スーパーの入口付近にある売り場といえば、生鮮食品の場合が多く見られます。しかし祐天寺東急ストアはお総菜です。

その理由は、改札口の目の前という立地と周辺環境にありました。

スーパーの入口付近にある売り場といえば

 2015年10月21日(水)、東急東横線の祐天寺駅(東京都目黒区)付近に、祐天寺東急ストアがオープンしました。東横線の高架下にあり、祐天寺駅の改札口を出るとすぐその前に、スーパーの入口がある形です。

 スーパーの入口付近に設けられている売り場といえば、季節感を出しやすいなどの理由から、生鮮食品(青果)の例が多く見られます。しかしこの祐天寺東急ストアの入口にあるのは、お総菜などのデリカ商品です。

 なぜ同店では、このような状況になっているのでしょうか。

そこには「改札前」という立地と、周辺環境がありました。

改札前にお総菜コーナーがあることの意味

 東急ストアによると、祐天寺駅周辺500mでは1人~2人世帯が突出して多いとのこと。2010年のデータでは1人世帯が4711世帯、2人世帯が2475世帯あるのに対し、3人世帯は1029世帯、4人以上は806世帯しかありません。

 周辺に1人~2人世帯が多い祐天寺駅。その利用者が仕事帰り、改札を出たところにあるスーパーに対して“手軽な食事”を求めることは、想像に難くありません。

 そこで祐天寺東急ストアでは、改札を出て目の前にある店舗入口付近に、お惣菜などのデリカ商品を配置。

店舗の奥まで行くことなく簡単に“手軽な食事”を得られるようにしている――言い換えれば改札からそれが見え、すぐそこへ行けるようにすることで、需要をよりしっかりつかもうとしているわけです。

 入口にお惣菜を配置するスーパー、そこにはもっともな理由がありました。東急ストアの山形営業統括本部副本部長は「東急ストア82店舗、82通りのやり方があります」と話します。

 祐天寺東急ストアではほかにも、終電まで営業していることを認知してもらうため、店内の灯りをあえて外へ漏れるようにするといった、駅前店舗らしい工夫を行っているそうです。