2019年シーズンも後半戦に突入した日本の女子ツアー。そろそろ来年の話が聞こえはじめるころになったが、LPGA(日本女子プロゴルフ協会)が相変わらずの独り相撲を続けている。
放映権を巡り、一昨年からテレビ局を中心にツアー各大会との調整が難航していることは、何度もお伝えしている通り。紆余曲折の末、今季は1試合増で開幕したが、水面下での火種はくすぶったままだ。
LPGA隆盛を熱弁する小林会長【写真】
6月11日には、来年のツアー開催に向けた主催者懇親会が行われたが、これが、どうにも不評で、中身の薄いものに終わっている。出席したのは今年の主催者を中心にした約60名。1大会3人までが出席できるため、テレビ関係者や代理店なども含めた面々が顔をそろえた。だが、LPGAから放映権に関する話は全く出ず、来年の開催に向けたスケジュールと規定の変更などについての説明に終始した。

当然、放映権の話を含めた質問が次から次へと出る。これに対する回答がひどかった。その場で返答されたものはごく一部で、それ以外は「個別協議となります」、「持ち帰って検討します」というのらりくらりとしたものばかり。子供のつかいではない。理事3人と事務局員3人がその場にいながら、このやり取りは相手をバカにしているとしか思えない。
小林浩美会長は出席していなかったが、いないのなら代わりの者が答えられる準備をしておくのが礼儀というものだ。
会長しか答えられないものがそこまで多いのなら出席するのが当然だろう。準備不足も甚だしく誠意が感じられない。また、会長権限がそこまで強いのか、という印象を強める結果となった。
全国から集まった60人の人間は、時間と経費を無駄に空費させられた感が否めない。当然のことながらLPGAの改革を応援する主催者もいるのだが、さすがにこれにはあきれたという声が出てきてしまっている。
LPGAが放映権を自分たちで持つことは大切だしそうあるべきだが、説明不足は相変わらずで、主催者に対してもメディアに対しても説明責任を果たす気はさらさらないようだ。
この日のことについても「内容についてはお答えできません」という木で鼻をくくったような返事。これでは抱えた火種を持ち続けるどころか炎上させかねない。
やりたいことはまちがっていないのだから、今からでもていねいな説明を繰り返して、相手に理解を求めるのが最善の策だろう。豪腕を発揮できるほどの陣容でない以上、コツコツと味方を増やしていかなければ、事はうまく運ばない。昨年の愚を繰り返しても、火種が消えないのだから。
来年の大会開催申込みは8月30日、開催協約書提出は9月30日。
昨年は同様のスケジュールで、問題を棚上げしたが、今年はそうはいかないはずだ。(文・小川淳子)


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