世界一美味い!? 「ナイススティック」に迫る
その長さ、20センチ以上。すごいぞ、「ナイススティック」!
次長課長はじめ、芸人さんたちがテレビで「世界一美味しい!」とよく絶賛する「ナイススティック」。
鳥居みゆきがスーパーの袋に入れて彼の部屋の前に置き、なぜか不審物扱いされたというネタ(?)にもなっている長い長いパンだ。


これ、約100円という安さと巨大さ、実は500キロカロリー近い高カロリーを誇ることから、ネットでは「貧乏人の味方」なんて言われてもいる。
パンの端から端まではさまった濃厚なクリームも頼もしい存在ではあるけど、いったいいつ生まれたものなのか。なぜこんなにも高カロリーなのか。
製造元の山崎製パンに聞いた。

「ナイススティックが作られた時期は、実は正確にはわかっていません。年間5000品くらいのパンが出るため、正確な記録がないのですが、少なくとも1977年頃にはあったようです」
と言うのは、広報担当者。


当時は1個60円で売られていたそうで、そこから少しずつ物価の上昇などにともなって値上がりし、現在は105円。
特に、昨年12月と今年5月の2回にわたり、小麦の政府の売渡価格が引き上げられた影響などで、88円→98円→現在の105円へと、20円近く上がってしまっているのだそうだ。

とはいえ、それでも約100円。スーパーの袋からどうしても顔を出しちゃう長さ・大きさも、基本的には発売開始当初から変わっていないという。
いったいどれくらい売れているのかというと……。
「年間7000万本です」
!!!! 7000万本?? 並べてみたらどこまで続くのかわからない、この果てしない道のりよ。

ちょっと想像のつかない数字だ。
これは、年間5000品もつくられるという山崎製パンにおいても、常に売り上げベスト3に入る基幹商品なのだとか。
スーパー・コンビニ・パン屋という販売場所のせいもあり、老若男女に幅広く購入されているというのも強みなのかもしれない。

ところで、最も気になるのは、このカロリーの高さ。いや、美味いけどね。どうしてこんなに高カロリーなんでしょう?
「カロリーは確かに高いです。
でも、目をみはるほど大きいから、結果的にそうなるだけ。つくられた当初、カロリーを気にしてた人がどれだけいたかということもありますよね」
確かに、近年のヘルシーブームの反動にも見える「メガ」流行などとは違い、1970年代に生まれたコレは、実に自然に、何の作為もなく、高カロリーだったわけだ。

さらに、多くの人を惹きつけるのは、あの独特のクリーム。他でなかなか出合わない味だけど、いったいどんな秘密が?
「ナイススティックのクリームは、当社でも専用のクリームを使っていますので、いちばんの特徴ですね。乳脂の配合が高いので、他のクリームより濃厚な味なのではないでしょうか」
ただし、これも発売当時よりややマイルドになっているそうで、時代にあわせて細かなところでリニューアルを繰り返しているのだという。

もちろん貧乏人だけじゃなく、セレブが食べたってかまわない「ナイススティック」。

多くのロングセラー商品がそうであるように、定番が長く愛されるためには、変わらぬ部分をきっちり守りつつ、より良いものを追求するための細かなたゆまぬ努力があるのでした。
(田幸和歌子)