中国の交流サイト(SNS)上ではこのところ、若者の間で「文豪ストレイドッグス(日本の漫画作品)のグッズはどこ?」「痛バッグ(好きなキャラクターのキーホルダーなどを飾り付けたバッグ)はどこに売っている?」といった、2次元(アニメや漫画、ゲーム)を巡る交流が盛んになっている。各地の古い商業施設では、改修や改装を進める際に2次元市場の潜在力を掘り起こそうと、漫画やアニメ関連のグッズを売る店舗やグッズマーケットを呼び込むなどして、多くの若年層を魅了している。
中国の2次元愛好者は漫画やアニメ関連商品のことを、「グッズ」に漢字を当て「穀子(グーズ)」と呼んでおり、グッズを購入することを「吃穀」と呼ぶ。北京市内の商業地域、西単の華威大廈3階にある潮舖街には人気の「穀子店」が軒を連ねる。話題のゲームや漫画、アニメのIP(知的財産)を集め、缶バッジやカード、写真などのグッズを販売しており、週末になるとグッズ目当てに訪れる大勢の若者でにぎわう。同じく北京市内にある商業施設「嘻番里」も元々卸売市場だった施設を改装して「吃穀ビル」と呼ばれ、豊富な関連グッズやイベントで若者が集まる場所になっている。
四川省成都市にあるショッピングセンター、天府紅購物中心は、元々は市の中心部にある古い商業施設だった。中国で電子商取引(EC)が発達するのに伴い次第に寂れていったが、改装後に「2次元」業態のショップ50店近くが入居すると、大勢の人でにぎわうようになった。市内に住むネットユーザーは「友人と行ったけれど、どこもかしこもコスプレーヤーだらけで、閉店寸前の商業施設だったとは思えない」と語った。他にも、河南省鄭州市の「大上海城」、上海市の「第一百貨店」、同じく上海市の古い商業施設「華聯商厦」を改装した「百聯ZX創趣場」などが、いずれも「穀子店」により集客に成功している。
なぜ商業施設は、こうした関連グッズで消費をけん引する「グッズエコノミー」に相次いで力を入れているのだろうか。調査会社の灼識諮詢(CIC)が発表した「中国2次元コンテンツ業界白書」によると、24年の中国の2次元ユーザーは5億人、うちコアユーザーは1億2千万人に達する。この膨大なユーザーと需要に実店舗商業施設が商機を見いだし、「2次元」を変革や業態転換の手段の一つとしたとも言える。また、従来型の消費とは異なり、2次元の消費には社交的という属性がはっきりと見られる。
上海市の商業施設「上海世茂広場」の文婧助理総経理は「若い消費者層の台頭により、精神的な満足感を重視する『情緒的消費』が常に強調され、体験と没入感が特に重要となっている。そのため『2次元』業態の配置は、実店舗商業施設に新鮮さや新たな商業的価値をもたらすことができる」と語った。(新華社北京)