<かねひで美やらびオープン 最終日◇10日◇かねひで喜瀬カントリークラブ(沖縄県)◇6552ヤード・パー72>
鮮やかな逆転劇だった。2位タイでスタートした27歳・城間絵梨が4バーディ・1ボギーの「69」でフィニッシュ。
首位との2打差を覆し、2015年「中国新聞ちゅーピーレディース」以来となる5年ぶりの2勝目を飾った。
誇らしげにトロフィーを掲げる城間絵梨【写真】
コースセッティングを手掛けた諸見里しのぶが「ピン位置を(さらに)難しくした」ファイナルラウンド。途中、スコールによる中断などもあり、選手たちは難コンディションに苦しめられた。その中でキラリと光る「69」。この日唯一となる60台、そして逆転での優勝は、最終18番でのバーディフィニッシュでつかみ取ったものだ。
「きょうは自分のなかで思考をくぎってプレーすることだけに集中していた」。
前半で2つ伸ばし、単独トップに浮上してバックナインに入った。13番ではこの日初のボギーを叩き、1打差につけていた香妻琴乃が17番でバーディ。首位に追いつかれて迎えた最終18番、決めれば単独トップ返り咲きとなる重要な一打をしっかりとカップに沈め、プレーオフを迎えることなく勝利をつかんでみせた。
アマチュア時代にはナショナルチーム(日本代表)のメンバーとして活躍。165cmの高身長から繰り出される飛距離は当時から群を抜いており、将来を嘱望されていたが、2012年のプロ入り以降は、まさにいばらの道のりだった。13年のレギュラーツアーでは28試合に出場したが、予選通過はわずか6試合。
その後はステップを主戦場にして15年に初優勝を果たすが、自身最大の武器であるドライバーに綻びが生じ始めた。
「あのとき(初優勝時)もドライバーショットに不安があると言っていたけど、正直怖い気持ちは今でもあります。不定期に不安が襲ってくるんですけど、今回も打ちにくい、気持ち悪いって思うことはありました」
それでも、今回の逆転劇は圧巻だった。城間の中で、何が変化したか。
「以前はただ悩んでいるだけでした。だけど、いまは打つ前に何をやるべきか考えて打てるようになったので、結果を受け止められるようになった」。
自身最大の長所であると同時に、最大の弱点。それを正面から受け止めることで、プレーに安定感も生まれた。
この後は3週間のオープンウィークを挟み、11月から今年を締める3連戦に突入。最終戦は城間にとってホステス大会となる「カストロールレディース」だ。「去年は親友の井上りこがホステス優勝して、私も期待されると思いますが、あまり大きなことは言えません。もちろん優勝はしたいですけど、万全を尽くして頑張るだけです」。

謙虚に、一歩ずつ。“大器”と期待されたその才能が、徐々に輝きを取り戻しつつある。


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