中国広西チワン族自治区憑祥市のベトナム国境に位置する友誼関口岸(通関地)では、ドリアンの輸入繁忙期が過ぎた9月末にも税関検査待ちのトラックが列を成している。
同口岸は中国と東南アジアを結ぶ重要な陸上ルートにあり、貨物取扱量は同自治区の国境沿いに位置する口岸全体の6割以上を占め、東南アジアとの間で最大級の熱帯果物輸入窓口になっている。
税関職員の孔維巧さんによると、今年1~8月に同口岸経由で輸入されたドリアンは38万8千トン、125億9千万元(1元=約20円)相当に上った。主にベトナム産で、一部タイ産もある。
中国税関総署は6月24日付で一定条件を満たしたマレーシア産生鮮ドリアンの輸入を許可した。東南アジア諸国連合(ASEAN)構成国で中国に生鮮ドリアンを輸出できるのはタイ、ベトナム、フィリピンに続き4カ国目。税関総署の統計によると、生鮮ドリアンの輸入量は2022年の約82万5千トンから翌23年には142万6千トンまで増加し、今年1~5月は58万3千トンとなった。
中国は世界最大のドリアン輸入・消費国であり、輸出国が増えたことで消費者の選択肢が広がった。一方、市場競争は激しさを増している。
東南アジアで最も早く対中輸出が許可されたタイ産ドリアンにとって、中国は最大の海外市場となっている。タイの中国向け生鮮ドリアン輸出量は23年に92万9千トンに増加し、中国市場最大のドリアン供給国としての地位を維持した。
在南寧タイ総領事館商務部のニティ・プラトンボンサ領事は、今年はより多くの国が中国市場を巡る競争を繰り広げており、タイにとって商機であり試練でもあると話す。「新たな競争に直面し、タイ産ドリアンは包装や鮮度、輸送ルートの改善に継続的に取り組んでいる。ドリアン祭りなどの催しを通して消費者にさまざまな品種を知ってもらいたい」とアピールした。
ベトナム産ドリアンの対中輸出が許可されたのは22年9月。中国は23年にベトナムから49万3千トンの生鮮ドリアンを輸入しており、この1年余りで急速にシェアが拡大した。
マレーシアの果物卸売業者ン・リアン・ポーさんは、同自治区南寧市で24~28日に開かれた第21回中国・ASEAN博覧会に初めて参加した。「中国は人口14億人余りの巨大市場」とした上で、マレーシア産ドリアンは量より質を重視しているため、タイ産やベトナム産よりも競争力があると胸を張った。
広西社会科学院東南アジア研究所の雷小華研究員は、ドリアン輸出国にとって、価格競争力と安定した品質を維持することは輸出を拡大する上で重要な要素だと語った(新華社南寧)