原画や場面再現、舞台衣装なども展示されると聞けば、ファンなら迷わず行くところではないか。
かく言う自分も、一時はセリフをそらで言えたほどしつこく読み込んだクチなので、いてもたってもいられず、先日の連休、台風が接近するなか、足を運んだ。
あろうことか、入り口売店からすでに、「ときめき」の心憎い仕掛けは始まっていた。
『ガラスの仮面』コミックの傍らに、さりげなく売られている本は、『たけくらべ』『若草物語』をはじめとした、作品中でヒロイン・北島マヤが演じてきた芝居の原作本の数々。
2階の会場へ向かう階段袖には、『ふたりの王女』『一人芝居 ジュリエット』など、これまた作品中で、マヤやライバル・姫川亜弓が演じた舞台のポスターが貼られている。
さらに、入り口にある花は、なんと紫のバラ! ちゃんと、この作品のお約束「あなたのファンより」というメッセージカードも添えられて……。
まだ会場に足も踏み入れてないのに、ファンを興奮死させようという企みなのですか?
なんとか平静を装いつつ、会場に入ると、早速待ちかまえていたのは、「人物相関図」だ。
マヤを失脚させようとする世紀の大悪党(?)乙部のりえはもちろんのこと、マヤの高校の同級生「草木広子」「吉沢ひろし」なんてマイナーキャラもおさえているあたり、さすがである。
また、登場人物クイズでは、マヤの身長や、「紫のバラのひと」がこれまでマヤに送ったバラに添えられたカードの枚数、連載開始当初にマヤが公園の売店でバイトしてたときの日給など、かなりの難問が、こともなげに並んでいた。
驚くのはまだ早い。
「ガラスの仮面物語年譜」なる壮大な年譜が展示されているのだが、これは「マヤ史」「亜弓史」「真澄史」「月影史」「その他」と、登場人物ごとにくくられ、まるで世界史の年表のごとく、複雑に絡み合っているのだ。
ちなみに、この年譜、マヤの師・月影千草の少女時代からスタートしているが、「マヤ史」が華々しく才能・そして恋の花を開かせる一方で、「月影史」はというと、「マヤを熱湯から守るため、自分が浴びる」「心臓が弱く、頻繁に発作を起こすようになる」「発作で入院」「入院中に容態急変、一命を取り留める」など、過酷な運命が連なっているのが切ない。
そして、何より刺激的なコーナーは、「美内すずえ選CDコーナー」。作者・美内先生が、漫画のアイデアを練る時などに聞くCDをピックアップして視聴もできるというものだが、そのセレクトがなんとB'zと嘉門達夫のベスト!
どんな状況で漫画が描かれているのか、いっそう謎が深まりました……。
ちなみに、会場の片隅には原作コミックを閲覧できるコーナーもあり、みんな一心不乱に静寂のなか、読みふけっている姿が印象的だった。
たくさんの原画はもちろん、展示物の細部にいたるまで、ファンのツボをおさえまくった演出には、ただただ唸らされるばかり。ファンなら、この空間のなか、きっと何時間でも過ごせると思います。
(田幸和歌子)