんは落ちた衝撃で意識を失ってしまった。
交通量の多い道路で通りかかったドライバーがガリーナさんに気づき、警察に通報してくれたことで彼女は別の救急車で病院へ搬送されることとなった。

一方でガリーナさんを路上に放り出した救急車は、そこから16マイル(25.7キロ)ほど走行した地点でガリーナさんがいないことに気づいたという。ガリーナさんはこの時の衝撃によって顎や脚、股関節を骨折し、歩行が不自由な状態になってしまった。

警察は当初、ガリーナさんの健康被害は救急隊員による過失とは認めず捜査を拒否したが、検察側がそれを覆した。これにより救急隊員は刑務所で最大1年過ごすことになるようで、救急隊の関係者も懲戒処分を受けている。泣き寝入りせずに済んだガリーナさんだったが、このような状態に至らしめた女性救急隊員からの謝罪は今も無いという。


画像は『Mirror 2019年12月20日付「Woman falls out of back of ambulance - but paramedics don’t notice for 16 miles」(Image: social media / east2west news)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)