コロナ禍の影響で、異例の12月開催となった今年の「全米女子オープン」。女子メジャーでも最高峰と言われる同大会は、テキサス州ヒューストンのチャンピオンズGCで行われる。

36ホールを有するプライベート(会員制)コースの開場は1957年。その名前が示すとおり、地元ヒューストンが誇る偉大な2人の“メジャーチャンピオン”によって創設されたのは特筆すべきことだ。
その2人とは、1956年に「マスターズ」と「全米プロ選手権」と1年でメジャー2勝を挙げたジャック・バークと、マスターズを1940、47、50年と3度制したジミー・ディマレット。ともにヒューストンで生まれ育った地元の雄だ。
バークはマスターズを制した翌年の57年に、故郷にメジャー級のコースを造りたいと思い立ち、これにディマレットが賛同。同じテキサス州出身のラルフ・プランマーにコース設計を依頼し、59年に今週のメインコースとなるサイプレスクリークコースがオープンした。
このコースはベン・ホーガンのお気に入りでもあり、ホーガンがフォートワースから度々訪れていたと記されている。
その5年後には、ジャックラビットコースが完成。ジョージ・ファジオが設計し、2002年に甥のトム・ファジオがリノベーションを行っている。
ちなみに同コースでこれまで開催された大会はそうそうたるもの。67年に「ライダーカップ」、69年には「全米オープン」、93年は「全米アマチュア選手権」が行われている。さらに90、97、99、2001、そして03年と5度に渡って、米国男子ツアーの最終戦「ツアー選手権」の舞台にもなった。

比較的起伏のないコースだが、予選1日と決勝ラウンドが開催されるサイプレスクリークは、チェト・ウイリアムスによって18年に改造され、6731ヤード・パー71と女子にとっては長いコースになった。
そしてなんといっても特徴はグリーンにある。その大きさは9581平方フィートで、オーガスタナショナルGC(6486平方フィート)の約1.5倍、ペブルビーチGL(3500平方フィート)の2.5倍以上というから、どれくらい大きいか想像できるだろう。
さらに砲台で傾斜もきつく、渋野日向子も「グリーンの長さが60ヤードのホールもある。長い番手で打たされるのでアプローチ勝負になる」と話すほどだ。一方ジャックラビットコースは6558ヤード・パー71と距離は短くなるが、それでも「グリーンの幅が狭い分、ショットのコントロールが重要」と話す。

12月開催で日照時間が短いため女子ではめずらしく2コースを使用。そのおかげで出場はフルフィールドの156名、日本勢も総勢19名が出場できるチャンスを得た。チャンピオンズが創設した伝統あるコースでの戦いは10日午前9時20分(日本時間24時20分)に開幕する。