暗闇まで続いた渋野日向子のパッティング練習【写真】
変わったのはメンバーだけではない。例年、今大会は米国のLPGAがコースセッティングを担当していたが、今年は日本女子プロゴルフ協会(以下JLPGA)が担当した。前回、太平洋クラブ美野里コースで開催されたときは、ティの位置が前後100ヤード近く動くホールがあり、ピン位置は右に左にと振られた。その結果、2016年大会はそのようなセッティングに慣れていない日本勢は苦戦。トップ10に入った日本勢は堀琴音(3位タイ)ただ一人ということもあった。
今年は戦前から、特に両ツアーを知る選手たちはその部分を警戒していた。鈴木愛は一番の違いについて、「かなり違ってくる」とピンポジションを挙げた。「アメリカツアーはピン位置が左右に振られていて難しいですが、いいショットをすればいいバーディパットが打てるのが多いと思います。日本の場合は結構厳しい傾斜で切ることが多かったり、予想をしていないところに切るのかなというのはあります」とコメントした。
同じく「いいショットにはご褒美がくる」と話すのが、今季から米ツアーを主戦場としている河本結。「USLPGAはティをものすごく動かす。
では、JLPGAはどのようなセッティングにしたのか。今大会の競技委員長を務めた小澤瑞穂氏は、「思うとおりにやっていいといわれましたので、日本的というかアメリカを意識せずにやりました」と意図を話す。
「今回は“メリハリ”というのを自分のなかで考えていました。獲れるところで獲ってください、我慢するところは我慢してくださいね、と。何ホールかは厳しいところもあったと思いますが、比較的スコアが出るようにしてあります。距離のあるホールはそこまで難しくしませんでした。
ただ、それでもティイングエリアの位置などは、USLPGAさんのときと変わらないと思います。(前後に)動かしたのは3番のパー3だけですね。
ピン位置も「USLPGAさんは意識していません」と日本ツアーらしさを出した。17年の最終日は横のカラーから3ヤードというホールが2ホールあったが、今回はひとホールもなかった。「グリーンの形状、傾斜などを生かして、どこに切ったらこの大きいグリーンが生きるのか考えて切りました。
また、今大会に限ったことではなく、JLPGAとして日本ツアーのセッティングの基本にはこんな意向もあるという。
「小林浩美会長の考えは、スコアを出して戦わせるというものです。我慢のゴルフではなく、2桁アンダーを出す、というものです」。そのなかで、大会、そしてコースによって変化をつけている。
つまり、今回は純和風のセッティングだったといえる。そしてJLPGAの狙いどおりの結果となった。これは選手の好みはさておき、日米どちらがいいとか悪いという話ではない。河本の言葉を借りれば「アメリカにも日本にもどちらにも良さがある」ということ。ただし、確実にいえるのはどんなセッティングにも対応できる選手が本当に強い選手であり、JLPGAが掲げている『世界で通用する選手』だということ。それを踏まえてみると、今年は日本ツアーとなったが、今大会くらいは米ツアーのようなセッティングをしてみても面白かったのではないか。(文・秋田義和)
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