原英莉花の優勝で幕を閉じた、2020年の国内女子ツアー最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」。10月の「日本女子オープン」に続く公式戦2連勝を挙げた21歳が、“メジャー女”襲名を印象づけた。

必見!原英莉花のドライバースイング【連続写真】
その前週に行われた「大王製紙エリエールレディス」を右ヒザ痛で途中棄権。体調面には不安も残していた。さらに優勝後に「ショットは信頼できなかった」と話していたように、ゴルフ面でも決して本調子とはいえなかった。そんな状況で、原はなぜビッグタイトルを手にできたのか?
その要因について優勝会見で聞かれた時の答えが、“ガッツあふれる”とか“強気の”といった形容詞がしっくりくる原らしいものだった。
「(2人1組の)2サムでプレーすると、自分は本当に勝負が好きなんだなと思います。ショットどうこうではなく、目の前にいる相手と戦って『ここでボギーを打ってられない』と思えたし、普段入らないようなパットも気持ちでねじ伏せた感じはします。
今週は本当にショットが悪かったし、普段だったら心が折れていたと思う。でも、それ(2サム)がビシッときました」
この最終戦は、精鋭が出場するため人数も少なく2人1組でのラウンドが通例となっている。そして日本女子オープンも決勝ラウンドの2日間は2サムで行われる。ここに“共通点”が浮かんでくる。ちなみに初メジャー制覇のときは、2日間とも小祝さくらとプレー。3日目にその同級生から首位の座を奪い、最終日に逃げ切った。

もともと原は、ナイスプレーをしたときには派手なガッツポーズを繰り出し、ミスが出たときには悔しさを素直に表現するタイプの選手。無観客が続いた今年も、グリーン上でその拳を力強く握る姿は変わらなかった。そうやって自らを鼓舞しているように。
またコロナ禍で大会中止が続いていた5月に行われたリモート会見では、試合がないことで改めて「私はゴルフが好きだけど、勝負、戦うことが好きなんだ」ということに気づいたとも話していた。試合中、赤いウェアを着ない原は、その理由について以前「闘争心が出すぎるから」と話していたが、“出すぎなければ”闘争心が勝利を目指すうえでの重要な原動力になっているようにも感じる。
これ以外にも今年の宮崎カントリークラブでは、アスリートのメンタルに関する話が印象深かった。
渋野日向子は今年の自己最高位を更新する3位で大会を終えた後、「少し前よりもポジティブに考えることができるようになった。それで1打、2打は減らせるんだなと思えた」と不振脱却の理由を精神面に求めていた。米国ツアーに参戦し、こちらも苦しい時期を経験した河本結も、この1年を振り返り「アメリカで自分のキャパシティを超えることがたくさん起きた時のメンタルコントロールが下手だった。来年はそこを改善したい」と話した。
ショットへの不安を抱えていた原が、「開幕前に重点的に練習し、様々なバリエーションを頭にいれていた」ティフトン芝からのアプローチを巧みに寄せ、「これまでにあまり経験してこなかった」コーライグリーンでしびれるパーパットを何度も沈めて優勝へと進んでいく姿は“新境地”だった。そして日頃培ったその技術、ひいては実力を発揮するうえで不可欠となるプロアスリートの精神面も同時に垣間見ることができた4日間だった。
(文・間宮輝憲)

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