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東京の田舎でまた〜りする

東京は言わずと知れた日本の首都。
そんな東京にもちょっとした田舎ムードを味わえるところがある。
先日そんな小田舎、あきる野市の五日市に友人と行ってきた。

五日市はかつては東京都西多摩郡五日市町だったが1995年に隣の秋川市と合併してあきる野市になった。五日市の方が東京の西部、山側にあるのだが、実は五日市地区の方が秋川地区よりも歴史も文化もある。明治時代の大日本帝国憲法発布以前に、民間で検討された憲法の私案、いわゆる私擬憲法である「五日市憲法」が起草されたという土地でもある。

五日市に向かうJR五日市線はいまだに単線でのんびりムードだ。
駅周辺には地元の人にまじってデイバックを背負ったハイキング帰りの中高年の姿もチラホラ。
そう、このあたりはキャンプやハイキング、渓流釣りなどで訪れる人はいるけれど、町だけを歩く人というのはあまりいない。駅の隣にある観光案内所で駅から歩いていける観光スポットを訪ねてみると、「う〜ん、そうですねぇ」としばらく考え込んだ後、「あっ、このメインの通りを歩いて行くと、古い呉服屋さんがあって、店の一部が喫茶店みたいになっていて、そこの2階で布小物とか見られると思いますよ。あっ、そうそう、その呉服屋さんの先の陶器屋さんでは古い蔵も公開しているのでそこもお勧めです」とのこと。

実は五日市に着いたのは午後の3時半過ぎ。山が西に迫っているせいか、日は十分に傾いていて日暮れは近い。友人は葛飾生まれで東京の西のはずれは初体験。
「やっぱり空気が違うよ。何だかいい感じ」と肯定的な感想を言ってくれる。私としてはちょい田舎には慣れっこなので、彼女だけでも喜んでくれたら来た甲斐があるとさっそく教えられた道を歩く。道路拡張などでいくつかの商店が立て直されてはいるものの、ところどころに古い建物があって、作られた昭和レトロな雰囲気ではなく、本当にレトロだ。金物屋の軒先には熊手の横に金網タイプのねずみ捕りが大小ズラリと並んでいる。多くの店先に都会ではあまり見かけない大菊の鉢がいくつも置かれている。

観光案内所で教えていただいた呉服屋さんに行ってみると、店先は現代風の構えだが、喫茶店のある奥は江戸末期の建物だった。2階へ続く階段も当時のままですごい急勾配。「昔はこの階段を着物を着て反物を持って上り下りしてたんですよ」とご主人。2階に上がらせていただいた後、「昔このあたりは養蚕をやっていたところが多かったんですよ」というご主人のお話を聞きながらクリームあんみつをいただき店を後にした。

店を出るともう真っ暗。次なる目的は蔵、蔵と歩いていくと、古道具を並べた店が。看板は「燃料問屋 青木屋」とある。燃料問屋なのに何故古道具? 店先には陶器類に混じって糸車や糸巻き、筬(おさ)など機織道具がたくさん。やはり養蚕をやっていた地域ゆえか、機織関連のものが多い。友人と色々と道具類を見ていると奥から「お茶が入りましたよぉ」の声。
通りがかりの客にも関わらずなんとご主人お茶を入れてくれた。恐縮しつつも奥に行ってみるとテーブル式の囲炉裏があって壁中に時計が。ひょっとしてこの店のメインは古時計? 
「いやぁ、最初は趣味で集めていたんですけど売ってくれっていう人もいたりしてそれで商売になっちゃたの」とご主人。明治、大正、昭和の昔懐かしい柱時計がコチコチと時を刻んでいる。
でも、よく見ると時間がバラバラ。「あのぅ、これみんなちゃんと動いてるんですか?」と友人。
「そう全部ちゃんと動いているよ。時間はバラバラだけどね。いつでも音が聞けるようにわざとずらしてるの。あっ、もうすぐ6時だから音聞いてって」とご主人。

そうこうするうちにボーン、ボーンとあちこちの時計がそれぞれ微妙に時間をずらして鳴りはじめた。
「あっ、今のはちょっと高いやつね。音がすんでいるでしょ」と商売気ゼロで本当に楽しそうに時計の話をするご主人。「あっ、お餅食べていったら。炭で焼いたお餅を食べる機会ってそうはないでしょ」とご主人のおもてなしと話は続く。
青木屋さんはその昔、薬と炭を扱っていて五日市の奥の檜原村から炭を買い、変わりに薬を売っていたのだそうだ。そう、炭を扱っているので青木屋さんは燃料問屋なのである。これでやっと謎が解けた。

そんなこんなでひょいと入り込んだ青木屋さんで小一時間くらい話し込んでしまった。しかも買い物はしていない。何だか申し訳ない気もしたが、ご主人まったく気にする様子なし。「また、時計の音を聞きにいらっしゃい」とやさしい言葉をいただいた。
あれだけの時計に囲まれ、時間をまったく感じなかったというのはご主人の話術ゆえか。

何を見る、何をすると決めてから行ったわけではない小田舎、五日市。でも商店のご主人たちの話で十分楽しませていただいた。こういう人たちがいるからきっと魅力ある土地でありつづけるんだろうな。小田舎には慣れている、とたかをくくっていたことに反省。
ちなみに、観光案内所で教えていただいた陶器屋さんの蔵は「ご自由にお入りください」と張り紙があるものの、「暗い中、他人の蔵に入るのはねぇ」とダジャレのような理由で断念、次回に譲ることにした。
バリバリの東京人、葛飾生まれの友人は五日市に非常に満足している様子だった。
(こや)

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