毎週、ゴルフツアー会場で選手たちを撮影し続けるプロカメラマン。インサイドロープでプロゴルファーの凄みや熱気を感じ、ときおり会話のやりとりを見聞きするなど、“試合中の選手たちに最も近いメディア”であるツアーカメラマンが見た印象的な景色を紹介する。
全米プロゴルフ選手権編】
タイガー・ウッズが吠えた!【写真】
ブルックス・ケプカ(米国)の大会連覇で幕を閉じた「全米プロゴルフ選手権」。大会が開かれたニューヨーク州は、ギャラリーの熱狂でよく知られる場所。大会期間中は熱心な応援とともに、強烈なヤジもコース内の至るところで飛んだ。
大会を撮影したのは岩本芳弘カメラマン。海外メジャーの撮影は数え切れないほどの経験の持ち主だが、今回は様子が少し違ったとか。「全米プロゴルフ選手権はケプカ選手の優勝で幕を閉じました。
あらためてゴルフは精神的にタフなスポーツで、最後まで何が起こるかわからない怖さを感じました」と大会を総括した。
ここからは、岩本カメラマンの言葉そのままに、ある一枚に込められた思いをお届けする。
「今回のベスページ・ブラックコースでの撮影ですが…、だいぶ慣れてはきましたけど、ニューヨーク近郊の試合は通常より少し気を使いますね。ニューヨーカーたちは選手だけでなくキャディ、スコアーボードを持った人、グリーン上をきれいにする人など、ロープ内にいるあらゆる人の行動をチェックして楽しんでいるんです。人気選手のホールアウト後にグリーン上を清掃しようものならブーイングです。
カメラマンも例外ではありません。
少しでもニューヨーカーの目に留まることがあれば奇声?罵声?が飛んできます。特に注意しなければならないのがギャラリーとの境にあるロープ際を歩くときです。ギャラリーの足が投げ出されていたり、ビールの空き缶が散乱しているところもあり、それを避けてちょっと足を滑らそうものなら一瞬のうちに野次が飛んできてターゲットになります(笑)。
また、選手が通り過ぎる通路ではグータッチ、パータッチの手がカメラマンにも要求されることがあります。余裕がある時は対応していますがひとりにやって別の人にやらないと「ヘイ!カメラマン!」と突っ込んでくる人もいるので、子供にやるくらいがベストでしょうか…。そんな気の抜けない状況でホッコリとするような写真が撮れたので紹介しておきます。

松山英樹選手とタッチしたこの小さい子。この小さな手の子が将来プロゴルファーになったらうれしいですね。ちなみにこの後に来たタイガーの手もしっかりとらえて、さらにホッとしました」
熱気あふれる大会の模様が手に取るようにわかる写真とコメント。ちなみに、岩本カメラマンによると、今回は個別の選手に対する応援にもかなりの偏りが…。
「最後に、写真とは少し話が離れますが、ゴルフ場にいるニューヨーカーとは…。彼らに人気があるのはやはりタイガーとミケルソン。
予選落ちしてコースにいなくても「タイガー~~~」、ミケルソンがサムズアップしただけで「フィル!フィル!」。ゴルフの内容は関係なしです。
今回いちばん大変そうだったのが予選ラウンドをミケルソンとまわったローリー・マキロイ。ミケルソンへの声援に何度も仕切り直しをしなければならず、イライラ気味のマキロイ。アウェイ感満載で一時は7オーバーまで行って予選落ちかと思われましたが、なんとかまくって予選通過。
しかし、ミケルソンとは別の組でラウンドした3日目は朝早くからローリーコール!あれ、昨日の雰囲気と全く違う!気まぐれ!?
「4番ホールでイーグル取ったら大盛り上がりのニューヨーカー、一気にホームの雰囲気に様変わりです。
終わってみればトータル1オーバーの8位タイフィニッシュ!気持ちの切り替えは大変だったと思いますがさすがです。そして今年の全英オープンはマキロイのホーム、北アイルランドのロイヤル・ポートラッシュGC。どんな声援があるのか楽しみです!」

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