中国の科学者がこのほど、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)による重大疾患治療研究で大きな飛躍を実現、幹細胞再生療法を利用した1型糖尿病の機能的治癒に初めて成功した。

天津市第1中心医院や北京大学などからなる研究チームが、化学構造リプログラミング技術に基づくiPS細胞を利用してランゲルハンス島細胞を作製し、この細胞を1型糖尿病患者に移植して、臨床上で機能的治癒の効果を得た。

研究成果は9月25日、国際学術誌「セル」で発表された。この研究は大量の前臨床研究や国家幹細胞臨床研究記録を踏まえて行われ、糖尿病治療法の革新で大きな価値を持つ。

天津市第1中心医院の王樹森主任は、糖尿病が人類の健康を脅かす重大疾患であり、中でも1型糖尿病はより深刻な病気で、現在常用されている治療方法では血糖の精密なコントロールが難しく、さまざまな合併症を引き起こして患者の生活の質(QOL)に深刻な影響を与えると紹介。ランゲルハンス島の移植による治療効果がある程度の進歩を得ているものの、膵臓のドナーが不足しているために広く応用できない状況であり、ヒトiPS細胞で作製したランゲルハンス島細胞がこのボトルネックを打破する可能性を秘めているとした。

北京大学幹細胞研究センター主任の鄧宏魁教授は「多能幹細胞で作ったランゲルハンス島細胞が、糖尿病の移植治療に新たな供給源をもたらした」として、多能幹細胞は無限増殖する特性と、生物のあらゆる機能細胞に分化する能力を備えており、再生医学分野における重要な「種子細胞」であると指摘した。研究チームは化学的な小分子制御の手法を通じてヒト細胞を多能幹細胞へと誘導し、ヒト多能幹細胞作製の新たな道筋を開拓した。この技術は、2024年未来科学大賞の「生命科学賞」を受賞した。

鄧氏はまた、化学構造リプログラミング技術で作製した機能細胞が臨床治療で初歩的な成功を収めたことにより、化学構造リプログラミングが各種機能細胞を効率的に作製する汎用の基盤技術となることが期待でき、重大疾患治療における細胞治療の幅広い応用に向け新たな道筋が開かれたとの認識を示した。

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(新華社北京)

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